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薬学部進学の奨学金のリスクと回避する方法

先の記事も併せてご覧ください。

薬剤師になるには薬学部へ進学しなくてはなりません。

薬学部への進学は、わりと多難です。

学費の安い国公立は数が少なく、なおかつ募集人数が極端に少ないので、かなりの難関になります。

私立の場合は、たくさんの設置大学があるため比較的難易度も下がります。しかし、余り難易度が低いと国家試験の対策、また合格率が期待できません(過去記事参照)。ストレート合格率を参照にしてください。

また、私立大学薬学部だと学費は1200万円ほどかかります。

薬学部入学までに学費分を貯蓄できていれば良いのですが、まず一般家庭はなかなか難しい金額です。

大部分は奨学金に頼らざるを得ないでしょう。

実際、現場で働いている薬剤師の大半は奨学金を抱えています。


奨学金の種類

まず、奨学金の借り方にはいくつか選択肢があります。

卒業後に返還する必要がない「給付型」と返還しなければならない「貸与型」です。

「貸与型」で注意しておきたいのは、返還する時に数十万円、時には100万円以上も多く利息が付く事があります。

貸与型には、返す時に利息がつかない「第一種」と利息がつく「第二種」があります。

第一種の方を受けられれば、無利息で奨学金を借りることができますが、第二種では利息をつけて返還しなければなりません。

このように、第一種か第二種のどちらで借りるかによって、返す金額に大きな差が出てしまいます。

さらに、月に借りる金額が大きくなればなるほど利息による差額も大きくなってしまい、結果的に100万円以上も変わってしまうケースもあります。では、返還額を少しでも減らすにはどうしたら?

この場合は、利息がつかない第一種と第二種を組み合わせて借りる「併用」がおすすめです。

第二種だけで限度額の月12万円を借りた場合と、第一種と第二種の組み合わせで同程度の額を借りるのでは、後者の方法で借りたほうが、負担が軽くなります。このように借り方を少し工夫するだけで、返還額を減らすことは可能です。


返済不要の奨学金

中には「返還しなくてもOK」な奨学金もあります。

「給付型」奨学金と呼ばれ、企業や地方自治体、大学なども独自に提供し、徐々に増えつつあります。

 JASSO(日本学生支援機構)の給付型で借りられる金額は、最大で毎月4万円、4年間で192万円までとされています。

かなり大きな金額で、JASSOによると奨学金(第二種)を借りた人の平均借入額である約343万円(利息を入れると約400万円)の「半分は返さなくてよい」ことになります。

もちろん、給付型に申し込んだすべての人が受けられるわけではありません。

しかし、条件をクリアして認められれば、借りられる最大額192万円を給付型で借りて、残りの額を貸与型で借りることもできます。

どのような人がこの「給付型」奨学金を受け取ることができるのか?

基本的には家庭の所得水準が高くない世帯が対象で、所得水準、学業成績、人となりなどの条件があります。せっかくの制度なので、もし条件が合う可能性がありそうなら、まずは「給付型」を申し込んでみましょう。

ここで重要なのが、申し込み方法です。

奨学金の申し込み方法は、高校3年時に予約して申し込む「予約採用」と、大学進学後に申し込む「在学採用」があります。

この「給付型」奨学金は、「予約採用」でしか申し込めません。そのため、もし「給付型」奨学金を受けたい場合は、「大学に進学してから考えよう」では遅いのです。

さらに、「給付型」の噂として広まっているのが「成績が抜群の人しか受けられないのでは」という点です。たしかに「給付型」を受けるには高校時代の成績が関係してきますが、実は必ずしも優秀である必要はありません。むしろ重要視されるのは、家庭の所得水準と、本人が「人物として優れているか」です。成績については、「概ね満足できる学業成績」です。

 “人となり”を重視されるのは、成績よりもハードルが高いように感じるかもしれませんが、申し込まずにあきらめてしまうのはもったいないです。

諸条件を調べて申し込めそうなら、お子さんが通っている高校の先生に相談してみましょう。


私立大学の給付型奨学金

私立大学は、給付型奨学金や特待制度が充実しています。国立大学より安く学費が抑えられたり、無料になることもあります。

基本、こちらも受験時の成績が上位で経済的に困難な家庭の場合は、受給対象になりやすいです。

しかし大学によっては、世帯年収に関係なく成績のみで対象になる所もあり、貸与型奨学金の受給対象外の方(世帯年収が高い家庭)もぜひ確認して、もらえるなら貰ってしまいましょう(笑)

実際、うちはポピュラーな日本学生支援機構の奨学金は受給対象外であり、一時期薬学部入学を諦めかけました。

しかし、成績のみで対象になる大学の特待制度を利用し、結果、国立大学より学費が安くなり本当に助かりました。(娘は、その大学のみに標準を絞り受験対策をしました)

私立大学の薬学部は学費に1200万円かかる、と知った時点で、ほとんどの生徒は薬学部を諦めてしまいます。

しかも、近年のAIに仕事を奪われる職種だとか、多額の奨学金を借りて行くには給料が見合わない…などのあらぬ噂のため、最初から諦めてしまうような状況です。

しかし、私は文系の私立大学に進む位なら、断然食うに困らない医療系学部を推します。

現役の薬剤師さんや、薬剤師YouTuberさんの話しを聞くにつれ、全く杞憂であることがわかります。


薬剤師は業務独占資格


薬剤師は、いわゆる業務独占資格です。 業務独占資格とは、特定の業務に際して、特定の資格を取得しているもののみが従事可能であり、資格がなければ出来ない仕事です。

(医師や弁護士、宅建士など)

まず資格ありきの仕事で、無くなることはありませんし、人口が減少している今、薬剤師も緩やかに少なくなっています。

年々試験も難しくなっており、簡単に薬剤師が増えるようにも思えません。

今後、今まであまり表舞台に出てこなかった薬剤師が、例えば訪問服薬指導などで表に出て顧客を獲得していくという風に、働き方が変わっていくのかもしれません。

しかし、薬剤師は要らない、という世界は、法律が変わらない限りありえません。


薬剤師YouTuberがそのあたりの質問に答えていますので、ご覧下さい↓


さて、今回奨学金についてざっと説明いたしましたが、薬学部の学費や入試の難易度から最初から無理と諦めずに、まずは自分で色々と情報を集めてみてください。

娘の同級生で昔「薬剤師になりたい」と言っていた子たちは、結局、娘以外は誰も薬学部に行きませんでした。

現実を知って諦めてしまったのか、夢が変わってしまったのかはわかりません。

しかし、お金だけで諦めるのは悲しいです。

学力と情報があれば、大抵はなんとかなります。

しかし、お子様だけでは限界がありますので、保護者の方も出来る限り情報収集をして、共有してあげてください。

こんな時こそ、スマホの威力が発揮されますョ😅

来年受験の方は大変でしょうが、もし薬学部を目指す方が居られましたら、少しでも参考にして頂けましたら幸いです。




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