実行力を上げまくったらエクスパンションがものすんごく伸びた話【SmartHR】

SmartHR カスタマーセールスユニット所属の@446(よしむ)です。

2021年1月に1.5名(チーフが他部署兼務)だったユニットも、予算・メンバー共に右肩上がりに増え、2021年12月時点で6名、2022年1月には8名になります。

SmartHRにおけるカスタマーセールスの役割
・SMB、MMB規模の既存顧客を対応(エンタープライズは新規・既存で一緒)
・メインミッションはアップグレード、アップセル、クロスセルによるCMRR獲得(アカウントの自然増は含まない)
・組織はセールスグループに所属

※読みやすさの観点から本note内では「既存のお客さま」を「既存顧客」と記載させていただきます🙇‍♀️

エクスパンションの手法は各社様々なのでまとめる内容はSmartHR社以外では全く役に立たない可能性もありますが、2021年の振り返りとあわよくば「SmartHRのエクスパンション、面白そう」と思ってくださる方がひとりでも増えたら良いな、の思いで諸々書き連ねます。

カスタマーセールスだけでなくエクスパンションプロジェクト全体で取り組んだことなので、カスタマーサクセス(以下、CS)をはじめプロジェクトに関わった全ての人に感謝を込めて……🙏

やるかやる、だ

この1年、エクスパンションに携わってきて個人的には「ぶっちゃけ、エクスパンションの戦略 = ほぼプロダクト戦略では?」の考えに至りました。

すでにSmartHRに何かしらの期待を持ってご導入してくださっているので、クロスセル・アップセルプロダクトの戦略が上手くはまっていれば、他システムではなくSmartHRの機能を追加するほうが顧客メリットがあるはず。

なので、エクスパンションが上手くいってないとしたら

  • 実行はできているけど上手くいってない = プロダクト戦略がイマイチ

  • プロダクト戦略は◎だけど上手くいってない = 実行部分が弱い

どちらかでしかないと思うのですよね。

実行できていても上手くいかないのであればプロダクト戦略(弊社では主にPMMやPM)にフィードバックをしていくべきだし、プロダクト戦略が◎かどうかの判断はより多くの顧客からフィードバックを多くもらわないといけない。結局、エクスパンションは実行力がないと何も始まらないのでは?という論拠です。

エクスパンション、もといカスタマーサクセスの実現に向けて実行しないといけないことって?

  • 導入済みプロダクトのサクセス

  • 顧客との良好な関係性構築

  • 新たな課題の発見

  • 新たなニーズの創出

  • 新たな価値提案

  • チャーンリスクの排除

  • プロダクトへのフィードバック

  • その他色々 ∞

導入済みプロダクトのサクセス、チャーンリスクの排除、以外はほぼ新規獲得と同じような要素です。

これら全てをCS組織で賄う企業もいれば、複数組織で役割分担をする企業もいますが(役割分担の仕方も様々)、 SmartHRでは2020年まで大半をCSが担ってくれていました。

2020年までのプロジェクト概要
・CS主体のプロジェクトに、クロージングとしてセールスから1名をアサイン
・CSが商談フェーズ「03 担当者の合意を得る」を突破してからセールスにパス
・CMRRのみをCSのKGIとして持つ

が、どう考えてもCSの負担が鬼やばい。

新規では、マーケ・IS・クロージング・ CS、そしてオペレーションを円滑にするOpsや全体的な戦略を練るプランニング、といった複数の専門部隊が関わり合っているのに、「既存顧客の対応はCSが」という状況を変えていきたいと強く感じていました。

念のため補足しますが、CSの役割を奪いたいという意図は全くなく、むしろエクスパンションを行う中でCSにしかできない役割が明確になってきた、かつその役割の難易度がとても高いため、そこに注力できるよう他の部分は他チームへ任せんしゃい💪という思いです。

そして新規・既存の違いはあれど、すでにマーケやセールスなど社内に専門性を持つチームがあるので活かさない手はない。そういった諸々の背景から、2021年のエクスパンションプロジェクトでは複数組織で適切に役割を分担し、実行力を高めることに注力しました。

