企業の説明会に足を運ぶメリット、というか思い出話
どこかの食品メーカーがご縁がなかった就活生に自社のプレゼントを贈った話が何度かTwitterでバズっている。
せっかくなので1社と、そして同時に嫌な思いをして今も客として利用したくない某社を思い出話として挙げたい。
某ベビー用品会社
いわゆる赤ちゃん向けの玩具を販売しているメーカー。
元々その分野に全く興味がなかったが、企業説明会でたまたま時間が空いて目を引いたところに寄ってみよう…と足を運んでみたのがこの会社だった。
会社説明は普通に終わった。
当時から結構女性社員の支援に力を入れてる印象を受けた。
また、人事さんとも少しお話させていただいたが非常に物腰が丁寧で、相手がこの会話で何を求めてるのか瞬時に察していた人だった。
この会社が記憶に残ったのはこの一件、ではない。
会社説明後に赤ちゃん向けの玩具が配られた。会場にいた就活生全員にだ。
しかし私の身近に赤ちゃんはいない。
どうすればいいのかぐるぐる玩具を観察していたところ、人事の方がこう説明した。
「自社の玩具をプレゼントします」
「その玩具をどう使うかは貴方次第です」
「将来お子さんが出来た時に使うもよし、電車で泣いている赤ちゃんがいた時にお母さんにプレゼントするもよしです」
「今は実感しないかもしれませんが、使う場面になって当社の商品の魅力を理解していただけると思います」
あと貴方がお父さん・お母さんになってお客さんとして利用した時の話もしていたが数年前のことなので朧気、ということで泣く泣く割愛する。
当時就活生の私は「そんな場面が本当にあるんか…?」と就活用のカバンに入れてそのまま時が過ぎた。
数か月後、面接の帰りに友人と某迷宮駅で待ち合わせしていた日。
就活姿で山手線に乗車していた黒田ちゃんの前に、お母さんと抱っこされた赤ちゃんが立っていた。
結構混雑していて、偶然にも黒田ちゃんはお母さんたちの前に立った。
赤ちゃんに見られていたので、とりあえず目を大きくしたり表情を変えてみた。赤ちゃんは大爆笑しており表情筋を鍛えた甲斐を感じた。
初対面のお母さんと話しつつ赤ちゃんと遊んでいるうちに玩具を貰ったのを思い出す。
「これ、進研ゼミで見たやつだ!!!!!!!!!!!」
降車も間近、コミュ障特有の震える手で「もしよかったらこれ…」とこの会社の玩具をプレゼント。
貰った状況をお母さんに説明するとへぇぇぇ~と感心しその場でビニールを開封し赤ちゃんに渡す。すると目にもとまらぬ速さで奪いブンブンと振り始めるではないか。もう私への興味は微塵もない。
もうこの会社の選考は終わっており縁はなかったが、今でも良い思い出だ。
会社説明会は最初こそ1分単位でスケジュールを調整したりしなければならないが、少し落ち着いた時期にでもノープランで足を運んでプラプラと縁を探してみるのもこの時期にしかできない貴重な体験だと思った。
まだ恋人や出産や結婚とご縁はないけど、お世話になった人にプレゼントを贈る時はこの会社にしたいと思います。
NG:某リサイクル会社
マイナ〇の企業説明会の紹介ページにはこう書いてあった。
ジャンル:文房具メーカー
文房具は就活していた時期から既に市場が拡大しており割と狙い目だったので、とりあえず行くことにした。
さて当日の説明会。
一人の男性社員が近寄ってきてくれた。
この会社の説明会は人を集めて開く講義タイプではなく、寄った就活生一人一人に説明していくいタイプだった。これは特段珍しくもない。
彼から会社のパンフレットを手渡される。
そこに書かれていたのは
「リサイクル」
ん?
リサイクル――?
あれ、場所間違えたかな…?
私は尋ねた。なるべくにこやかに。
「あの……この会社では文房具を扱っているん、ですよね?」
社員は「文房具」と書かれた看板を指さし爽やかな笑顔で答えた。
「ああ、これ嘘なんです!(原文ママ)」
ウソなの!??!?!?!?!?!?!?!?!?!!??
こんなにでかでかと「文房具」ってあるのに!?!?!?!
