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動植物は人間の「可食部製造マシーン」ではない。気候危機と食問題の解決方法

2021年5月、農林水産省が発表した「みどりの食料システム戦略」

これから有機農業を進める、と言いつつ、ドローン、自動運転、RNA農薬、ゲノム編集…新しい技術でどうにかする、とも言っています。

これがどういう事か、考えてみました。


人間は自然の一部

従来の有機農業は、自然の循環を上手に使って、そこから食べ物を生み出す、といういわば「魔術師のような技術」を使っています。

有機作物は「土」「動植物」の調和から生まれます。人間も自然の一部なので、本当は調和を促す能力を持っています。

ただ、人間は自然からあまりに離れてしまい、心がおごり過ぎてしまいました。その結果、能力を忘れてしまった人も多くなったようです。


以前、某有機野菜組合さんから、こんなお手紙を頂きました。

どうやったらこんなにおいしい野菜をつくれるのですか?定期的に土壌分析したり、何か管理をされているのですか?という私の問いに、

 土の状態がアンバランスになると、なにがしかの現象が見られます。例えば、生育不良、変色、変形、幼虫、虫、病気、トウ立ちなどです。

 私たちは植物を生育させることはできません、その環境を整えているだけです。植物は自然の摂理で自ら生育していきます。

この謙虚な姿勢に、自然と上手に調和して食べ物を頂くという「数値化できない高い技術と誇り」を感じました。


酪農家の叫び

ただ使いもんになんねぇから殺せというのに対して、それはおかしいでしょって
・・・・・・
原発事故後の警戒地区では、牛も被爆し商品としての価値を失った。

2021年9月28日 朝日新聞 折々の言葉より

けれども、牛は生き物です。「牛乳」「肉」いう「経済動物としての価値」の他に、「時間を共に過ごした、大切な家族」という、おカネで測れない価値があるのを、忘れてはいけません。

だから、手間やお金がかかっても、エサを与えに通う人たちがいたのです。

物事にはすべて「おカネでは測れない価値」があります。それを全て「おカネ」というモノサシに当てはめてしまう人間。

この人たちの叫び、どれだけ消費者に届くのでしょうか。


同様なコトが 地球規模で行われている

干ばつ、洪水で大変な地域があります。

これは強い立場の国や企業が、自然や動植物をおカネで測り、「経済価値があれば利用、なくなったら切り捨て」をしてきた結果。

他人事ではありません。年にいくつかだった自然災害が、毎年になり、年に数回になり…。気が付いたときには、大きな災害が多発、食糧難、コロナのような病気が同時多発するかもしれませんよ。

その頃、誰かを助ける余裕のある国は、あるでしょうか…



生き物は機械ではない

私は「みどりの食料システム戦略」の「科学でどうにかする」という発想に、強い違和感を感じるのです。

そして、ゲノム編集、遺伝子組み換え「人間の都合に合わせて、動植物に変わってもらう」ということですよね。自然と調和する気が全くありません。地球に暮らす一生物として、人間がどれだけ偉いんだ?と思います。

ゲノム編集は自然界でも起きている、という人がいます。

それなら、DNAの塩基配列を全部公表したらよいのでは?ゲノム編集トマトは、一部しか公開されていません。公開できないのは、後ろめたいことがあるからでは?そう思われても、仕方ないですよ。

実際、モザイク現象、オフターゲット突然変異、オンターゲットの有害な結果が報告されています。


現在、ゲノム編集動植物は届け出制。それも任意です。今後もし、問題が見つかっても、すでに自然界に広まった後かもしれません。

遺伝子組み換えがよい例です。遺伝子組み換えナタネは、日本でも自生・交雑している可能性があります。

バチルス毒素を組み込んだトウモロコシ、大豆。コレを食べると、腸までバチルス毒素が届き、腸内細菌に影響を与えます。

腸と脳は関係が深く、直接つながる神経があるのです。

過敏性腸症候群
炎症性腸疾患
自閉症
関節リウマチや多発性硬化症の自己免疫性疾患
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患
・・・・・・・

最近特に増えた病気ですよね。これが遺伝子組み換え作物と関係しているのでは?と考える人もいます。

「政府が安全と言っている」「専門家の意見を聞け」という人も。声が大きい「専門家」の意見が常に正しければ、世の中に「公害」「薬害」はないはずですよ。大きい声を鵜呑みにした結果、苦しむのは我々庶民です。

いくら政府が「安全」と言っても、遺伝子組換えではない植物の方が、より安全なのは明らか。それを理屈で曲げるって、よほど裏に何かあるのでは?


新技術を使わなくても、今の技術で十分

今、有機農業を営んでいる方々がいます。すでに確かな技術があるのだから、それを使っていけば安上がり。効率的ですよね。

それなのに、どうして新しい事をするのでしょうか。

理由はカンタン。おカネにならないからです。化学農薬、化学肥料を使わない。種も買わない。自家採種。大企業が儲からないのが有機農業だからです。


私たちは、こんな事をすればよい

大企業が儲かるしくみのために、有機農業があるのではありません。自然と調和し、維持する中で食べ物を生み出す手段として、有機農業があるのです。

私たちは、持続可能な循環型の「有機農業」を直接応援しませんか?その方法、色々ありますよ。

学校給食の有機・地産地消化

たとえば、学校給食を有機農業由来にする方法。これなら、末永く農業を続けられる保証ができます。収入が安定するので、若い人も就農しやすくなりますよ。

実際ブラジルでは、この方法で大成功。

地元の小規模農家も、子どもたちも大喜びです。


日本は食糧自給率が40%未満。輸入食材は、腐らないように農薬が使われたり、プラスチックで包装されたり。そして、必ず輸送費がかかります。これってすべて、石油由来。持続不可能ですよね。


輸入をやめて、地産地消

たとえば「油」。輸入大豆を使った油が安いのは、なぜでしょう。

その理由を考えてみませんか?

輸送、化学農薬、化学肥料。企業のもうけを考えれば、人件費の安い土地で大量生産が良いのでしょう。しかし、使う資源量、廃棄物量、自然に対する負荷など、視点を変えると、大量生産は非効率です。


個性があるのが「生き物」

「食べ物は大量生産、大量消費に不向き」ということを消費者が理解する必要があります。有機農業では、色、形など、すべてが不揃い。人間と一緒で、色々個性があるんです。

けれども「おいしくて安全な食べ物」というところに注目しましょうよ。だいたい、安いのには理由があるのです。企業は言いませんけどね。


お金の使い方を「効率」から「循環」へ

「お金が……」という方もいますね。政府がゲノム編集、RNA農薬など、まだ確立していない技術に投入するお金を、全て有機農業に使ってくれれば、あっという間に問題は解決しますよ。

新しい技術を開発する過程を、ちょっと考えてみましょう。

使い捨ての研究資材、電気を大量に使う分析機器、処理するのに大変な毒劇物……人間が作り出した化学物質で地球が汚染されて大変なことになっているのに、矛盾した行為ではないですか?

ゲノム編集は、EU、カナダでは遺伝子組み換えと同様の扱いになっています。つまり、有機農業では使えません。RNA農薬も、有機農業では使えません。

大企業の儲けのために、こんな矛盾したことを言っている暇があったら、確立された有機農業を推し進めましょう。

これが持続可能で気候危機、環境問題にも対処できる、これからの私たちが進むべき道です。


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