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1分読み切り短編小説「天と地と人」

妖艶な美しさを持ったその女は、
天術の使い手。

名前をレイという。

天術とは天を操る術をもつ。

その美貌を気に入った
西の王はレイを召し抱え、

偶然、天を意のままにすることになった。

王は西の大陸を掌握し、
さらに西、南、北へと勢力を伸ばした。

天を味方につけた西の王に、
南の王も北の王も
跪くしかなかった。

残すは、
広大な海に阻まれた
東の国だけだ。

数々の国が
東の国へ侵攻しようとしたが、

ことごとく
天に阻まれ、
船は荒れる海の底に
引き摺り込まれている。

しかし、
この度、天術を使う女を
手に入れた。

天下の覇権は
今まさに西の王が
握ろうとしていた。

いよいよ
東へ侵攻しようという時、

レイが王に進言した。

「王様、東に私の力は及びません。
どうか東への侵攻をやめ、
和平をお結びください。」

王は、その進言を
最初嘲り笑ったが、

「いや待てよ、
天術を使うほどの女がいうことだ。
従ったほうがいいやもしれん。」

と、東の侵攻をやめた。

東の国に、
人術を使う男がいた。

人術は、字のごとく
人を操る術だ。

人術の使い手は、
天術の使い手レイに
手紙を送っていた。

レイは、
その言葉
一言一句に酔いしれた。

レイの心は
人術の男の手にあった。

こうして東の国は
安寧を得た。

遠距離だったが、
やがて
人術使いもレイに
心を奪われるようになった。

しかし、人術の男は
地に足がつかない思いをしていた。

地術を使う
妻に手紙を読まれたからだ。

天下は、やはり
カカアのものだった。

(おわり)

作/画 りょう

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(あとがき)

レイにはモデルがいる。

その人に、
算命学という
占いをしてもらったご縁。

イラストを気に入ってもらい、
「私を描いて欲しい」と
言われたので、
小説にもしてみた。

綺麗な人なので、
こんな話にした。

カカアに怒られそうだ。

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