思い返すと👇の社内報でも、『エクスパンションは「量 or 質」論点でいうまだまだ量を重ねるフェーズだと思っています。』と申しておりましたね。

2021年の取り組み✍️

取り組みサマリ
①CSからカスタマーセールスへのトスアップラインの変更
②CMRRだけでなくCSQL(商談)数もKPIとして設定
③マーケ、セールスプランニングがエクスパンションプロジェクトにジョイン
④既存顧客のCMQL(見込みリード)に対応するIS的役割を設けた
⑤カスタマーセールスの人数を1名→5名に増強

①〜⑤で重なる部分もありますが、それぞれの背景と結果を紹介します。

①CSからカスタマーセールスへのトスアップラインの変更

■背景
・2020年までは商談フェーズ「03 担当者の合意を得る」を突破してからカスタマーセールスに引き継いでいてCSの負荷が高い
・トスアップラインの見極めが難しい(人によって03突破の基準がブレる)
・商談フェーズ「04 決裁者の合意を得る」までカスタマーセールスのパイプラインに乗らないのでヨミ辛い

■結果
・CSが「顧客の課題を顕在化すること」に注力することで商談機会の底上げができた
・パイプライン管理がしやすくなった

トスアップラインは一旦広げてからチューニングしていく方が落とし所を見つけやすい、かつ、関わる人が多いフェーズこそシンプルにした方が良いと考え、まずは「お客様が少しでも興味がある」段階でトスアップとし問い合わせの一次対応からカスタマーセールスが引き受けました。

そして量を重ねながらCS⇄カスタマーセールス間ですり合わせ、2021年12月現在は日程FIXまでをCSが担っています。

このチューニングのプロセスで「これはCSの仕事でしょ」「これはセールスがやってよ」ではなく、現在のエクスパンションでリソースを活用・成果を最大化させるための落とし所って?という視点で議論ができたことがとても助かりました。

<補足>
プロダクトによって商談対応の線引きが大きく異なると認識しています。が、SmartHRはオンボーディングやアダプションに中々のCSパワーが必要かつアップセル・クロスセルもプロダクトが複数あるため、03突破まで対応って(今となっては)狂気の沙汰とすら感じます。セールスですら03突破にヒィヒィしてますし🤣

②CMRRだけでなくCSQL(商談)数もKPIとして設定

■背景
・CMRRのみだと「何が上手く行っていないのか」がわかり辛い
・関わる人が増えるので、役割分担に沿ったKPIを置かないと動き辛い
・スケールさせるフェーズでは、The Model 型の役割分担で練度を上げる方が良い

補足:そもそも、 The Model って?
ざっくり言うと、「餅は餅屋」で各部門の専門性を高めアウトプットを最大化させることで、ビジネス全体の成果に貢献していくモデルです。

マーケティング・インサイドセールス・クロージングセールス・カスタマーサクセスの各部門が全社目標から逆算されたそれぞれのKPIを持つことで、コミットメントを高め、また、ボトルネックへのフォローもスピーディーに行いやすくなります。

SaaSビジネスを加速させるSDR(インサイドセールス)の役割 
by 446@SmartHR 🤗

■結果
・うまくいっていること、うまくいっていないことの解像度が上がった(CMRR、CSQL共にSMBとMMBで分けて設定したのも良かった◎)
・施策立案、実行において誰と合意をとれば良いのかが分かりやすくなった
・改善点に早く気づけてリカバリーに取り組めた
・予算策定の精度が上がった、かつ、もっと上げなければならないと気づいた

 2021年はプロジェクトとして0→1フェーズではなく、1→10フェーズに入っていたので、CMRR(= KGI)だけでないKPI設計やThe Model型の役割分担が有効だったと確信しています。

また個人的にも、最適解かどうか分からなくても・多少粗くてもKPIに応じて役割分担をして取り組むことで練度があがる、と思っているThe Model推進派です。

③マーケ、セールスプランニングがエクスパンションPJにジョイン

■背景
・新規セールス、CS、カスタマーセールスで情報連携がし辛い(もったいない、が発生している)
・なにをするにつけても確認が多い、かつ考慮漏れが発生しがち
・顧客とのコミュニケーションがプロダクトやキャンペーン起点になりがち、情報過多になっているのでは?

