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【仕事編①】「地方公務員」って何をしているのか

 みなさんは地方公務員にどのようなイメージを持っていますでしょうか。 
 「住民票の発行とかルーティンワークが多そう」や「毎日同じことの繰り返しでやり甲斐がなさそう」など、あまり良いイメージがないような気がします。私も実は、地方公務員になる前はそんなイメージを漠然と持っていました。

 しかし実際働くと、同じ地方公務員・同じ役所内でも様々な仕事があり、それぞれにやり甲斐があると知りました。
 今回は、私の主観で、実際に政令指定都市の行政職員として働いてきている経験に沿って仕事を整理したいと思います。



1 本庁と区役所

 まず初めに、職員採用試験に合格すると合格通知が送られます。「合格=採用」ではなく、当然合格しても他の公務員や民間企業に就職する方もいますから、その過程を経て採用職員の定数に合わせて採用通知が届く仕組みとなっています。
 無事に採用通知が届くと、その後に待ち受けることは、「入庁前面談」かと思います。要は、新規採用職員をどの部署に配置するか人事が決めるために、合格者にやりたいことなどをヒアリングするのです。
 「どんな仕事がしたいですか」という定番な質問に答えていくものですが、私は当時大学での卒業論文で発達障碍者向けSNSを開発研究していたことから、「福祉関係の部署で働きたい」こと、また都内の実家から通う予定であることから「都内からなるべく近くの勤務地が良い」と言った記憶があります。
 4月1日に入庁式が行われ、その時に初めて配属先が知らされます。私は都内から最もアクセスが良い区役所の福祉課でした。後から知りますが、新規採用職員のほとんどは、初めは「区役所」配属となります。
 区役所の仕事は市民と身近に接することができる基礎自治体としての業務が多く、公務員としての姿勢や責任感、また様々な行政サービスの基礎知識を得ることができます。
 中には初めから本庁配属の職員もいます。本庁業務は区役所と違って広域行政の業務であり、配属場所によっては市民とほとんど関わりなく、福祉や経済など各分野の市としての方針や各種施策・事業を行っていきます。そのため、転職による新規採用職員でなければ、区役所を経験してから本庁配属の方が、スムーズに仕事に馴染んでいけるかと思います。


1 初めての仕事 「区役所」と「福祉」

 私はある区役所の福祉課との内示でした。何の下調べもしていない私は、「障碍のある方への支援をするのかな」と思っていましたが、私が働く政令市では区役所の福祉課は生活保護担当で、障碍者の支援などは支援課が担ってました。また、福祉職採用もしておりますが当時はまだ人員が少なく、行政職員がその不足分を担い、ケースワークも行うような組織体制でした。

 生活保護の仕事に慣れるのには苦労しました。
 周りの同期の育成担当は、少し上の3〜5年目の先輩職員である中、私の育成担当は係長級であり、また教え方も手取り足取りではなく基本的には「見て学べ」というスタイルでした。
 しかし、その教え方が私には意外と合っており、育成担当だけではなく周りの先輩職員や同期の仕事で参考にできることがあれば全て取り入れることで、基礎を学びながら自己流の応用による業務効率化も試すことができました。また、その効率化の手法を課内に普及させることで、私が働く区福祉課は行政区の中で最も残業が少ない区となりました。


2 生活保護のケースワーカー

 生活保護担当の仕事は大きく分けて二つ、「相談対応」と「受給者支援」です。
 「相談対応」は毎日窓口や電話で来る生活相談の対応であり、具体的にどのような生活をして何に困っているかを面談し、生活保護の申請を受け付けます。その後、受給開始にかかる行政手続きを行いながら、受給者の生活支援を行います。その「受給者支援」とは、その方の状況に応じた受給額の決定を毎月行う行政事務よりも、訪問し実際の生活状況と健康状態を観察し聞き取ることが主でした。
 私が働く区役所では、1人の職員が90世帯を受け持ち、ほとんど毎日外出し家や介護施設、病院などに訪問して状況観察をしていました。受給者も高齢者や障碍者、若い方、父子世帯、母子世帯、多子世帯と様々です。
 状況観察もただ聞き取るだけでなく、その方が苦しんでいる真の原因に触れ、こちらの精神も追い込まれてしまうことが多々ありました。また、家庭状況を観察してDVやネグレクトなどの疑いがあれば、すぐに他部署と連携して対応することもありました。
 この受給者支援は職員に大変な負担があり、日々の時間外労働だけでなく年末年始も救急対応があれば休日出勤するなど休みがなく、仕事に慣れている先輩職員でも何人かは精神的な不調で病気休暇に入ってました。


3 「仕事」との距離感

 その中で私は、生活保護の仕事を「人の人生に触れる仕事」と捉え、彼らの苦しみや悩みを少しでも和らげ自立に向かえる手助けをする気持ちで、個々人に深入りせず適切な距離感で接しました。
 1年目は月70時間の残業でしたが、2年目になると要領が分かり、時間の使い所を上手く調整することで残業は月20時間程に削減できました。

 3年目の時には余裕ができ、「何故彼らはこの市に住み続けるのか」と疑問を持つようになりました。
 というのも、訪問すると多くは私達行政への不満や市の悪口を聞くのですが、何故かそういう方に限って長く定住しているのです。担当する世帯は毎年度変わるのですが、3年目で担当した世帯との関係性も構築できてきた頃、「何がこの市の魅力なのか」を訪問中に聞くと、その年代によって様々な答えが返ってきました。それらを聞いている内に、「今は困っている人の人生を支える仕事にやり甲斐を感じるが、色々な人を魅了し定住してもらう取組も面白そうだな」と思い、その年は地域ブランド研究の研修に参加したり、「地域ブランドを作る仕事」として経済系部署への異動希望を出しました。

 次回に続く・・・


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