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今日も自分嫌いシリーズです。

自分嫌いになるので絶対にやってはいけないこと!



名前いじりです。


友だちに対して、子どもに対して…


だって名前って特別なんです。

どんなに大勢の場所でガヤガヤしていても、必ず聞き取れる言葉ってなんですか?

自分の名前なんですよ。

つまり、自分の名前が嫌いになると、自分のことも嫌いになるんです。



またまた僕のカミングアウトな話をします。

僕は自分のことが長らくの間、嫌いでした。そのことを象徴する理由のひとつが、自分の名前嫌いでした。

とにかく自分の名前を呼ばれるのも呼ぶのもめっちゃイヤだったんです。

まつだだいすけ

ダサくないですか?

「だ」が2個も入ってるんですよ。

しかも「だだ」と続いてるんですよ。

「だ」というのは「メ」「ム」「ソク」

いいイメージで使われないじゃないですか。

「だいすけ」って。


昔、「いなかっぺ大将」という漫画がありました。

常時鼻が垂れていて、だらしなくて、お漏らししたり、泣き虫の超ブサイクな主人公なんですが、そいつの通称が「大ちゃん」なんです。

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これも子ども心に傷ついてました。


「まつだ」もダサいです。

「桜田」だったら華やかでカッコいいけど、「松」ってダサ!

渋すぎるやろ!

当時は芸能人で「松田聖子」というアイドルが登場して人気を集めていました。

でもね、子どもの頃の男子って、女子は敵なんですよ。

仮面ライダーにウルトラマンがヒーローだったんです。

ブリっこのアイドルなんて、忌み嫌う存在。

それがまた「松田嫌い」にも拍車をかけていました。



と、まあ、いろいろ理由を述べてますけど、そんなもんはぜんぶ後付けなんです。


嫌いになったきっかけは今でもはっきり覚えています。

僕はHSCで社交不安症の子どもだったんです。

とにかく初めてのこと、初めての人、初めての場所が大の苦手。

時は小学校1年生の入学式。

それはそれは不安で仕方なかったんです。

入学式の3日前から当日も熱を出していました。

もちろん、不安と恐怖で…

僕は地元の幼稚園には通っていなかったので、学校に知り合いは一人もいない状況。

ド緊張のまま入学式に母に連れられていきました。

そして、初めての教室。

そこで、まず定番ですが、担任が一人一人名前を呼んでいきます。

「名前を呼ばれたら元気にお返事してくださいね」

って。

もう、その時点で緊張はMAXです。

人前で名前を呼ばれて返事をする。

これはまさに一世一代の大仕事です!

やがて…

いよいよ回ってきました。

「えー、まつだだいすけくん」

と呼ばれた瞬間…

教室一同が、どよめいたんです。


大爆笑!


へ?


なんで?


何が可笑しいの?


子どもたちが笑うもんだから釣られて大人たちも笑っています。

この時、僕は電撃が走ったんです。

そして、こう理解したんです。

「まつだだいすけ」という名は、笑われるような名前なんだ!

顔面茹でだこになって、恥ずかしくて返事ができなかったのを覚えています。

今でも何が可笑しかったのかわかりません。

6歳ぐらいの子どもはなんでも可笑しいんです。笑ってたのは僕の名前だけではなく、他の子の名前だって笑ってたのかもしれません。

「たかし」とか「ひろし」とか「としお」とか、ありきたりな名前なら笑わないけれど、「こうじろう」とか「しんのすけ」とかそんな少し珍しい名前だと笑われてたのかもね?

子どものツボなんて、突飛なものです。

今、思えばですよ。

ただ、それ以来、僕は自分の名前が大嫌いになりました。

そして、毎年、クラスが変わるたびに最初の出席をとる際、こうなるんです。

「出席をとります。名前を覚えたいので大きく返事してください」

と言って担任は名前を呼んでいくんですが、

「えー、まつだ…ん?これ、なんて読むんかな?だい…、すまん、よう読まんわ」

って。

「松田大亮」

この漢字。

読めんか!

教師なのに!

っていうか、予習しとけよ!

これから担任持つのに!

一発で読んでもらえない屈辱と教師がわからないからといって、

「あ、だいすけ…って読みます」(恥ずかしいから声が小さい僕)

「は?」

「だいすけです!」

っていう、自分の名前を何度も連呼しなければならない恥ずかしさ!

これで、名前嫌い=自分嫌いはますます強化されていきました。



ところがあることがきっかけで、僕のこの自分の名前嫌いにブレーキがかかる出来事が起きたんです。

それは・・・

「荒木大輔」の登場です。

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高校野球=甲子園です。

当時は、徳島では池田高校が全盛期で甲子園で主役だったんです。

当然、地元だったんで応援してました。

そこに颯爽と現れた甲子園でのヒーロー

早稲田実業の荒木大輔。

「だいちゃんフィーバー」の到来です。

(ちなみにあの松坂大輔だって、荒木大輔の名前を頂戴して名付けられています)

この熱狂ぶりによって、僕ははじめて知ったんです。

「だいすけ」って恥ずかしい名前じゃなかったんだ… と。

それ以来、僕は「だいすけです」と人前で自己紹介すると、

「あら、荒木大輔と一緒やね」

となんだか称賛のまなざしを受けるようになったんです。


わかりますか?

この心境の劇的変化を。

くだらない、大したことじゃないと思うでしょ?

いやいやいや…大変なコペルニクス的変化だったんですよ、僕にとっては。


それ以来、僕は荒木大輔の大ファンでよ。

あなたのおかげで、僕は救われたんです!


そして

次に衝撃だったのは、

「太陽にほえろ」のジーパン刑事です。

はい、伝説の俳優

松田優作でした。

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なに?この人…

むちゃくちゃカッコええやん!

強い男に憧れていた軟弱者だった僕は、「松田優作」に目が釘付けになりました。

あの人、苗字が「松田」なのに、あんなにイキっとう!

「松田」のくせにあんなにカッコつけて、実際にカッコいいやん。

みんなからモテてるやん。

「松田」のくせに自信があるんやなぁ…

そうか。

「松田」ってダサくないんか。

って知ったのは、もう高校生が終わる頃でした。



こうして、荒木大輔と松田優作のおかげで、僕ははじめて自分の心のバケツに黄金水が注がれたんです。

それ以来、少しづつ自分の名前を口に出すことに抵抗感がなくなっていったんです。


子どもは名前をイジられると、一生そのトラウマを背負うことがあるんです。

名前はダイレクトに自己肯定感に直結するんです。


僕のまわりにもいました。

山本くんは男なのに「リンダ」と呼ばれていました。

ヤマダさんは女子なのに「ドカベン」

熊田さんは、「プーさん」

赤松さんは「レッドまつさん」

小島さんは、スモールアイランドからの「ザ・スモア」


意外と傷ついてます。

学校の先生とかが平気で言っちゃったりするんです。

「名は体を表す」

名前をイジっちゃだめよ!

それ、人格をイジってるのよ。




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