■結果
・新規の仕組みを既存にも応用しつつ、新規と既存のリレーションを考慮に入れたオペレーションが構築できはじめた
・新規と既存で別々に施策を考える手間が省けた + 考慮漏れも減った
・既存顧客へのコミュニケーションの頻度、粒度に改善余地があると気付いた

「新規と既存は別」でも「新規 = 既存」でもない、良い塩梅の最適化と連携性を考慮したオペレーションを作るのってアクション観点でもデータ観点でもめちゃめちゃ大変。2021年上期時点ではプロジェクトに参加しているメンバーが「じゃあコレは私がボール持ちます」的に柔軟に進めてもうまくワークしていましたが、施策の頻度や複雑性が増すにつれボールが落ちやすくなり「結局あれってどうなっているんだっけ?」「これって誰が対応するのが良いんだ?」というケースが増えてきました。

2021年下期からマーケ、セールスプランニングもがっつりプロジェクトにジョインし、会議体もプロジェクト全体定例の1本から、プロジェクト全体定例、マーケ施策関連定例、オペレーション定例の3軸に分けることで、各施策の精度・スピードの向上につながりました。

④既存顧客のCMQL(見込みリード)に対応するIS的役割を設けた

■背景
・マーケが創出してくれるCMQL(見込みリード)に対応しきれていなかった

■結果
・CMQLに漏れなく対応できた( = マーケ施策の価値最大化)
・人が介在することによる不急の突破ができた
・人が介在することで調整弁になり、クロージングリソースの最適化ができた
・既存顧客の情報管理やSFAオペレーションのブラッシュアップに取り組み始めた

専任でCIS(カスタマーインサイドセールス)という、新規でいうISの役割を設けました。

CSQL、CMRRへの貢献はもちろんですが、CIS設置によって『既存顧客の情報管理やSFAオペレーションのブラッシュアップ』がどんどん進んでいます。

今までマーケ→IS→クロージング→CSで終了していた流れが、マーケ→IS→クロージング→CS→マーケ→IS→クロージング→CS→ ……∞、とタッチポイントと関わる人が増えるため情報管理の精度が高まるのは自然な力学で、情報の属人化を防ぐという観点でもThe Modelのメリットを実感しました。
※初回受注以降の流れはもっと複雑ですが、一旦直線的に🙏

⑤カスタマーセールス(クロージング)の人数を1名→5名に増強

■背景
・伸び代があるにも関わらず、受け皿がないので攻められない
・対応顧客規模の幅がすごい(従業員数51名〜2,000名)ので、提案の質向上のため規模で役割分担できる人数が必要だった

■結果
・受け皿があるのでアグレッシブなマーケ施策への挑戦ができた
・受け皿があるので商談化ラインを下げられ、潜在課題の発見→受注につなげられた
・SMBとMMBで担当を分けられパイプライン管理がしやすくなった
・より多くの顧客の声を、適切にキャッチすることができた
・文殊の知恵で提案がブラッシュアップされた

オブラートに包まずに言うと(よい子は包もうね🤗)、既存顧客数に対してクロージング1名ってやる気あんのか??と本気で思ってました。クロージングの受け皿がないので何につけても「ばっちこい!」と言えない。顧客対応も効率重視で動くしかない。辛い、悔しい、情けない。

1名体制のころはとにかく数字を作って「やれば成果が出るんですよ!?」と人事権を持つ方々に良い意味で圧をかけ続け、この1年で晴れて5名のメンバーがジョインし攻めの施策実行・顧客対応の改善につながりました。

