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先日、クライアントさんとセッションするため、待ち合わせで、あるファミレスに行った時のこと。

平日だったので、夕方と言えど、割と空いていました。

プライバシー確保とソーシャルディスタンスを…と思い、できるだけ周りに誰もいない席を選び、そこに座って、コーヒーを飲みながら、本を読んでいたんです。

そして少しして、なんか後ろの方で人の気配がするなあと思いつつ本を読んでいたんですが、ふと気づくと、自分の真後ろの席に老夫婦が座っていたんです。

ん?なんで?

こんなに席が空いているのに、なんでわざわざ僕と隣接する席にくるんだろう?と訝しんだのですが、なんか落ち着かないなあ…ってなって、

とはいえ、この人たちが来たからまた席を変わる…という行動をとるのも感じ悪いかな…と思いつつ、とりあえず我慢して気にしないように努力して読書を続けていたんです。

すると、聞きたくないのに会話が聞こえてきたんです。

婆:「あんた、何にするん?」

爺:「ビールじゃ、そんなん当たり前やろ」(なぜか怒り口調)

そして奥さんがまだメニューを選んでもいないのに店員を呼びつける爺

爺:「おい!はよ来んかい!瓶ビールもってこい!」(大声でだいぶ遠くにいる若い店員を呼びつける)

店員さんは、「やばい奴やん…」と思いながら、神妙な顔で小走りでやってきて…

店員:「あの…こちらは、感染症対策で瓶ビールは置いておりません」

爺:「あーん?ビールないってどういうことや!」(かなりの怒声)

婆:「あんた、ないって言よんやけん、しゃあないで」

店員:「グラスでならご用意できます」

爺:「あるんでないか!はよ持ってこいコラ!あ、ちょっと待て!どこのビールや?アサヒか?」

店員:「あ、いやキリンでございます」

爺:「アサヒちゃうんかコラ!」「お前、ええ加減にせえよ!おい、こんなとこおれるか!」

 「店長よんでこい!」「お前では話にならんわ!」

(もはや怒声はMAXで、店内に響き渡る)

え、ウソ? このタイミングでまさかのモンスタークレーマーの定番文句!

「店長だせ!」 炸裂ッ!

そのセリフ繰りだすの、早すぎん?

ところが若いバイトであろう店員さんもこういう客は慣れているのか、あまり動じていない様子。

むしろ、部外者として聞いてる僕が一番動揺しています。

そして…

婆:「ないもんはしゃあないで。あんた、キリンでガマンしとき!」(まあまあ冷静な婆)

爺:「アホか!キリンぞ、ボケ!ほんまになんちゅう店じゃ。もうええわ!はよ持ってこい、コラ、ボケ!」(興奮MAX状態)

見れば、75歳ぐらいの老夫婦ですが、決して酔っぱらっているようでもありません。

この地獄の怒声が、僕の真後ろ、すぐ耳の裏で核爆発のごとく爆裂したんです。

ズッシーン

と、負のエネルギーが僕の心に振動を与えました。

胸倉をつかんで顔の前まで引き寄せられるような感じで心臓を握りつぶされた感覚でした。

なにぶん、繊細さんですから…  僕

それにしても…なにこれ?

あんたらここへ何しに来たん?

キレる臨界点、低すぎやろ!

って感じでしたが、アカン、もう無理…

ここにいると魔界に引きづり込まれて、身も心もダークサイドに堕ちてしまうと感じた僕は、コーヒーやら水やら荷物やらを抱えて、そそくさと席を移動することにしました。

僕のこと気づかんとって!関わりたくない…

幸い、爺は興奮モード全開だったので、僕のことは気づかなかったようですが、それからがまた地獄です。

だって、この夫婦の会話が気になって気になって…

この先、どんな会話をするのかという好奇心がもたげてくるんですもの。

なんとか無視して読書に集中しようとするんですが、本の内容がまったく頭に入ってきません。

老夫婦が何をしに来て、どんな会話をするのか…

でっかい声で話しているので、離れた席からでも十分声はまる聞こえです。

婆:「あんた、ビールだけでええん?」

爺:「うるさいないちいち、ビール飲みながら飯が食えるか!」

婆:「そういや○○さんにあの件、頼んどったら、散々だったな」

爺:「ほらほうじゃ、あんなアホに任せとったら、何されるか分からん!」

すごい婆さんです。爺さんがあんなにキレまくった直後に普通に会話してる…

爺さんのキレるのを止めるでもなく、平然としていて、爺さんに負けんぐらいデッカイ声でしゃべりかけている…

爺さんもあんなに興奮していたのに普通に返答している…

これが、あの夫婦にとっては日常のことなのか…

と感心しました。

会話の内容は、終始、誰かの悪口をお互いに言いあっています。

そして、僕は、ひとつの疑問が浮かび上がりました。

この人たちって、幸せなんだろうか?

この人たちの言動は、店員さんだけでなく、まわりの他のお客さんにもものすごく影響を与えています。

二人の会話は、これが日常かと思う感じで普通にしゃべっていて、その後は興奮することも声を荒げることもありませんでしたので、もしかしたら不幸感はないのかもしれません。

でも周りは不幸です。

想像するに、もしあの二人に子どもがいたとしたら、日常毒々しい言葉を聞き続けた子どもは、どんな人格を宿していくのでしょう。

偏見かもしれませんが、この人たちの人生って、どうだったんでしょう?

もしかしたら、まわりから尊敬されたり必要とされることが少なくて、逆に煙たがられたり相手にされなかったりしてきたんじゃないでしょうか。

世間からは冷たい目でしか見られてこなかったんじゃないでしょうか。

そのため、「お客」という立場になった時くらいしか、人に対して優位な立場に立つことができないため、無意識に衝動的な行動を起こしてしまうのかもしれません。

なんだか哀しい気持ちになりました。

たぶん、今日その場に居合わせた他のお客さんは、二度とこのファミレスには来ないでしょう。

誰も幸せにしない人生…

人に「与える」ということから得られる喜びを知らない人生…

一時、あおり運転でキレやすい人たちのことが話題になりましたが、ちょっとしたことがきっかけで、人生が上向きに進む人もいれば、反対にどんどんとダークサイドに堕ちていく人もいます。

ダースベイダーも元々は、悪い奴じゃなかったんです。

 ⇒  ⇒  ⇒ 

あんな奴らは虫けら以下だ!

とレッテルを貼るのは簡単ですが、だからこそ、人は信用されないことが、人を信用しなくなり、悪魔のスパイラルに堕ちていくわけです。

教育じゃない?

人を蹴落とし、人と比較して、あの人よりも上へ、人と違う奴はダメ人間…

そんな教育が、ダークサイドとライトサイドを生み出すんじゃないでしょうか。

誰もがコーチカウンセリングのマインドや技術を使えるようになったら…

教育が日本を救うと強く感じた出来事でした。



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