笑顔で堂々と嘘です、と公言しちゃうあたり結構ヤバい会社だと瞬時に察した。
助けてポリスメン(マイナ〇スタッフ)…と心の中で唱えつつ平常心を装いながら会話を続ける。
「じゃあ本当は何をやってるんですか?(パンフ見れば分かるけどパンフに書いてあることもウソかもしれないしな…)」
「リサイクル事業です!」
そこは本当なのかよ。
ていうか、徐々に物理的距離が縮まってきて怖いんですけど…。
こっちは後ろに、社員は前に進みなんとか距離感を保とうと頭の中で二つの戦いについて考えを巡らせる。
カバディだ。
私達は今、この空間でカバディをしている――……。
というのは半分嘘で流石に怖いので近寄らないでくださいとも言えなかったので時々巡回スタッフがいないか探したがみんな目を合わせてくれなかった。人が多すぎてそれどころじゃなかったっぽい。
あとの会話は覚えてないけど
距離を詰めくる×嘘をつかれたのがあまりに意味分からない=怖い
が頭の中を占めていて最後は無理やり「他の説明会が始まっちゃうんで!」と会話を打ち切って逃げた。二度とその通路は通らなかった。
イベント終了後のアンケートにこの会社について長々と書いて、会社のパンフレットを心の中でごめんなさいしながらゴミ箱に捨てた。
持ってるだけでご縁が生まれてしまう特急呪物のようにしか思えず、とにかくとっとと捨てたかった。
NG:某メーカー
誰でも知ってる大手なので名前は伏せる。
女性向け商品を多く扱う会社だ。
企業説明会で人事の方々と1:1で話せる機会があったので会話してみたがまず全員「高齢男性」。
ま、まぁでもこの会社入るくらいだし優秀なんだろうな…とそのまま聞いてみたがまぁ酷かった。あんまり話すと会社が特定されるので伏せるが一番ダメだと思ったのは
「女の子は(結婚や出産で)途中で辞めちゃうから営業よりこっちの仕事がいいよね」
「(私を指して)男の子だったらこっちの職なんだけどね」
とか言い出したのでテキトーにすごいですねーと盛り上げて速攻で帰った。
じゃあそのパンフにでかでかと書いてある育休取得率と復帰した時の感動エピソードなんなんだよ。
というか今時「女の子だから」「男の子だから」って主語はアカンやろ。
それともあれか、少し喋って黒田ちゃんがバカなのがバレたから今時の子の地雷ワードを使って帰らせたとか?
わぁなんてすごい会社なんだ!
さすが大きい会社、時代に乗ってるな!(前年までの営業利益を見ながら)
おまけ:会社名忘れた
ご縁が無かった会社だが未だに忘れられないエピソードがある。
化粧品会社かゲーム会社のどっちかだ。
企業説明会で質問コーナーが始まった。
そこでとある一人の学生がこう質問した。
「女性の活躍が期待されていますが、貴社では女性だからこそ出来たことや女性に期待することがあれば教えてください」
そこで女性の人事さんがマイクを取った。
「特にありません」
ものすごい簡潔な回答だった。
場が少し冷えたあの感覚は脳裏に刻まれている。
「弊社は女性・男性で仕事の捌き方や成績が変わる事はありません」
「女性だから期待することも、男性だから期待しないこともありません」
「弊社では男女共に平等に、成果で評価します」
ハッキリとは思い出せないが遠回しに強く否定していた。
質問した就活生は本当にか細い声でお礼を言って終わった。
こっちがかつて就活やってた時も「女性に期待している仕事がある」と堂々と笑顔で説明しちゃう会社がいくつかあって違和感を覚えていた。
ただの仕事を男性用・女性用と分けているのがどうも納得できない。
頑張れば・経験を積めば誰でもどの仕事も同じようにできると信じている。
……というのは世の中を知らないからこそ、残酷な現実に目を向けずに生きているだけの何も知らないヒヨコだからそう言えるだけだというのも自覚している。そうでなければこんな自分と合わない世界からさっさと消えたくなるからだ。
半分ファンタジーと信じていたそんな価値観だったが、ようやく初めて自分と近い人事さんと出会えたのだ。この人の下でなら働きたい、妄信に近い憧れが生まれた瞬間だった。
とかかっこつけたけど、残念ながらご縁はありませんでした!><
けど世の中まだまだ捨てたものじゃない、自分と似たような価値観を持ってる人間が上にいる。そう思えただけで収穫のある経験だった。
暇だよね、企業説明会
サイト見れば一発で分かるようなことを長々説明されるし、パンフは荷物だし交通費は高いし失うものしかないんだよね。
けどどの会社で働いている人がどういう人なのか、どういう事してるか、嘘ついてるか、ついてないか、とか話してるとなんとなく実態を把握できるので余裕があればどんどん参加してみてはいかがか。
〆の文章がいつまで経っても下手だな。
えー、最近あんスタ始めました。意外と面白いです。まる。
こんなところ読む暇があるなら今すぐヘルシングを読んで下さい。