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#33 チェンソーマンのグッズを買えなかったハナシ

 小学生の頃、どうしても欲しかったポケモンのおもちゃがあった。けれども、母親の「他にも似たような物あるでしょ。」という一言によって、買うことは出来なかった。中学にあがってからは、つらい練習に耐えながら必死に野球をやっていた。どうしても一桁の背番号をつけたかった。しかし、最後の大会も、結局は二桁止まりだった。高校で、一人の少女に恋をした。初めて姿を見かけたその日から、3年間、ただひたすらに想いを焦がし続けた。それでも、彼女と付き合えるようなことは無く、卒業してしまった。

 人生は、思い通りに行かない。まったくもってその通りだ。きっと私は、この先何十年と欲した物を手に入れることがないまま死んでいくのだろう。やっと掴んだと思ったとしても、結局はその希望も霞と消えて、最後に残るのはジメったく滲む手汗と虚無感のみなのだ。私の人生とは、つまりそういうことなのだろう。

 マキマさんTシャツ買えなかった。

 マジで悔しい。チェ沼の住人たちを甘く見すぎていた。ホントどうしようもなく馬鹿だった。

 ジャンプショップにて販売される『ウインタージャンプコレクション』が公開された日、私の目に飛び込んできた商品、それこそが「チェンソーマン」のマキマさんロングTシャツだった。濃い紫の生地に、マキマさんが圧殺しているシーンのプリント。そして「MAKIMA IS LISTENING」の文字。もう最高じゃあありませんか。法務省から取り寄せた終身刑以上の犯罪者を使ってヤーさんたちを遠隔で殺すマキマさん。ネズミなどの下等生物の耳を借りることで、地球上のどこにいても会話を傍受できるマキマさん。

 まさに夢のようなグッズだった。絶対買うって決めた。しかし、現実は......。

 販売開始される当日、お昼13時頃に都内某ジャンショに入ったその時には、もうすでにSOLD OUTだった。同時に出たはずの他の限定グッズは残ってたのに、マキマさんだけいなかった。

 もちろん、まだどこかにあるんじゃないかと探し回った。棚の裏側、別の棚、ガチャガチャの横と裏側、向かいのホーム、路地裏の窓、旅先の店、新聞の隅、急行待ちの踏切あたり。こんなとこにいるはずもないのに......。

 勇気を振り絞って、店員さんにも尋ねてみた。マキマさんはいますか、と。彼の返答は至極単純で、そしてこの世界がいかに残酷かを思い出させてくれる言葉だった。「先ほど最後の一点が売れてしまいまして」

 
 そこからのことは、あまり覚えていない。ネットに残っているか確認したと思うが、結果は言うまでもない。あの日から、来る日も来る日もジャンショのHPを確認している。チェの編集担当である林さんのTwitterも確認している。グッズと関係ないが、横槍メンゴ神のTwitterも確認していいねしている。どうにか、どうにか再販の情報が出ないか。マキマさんTシャツを買えなければ、死ぬに死ねない。契約させて欲しい。犬になりたい。......ワン......。

 なあ頼むよ、関係者さん。すぐにとは言わないからさ、どうかマキマさんTシャツを再販してくれよ......。何を差し出せば良いのよ。皮膚?右目?それとも心臓?売ってくれるのなら2万円まで、いや3万までなら出しますから......。金なし貧乏クソ学生の、唯一の希望なんでさあよぉ......。

※敗者の意地

「SPY×FAMILY」アーニャのアクリルフィギュア。カワイイ。

マキマさん、早川アキパイ、レゼ&デンジきゅんのクリアファイル。パワーちゃんとポチタは諦めた......。

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