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20201125


図書館で借りた、志村ふくみさん、洋子さん、昌司さんの『夢もまた青し』を昨日から読んでいる。人が主であるか、自然が主であるか、という言葉に、その通りだと思う。ふくみさんの言葉は、長くその生き方をしてきた人の言葉で、ものすごく重い、と思う。
何もかもが人のためにつくられている。そのために失われていったもののことを、どのくらいの人が考えているんだろう。自然破壊、とか、そういうことではない。そういうこともあるけれど、意識すらしない部分で人は自然より偉いと、この世界で優位だと信じきっているのではないか。生きるため、よりよく生きるため、何かを犠牲にしている事実すら忘れてしまって。

私は虫が苦手で、それは対峙した時に、逃がす、という手が使えない場合は殺生をしなくてはならないからだ。人を簡単に殺めることはしないけれど、虫ならばしてしまう。家畜のように命をいただくわけでもないのに。その事実に愕然としてしまうから、できれば虫と対峙したくない。その事実から逃げたい。
害虫スプレーとか、本当にぞっとする。毒ガスみたいなものなのに、平然と店に並んでいて誰でも買えるし使える。

虫を殺めてしまった時よく、いつか仕返しされる、と思う。いつも死はすぐそこにいる。
来世は人じゃないものがいい。てっぺんなんかにいたくない。たくさんのものを犠牲にして長々と生きることは、もう疲れた。虫がかわいそう、と思うのではない。殺める自分が嫌なだけ。

本は、読んで知識を得られるというものではないと思う。読んで、何を感じるか、考えるか、ということだと私は思う。胸を掴まれたたった一文からするすると思考が蠢き、最初と関係のないところまでぶっ飛んでいることはよくある。本だけではない。ニュースも、漫画もアニメも、音楽も絵も、お菓子の空き箱も、なんだってそうだ。

道が開けるとすれば、今に生きる一人ひとりが切実に深く悩み、思考するよりほかにないのではないでしょうか。
歴史や芸術に死に物狂いで学び、ひたすらに考えてください。行きづまっては考え、立ち止まっては考え、どうかその歩みを止めないでください。


この本を読んでいると、しんとした深い森の中にいるような香り、あるいは薄荷のようなすっとした香りもするし、どんよりとしたスモッグの中にいるような気もする。





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