【ネタバレ】スターウォーズ スカイウォーカーの夜明けを観て思ったこと

「泣きたくてスターウォーズを観てるわけじゃねえ!!!」
スターウォーズEP9が泣けると評判で僕が頂いたのはレジスタンスばりの反骨精神だった。
スターウォーズというのは感動とかそういう安っぽいものを求めて観る映画じゃない。哲学的な教えがつまってて(どんな哲学かと言われてしまえば上手く言葉にまとめられないのだけど)、芯に一本太い信念があって、悪役とはいえ感情移入出来るキャラクターが魅力な映画であって、泣きたくて見る映画じゃない、そういうタイプの人間とは分かり合えない。

奇しくもスターウォーズと同じく9つあった年末年始休暇の8日目、予め購入していた前売り券を持って「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」を観た。
舐めててすいませんでした。馬鹿みたいに泣きました。

コレだ。見たかったスターウォーズってコレだ。
涙腺がファルコン号なみにボロボロなので本編中にも何度かポロポロと泣いてたけど、終盤のメインテーマがかかるあのシーンでもう止まらなくなってしまった。聴くと何となく元気が出てくる曲としてインディ・ジョーンズのテーマソングと同じ立ち位置だったけれど、あんなに力強さを感じさせるテーマソングだったとは思わなかった。なんて頼もしくて眩しいくらいの希望に溢れているんだろう。あの時の高揚感はあの音楽でしか表せないだろうし、自分が実際もし仮に同じ場にトリップ出来るとしたら(そうじゃなくても絶望的な場所からとんでもない希望を目の前にしたら)本当にあんなテーマソングが流れるんだろうな。まさかテーマソングに涙腺がヤラれる日が来るとは思わなかった。エンドロール時でもやられた。

スターウォーズの魅力はお約束と裏切りのバランスなんじゃないかと思った。
ベイダーがルークに放った「No...I'm your father.」は映画史に残る裏切りだったし、ハン・ソロの言葉もファンには堪らないお約束になってEP9はそのバランス感覚が絶妙で最高だった。裏切り要素もしっかり入れつつ、X-ウィングのかっこよさや、ソロの「I Know」もちゃんと見せてくれて、とてつもなく満たされた気持ちになった。
ぜんぶ正解だったんだなと気がついた。

裏切りっていう点では、酷評されているEP8もちゃんとスターウォーズだよなと改めて思った。
なかなか予定通りに物事が進まず、足踏みして足踏みして、さあ巻き返し!のアクシデントのありまくる無茶でハラハラさせられる展開に、僕はスターウォーズらしさを感じる。EP9を見終えた後だとEP8の見方もまた変わってくる。全ての伏線が回収出来るのかどうかは分からないけれど、少なくとも新しい知識がインプットされると見える世界も変わってくるはずだ。
少し話が逸れるが、個人的にニュースを見ている時に抱いた感想が自分の経験や思想を一番リアルに反映してくれているように思う。
親からDVを受けていた人間が大人になって子どもを産むとして、その親が、自分が虐げられていた時と同じ過ちを繰り返してしまうというニュースを見ると、心の奥底では「やっぱりね」と思ってしまう嫌な自分がいる。
大した経験をしたわけでもないのに、結局血は争えないと冷めた目線で無理やり自分の物差しに当てはめようとしてしまう。
けれどEP9を見て自分の物差しなんて全くアテにならないのだと思い知られた。スターウォーズはもちろんのこと、映画や物語は作り手の加減によって計算されたストーリーの上に成り立っているフィクションで、ぶっきらぼうな言い方をすればただの嘘だ。それなのにレイアやルークの信念の強さや、優しさと愛情に胸を打たれた。心を殴られたようでもあった。血筋を気にして先入観の凝り固まった発想では、他人のことなんて理解し切れるわけがない。自分の物差しがあると安心感を得られるから一概に悪とは言い切れないけれど、自分の物差しが正義とは限らない。強い絆は血縁関係じゃなくとも、共に過ごした時間の密度によって得られる。赤の他人同士でも通じ合える瞬間があることはきっとフィクションじゃないはずだ。スターウォーズのキャラクターたちはそれを僕に教えてくれた。今後は劇場でなく、実生活で、自分の目でそれを真実だと確かめたい。

フィンが劇中に「フォースに導かれてここまで来た」と言っていた(ニュアンス的解釈でテキストが正しいかどうかは微妙です)。
スターウォーズのある星に生まれ、スターウォーズが公開しているのと同じタイミングで生きていることはもの凄い確率だしほぼ奇跡だと思う。
劇中のフィンたちのようにみんなフォースによって導かれた人物たちであれば、数ある映画の中からそれを選び取って見ている僕たちもまたフォースによって導かれたのだろう。そんなこと、当たり前といってしまえば当たり前なのだけど。
そんなことを考えたくなるくらい、熱量と愛情を感じる映画だった。フォースと共にあらんことを改めていい言葉だと思った。

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