そして対応顧客の規模を分けることで、受注率やリードタイム、単価などマイクロKPIに顕著な差があることだけでなく、エクスパンションにつながる顧客の状態は、逆にどの規模でも似ているのでは?サクセスの定義になるのでは?と明らかになってきたことが大きな収穫でした。これは、1人で対応できる量・1つの目線では自信が持てなかったと思います。

また、カスタマーセールスに求められるスキルセットやマインドなども解像度が高まりつつあり、意義・面白さについてもここで語り尽くせないのでまたどこかで🏃‍♀️💨

実行力を上げまくったからこそのアウトカムと、2022年のやっていき💪

  • 2021年下期は vs 2021年上期でCMRRがすごく伸びました(さらに昨年比較での vs 2020年下期では、ものすんごく伸びました)

  • 既存の体制が強固になったことで、新規セールス施策の検討においても幅が広がりつつある

  •  「どこまで到達していたらサクセス?」の解像度が上がりはじめた……かも!

2021年、1→10フェーズとしてはまずまずのアウトカムを出せたのでは?と思います。ですが👇についてはまだまだ模索段階ですし、10→100を見越した動きや体制作りはできていません。

これからの「エクスパンション」の話をしよう|SmartHRオープン社内報

2022年は引き続き実行力を伸ばしつつ、10→100を見越してこんなことに取り組んでみたいなと考えています。

  • サクセスを定義する

  • 顧客の社内事情や、CSとのコミュニケーション不足でサクセスに到達できてない顧客を支援する

  • プロダクト要因でサクセスに到達できない場合、開発にフィードバックする(極力、運用カバーしない!)

  • The Model型に囚われすぎない

まだ解像度は粗いですが、「SmartHRが従業員にとってメインのインターフェイスになっている」 or 「人事情報の集約先がSmartHRになっている」のどちらかがエクスパンション成功の鍵( = サクセス)なのでは?と手応えを感じつつあります。

サクセスに到達していて「人事領域はSmartHRさんにまとめたいと思っているんですよね」と仰っていただけるお客様も多い一方、「まだ導入機能を活用できていない」「結局、他システムでも情報管理しないといけないから……」といった言葉が出てくるとエクスパンションにつながらず、カスタマーセールスとしては「CSの皆さん、頼んだ……!🙏」または「プロダクトの改善、何卒!🙏」となってしまいます。

全ての顧客を状態としてのサクセスに近づけることは、まさにCSにしかできず、かつ難易度がとても高い要素……!さらにはプロダクト要因で無理や🤷‍♀️となっている場合は、プロダクトを改善・追加してもらうしか手立てはないっ。エクスパンションにつながらない顧客からこそ学びがある、伸び代しかないと強く感じたため、2022年はこれらに注力していきたいです。

カスタマーセールスとしても「クロージングは商談にコミットするだけ」ではすぐに手詰まりになってしまうはずなので、The Modelの良さを活かしつつも商談ではないタッチポイントからも顧客の状態をキャッチし、サクセスに必要なことであればどんどん社内に価値ある提言をしていく所存です💪
※実行しても上手くいかない場合はプロダクト戦略に改善の余地があるはずなのでね(本note冒頭参照)

おわりに

最後に、来月からカスタマーセールス(Cセールス)にジョインしてくれるメンバーからもらったメッセージをちょいとご紹介させてください。

カスタマーセールス以外にも選択肢があった中で、エクスパンション、カスタマーセールスに魅力を感じてくれて選んでもらえたことが本当に嬉しい……😭😭(もちろん、今年ジョインした現メンバーの5名も!なんなら私もw)

ここ最近、社内のあちこちから「エクスパンション、勢いあるね!」と言ってもらえる頻度がジワジワ増えてきたことが、2021年の取り組みに対してひとつの成果でもあるのかな〜なんて感じています。エクスパンション、カスタマーセールスがSaaS営業やCSのキャリアとして、もっと確立されると嬉しいな。

締め括りがポエムチックになってしまいましたが、それでは2022年もサクセス視点と成果達成マインドの両方を大切にエクスパンションやっていき〜〜〜〜!🦍💨


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