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瞑想体験記:抽象力を高める瞑想法を実践してみた結果

今回は、瞑想を通じて得られる能力開発のノウハウをお伝えしたい。

近年、ビジネスなどの問題解決の場で、「抽象力」の重要性が指摘されている。抽象力とは何かというと、物事の要素を抽出し、その共通点を見出すことで、課題解決の方法や創造的なアイデアを見出すための知的能力を指す。

では、どうやって抽象力を高めればよいか――。次の手順を実行してみていただきたい。

■抽象力を鍛える瞑想法

(1)瞑想の体制をとる。5分~10分程度でOK、できれば30分以上が理想。目を閉じて、自然な呼吸を繰り返す。呼吸に意識を向けようと努力していると、自然と自分の雑念などが客観視できるようになる。例えば「今、仕事のことが気になっているな」「過去の失敗を悔いている思考があるな」など。こうした状態を受け入れながら、また意識を自然な呼吸に戻していく。

(2)そのまま目をゆっくりと開けて、目の前にある2つのものを任意に選ぶ

(3)その2つのものの共通点をみつけ、それを自分の言葉で記述する

抽象力はビジネス書などでいろいろな鍛錬のノウハウが提案されているが、上記の3つの手順が、非常に優れている。これは認知科学者・苫米地英人氏の書籍ほか、抽象力に関して書かれた書籍などを参照しながら、経験的に見出した方法だ。

(1)から(3)を実行したうえで、さらに余裕があれば次の(4)も実施してみる。

(4)その2つのものが、いったいどんなルートで目の前に来たのかを想像する。そして、なぜその2つが今目の前の空間に存在しているのかも想像する。さらには、その2つが今後どうなるかも想像する。

先の(3)は、2つのものの共通点を探すことで抽象力を高めることを狙っている。(4)は時空間としての抽象力を高めるトレーニングだ。

例えば、食堂で目の前に水のコップと箸があったとしよう。次のように共通項などを見出していく。

「私のために用意された食器だ」「それぞれ別のルートで買ったものだろうが、おそらく両方とも業者向けの専門店で売っていたのだろう」「今後何度も使い回されるだろうが、おそらく箸のほうが早めに消耗して、廃棄処分されることになるだろう。SDGsが話題になっているから、リサイクル処分などを考える店員がいるかもしれない」などと考えていく。

共通点を探したり、時空間的な前後の流れに思いを馳せたり、という行為そのものが非常に重要となる。そのため、「その発想が妥当かどうか」「正しいかどうか」というのは関係ない。

こうしたトレーニングを続けていくと、日常生活で自然と情報収集の精度が上がってきたり、物事の共通点を探ろうとしたり、あるいは興味を寄せる幅が広がったりしてくる。

エネルギーを大量に消耗する脳は、常にサボろうとするものだそうだ。だからこそ、「脳には明確な命令が必要だ」とされる。自分の脳に抽象力を高めるような命令を出し続けていると、次第に脳の面白い特性が自覚できるようになっていく。

私自身、この瞑想法を実践するようになってから、仕事などでアイデアを出したり、行き詰まっている課題の解決法が見いだしやすくなってきた感がある。思考の動きとして感じられるのは例えば、課題に向き合っている当事者同士の認識のズレと共通点が別々に浮かび上がってきて、そこからヒントがやってくるような感覚である。

ぜひ、皆さんにもトライして頂きたい。

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