「向いている」や「向いていない」を、考える。(前編)。
ある時期に、とても強く響き、すごく気になる言葉があるのに、年齢が高くなるほど、その感じを忘れてしまうことを、小説を読んで、思い出した。それは、仕事などに「向いている」か、「向いていないか」という言葉だった。
「しんせかい」 山下澄人 この小説は、演劇を学ぶために、遠く人里離れた場所で集団生活をする、という話なのだけど、主人公の、この場所への微妙な心理的な距離感の遠さなども面白く、それでも、まだ何にもなっていないけど、何かになろうとする人たちの、いろいろな切実な気持ちの動き