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自転車のその先に3

日にちはまだ決まってないけど、
8月のどこかで行きたいと思ってるって話した。
「日が決まったら教えてね」と、ばあちゃんが言った。

電話越しでもわかる。
ばあちゃん、うれしそうな声だった。
そして、じいちゃんもばあちゃんも元気そうだ。
よし、これであとは叔父さんと日にちを調整しよう!


叔父さんが来る日。
いつもなら、自然な流れている叔父さんが
今日はいつもと違う。いつもと違うのは僕の方だ。

インターホンが鳴って、叔父さんを確認したら、ダッシュで玄関までいた。
「叔父さん!今度いつ東京に行く?」

最近光希が無口なのが気になっていた。
それなのに、今日はどうしたんだろうと目を丸くした。
中2はよくわからない年頃だな。
だから、中2病って言葉があるんだよ。
俺の中2の時は何んも考えてなかったけど、今の若い子の気持ちは分からないなと思いながら、キラキラした目で俺を見てる光希にスマホの手帳アプリを開いた。
「えっと、東京行きは明日かな」
「えっ、明日!?」
「知ってると思うけど、夜中に出発だぞ、いいのか?」
「もちろん、しょうちのすけ」
「古いな」
「何しに東京行くんだ?推しのアイドルでも見にくのか?」
「違うよ、金沢に行くんだ」
「何しに金沢?」
光希は叔父さんが母さんの事を知らないのかと残念に思った。
「金沢に自転車の部品を買いに行くの」
「そんなの取り寄せればいいのに、東京からどうやって金沢に行くんだよ?」
「金沢に行きたいの!東京からは新幹線でいくよ」
「新幹線かがやきに乗って、本当はグランクラスに乗りたいんだけどなー」
横目で父を見つつ、父は既に晩酌中で話半分聞いてる感じだった。

後で父がもう少し詳しい話を叔父さんにしてた。
母さんの実家があるとかなんとか・・・。

予定より、早まったけど、準備はできてるから、
ばあちゃんにはあとでLINEでもしておこう。

これで出発できそうだ。


出発の日、出発は夜だから、
父に自転車の部品の型番を教えてもらって
その部品がmizutaki会社にあるか、父に聞いてもらった。
代金引換で送ろうかと言われたけど、息子が行くからと話をしてくれた。

夜まで、仮眠をとろうと思った。
そんなの寝れるはずないじゃん!


夜の11時出発。
全然、夜中じゃないじゃん
っと思いながら、叔父さんの計らいで時間を早めてもらったみたい。
そんなのイイのにって思いながら、ここは仕方ない。
到着は翌朝5時、そこから新幹線で6時28分のに乗ろう。
金沢には9時32分に到着だ。
朝の東京は飲みんべぇがいるから気をつけろって父に言われた。
飲んべぇはあなたでしょっと思いながら、
喉の奥に引っ込めた。
朝は優雅にスタバで朝食を取ろうかと画策。
しかし、朝が早すぎでスタバが開いてない。
7時からだって。
仕方ないから、マックにでも行こう。

そんなことを考えながら、叔父さんの虎の絵が描かれたトラックの中で考えながら、いつの間にか東京駅に着いていた。

「みつき!光希!」
「はっ、ぼ、僕としたことが」
「ぐっすり寝てたぞ」


「じゃあな、気をつけて行くんだぞ」
「うん」

本当は心の中では「ありがとう」と言いたかったけど
なんせ、僕は中2。簡単にはありがとうって言わないからな。

予定通り5時について、
マックが開く30分間待っていた。

そこで、声をかけられた。


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