小川山 ロックトリップ
「最近、岩の声が聞こえる気がする......。」
そう思いはじめたきっかけの1つをご紹介します。
舞台は山梨県と長野県の境にある標高2,418mの小川山。
1,980年代以降、フリークライミングのメッカとなった地です。
9月ー前夜泊をしてクライミングに備える所からスタート。
小川山は肌寒く、夜と明け方は冷え込みました。
寒さはフェールラーベンのシュラフで凌ぎ、本番を迎えました。
いざ、目的の岩壁までアプローチを開始!
怖いとか不安よりも
「至極最高」
という気持ちが強かったです。
目的地までは徒歩でのアプローチをします。
ロープやクライミングギアの重さは相当な重量があり、山道は結構辛い......。
ロープを使うクライミングではロープ(命綱)のプロテクションを取る為に
【カミングデバイス】というものや【クイックドロー】といったギアを使います。
これらを岩壁に設置していき滑落を防ぎます。
荷重がかかっても壊れにくいよう金属でできている為かなり重く、
これを腰のハーネスや肩からかけて岩を登ります。
この日登った岩壁は、「屋根岩第二峰」と言われる岩壁です。
小川山には大量のクライミングルートがあり、
その中の1つ「セレクションルート」を登っていきます。
今回のルートは60mのロープを6回使う(ロープ1本分=1ピッチ)の長い距離を
バディを組んで登っていきます。
この登り方を「マルチピッチクライミング」と言います。
さてさて、最初の1ピッチ目は岩の亀裂(クラッグ)に手を挟み込む
「ハンドジャム」と言われる技術を使い登っていきます。
「これがめちゃくちゃ痛い!!」
悲鳴をあげながら登攀(とうはん)をスタート......。
2ピッチ目は切り立った「スラブ」といわれる壁で、手や足を掛ける場所などはほとんどなく、粒のような凹凸に体重をかけながら慎重に登っていきます。
ここでもかなりの高度感と恐怖感が襲ってきます。
3ピッチ目もクラッグが続くルートに、
亀裂の幅はさらに広くなるので手だけではなく腕全体を捻じ込み、
足も亀裂に捻じ込んで気合で登ります。
手と足首への負担が強烈で長時間は耐えられないきつい登りでした。
4ピッチ目と5ピッチ目は比較的登りやすさがあり、中間地点で写真を撮る余裕も
ありました!
岩と樹林が一体化した独特な峰々は壮観です!
ついに最終ピッチ。
長かった登りもあと少し、
ここからは気力の勝負です!
まさに
「魂の登攀!!」
腹這いになって、岩に張り付きよじ登ります!!
高度感は最高潮に達し、
「スリル満点!!」
最後まで気を抜かず登り切りました!
登りはじめて約6時間でトップアウトしました!
「感無量!!」
達成感が尋常じゃないくらい込み上げてきて、
登り切った時は思わず叫んでしまいました〜。
無事に登り終えた安心感は束の間、
冒険というのは最後の最後にも試練を用意してくれます。
頂上からは60mの壁を「懸垂下降」と呼ばれる方法でロープを伝いに降下します。
クライミングで1番事故の多い行程で、真剣に取り組まないと一瞬で死ぬ。
安全確認を行い、すぐさま降下していきます。
ロープだけが頼りになるので緊張感が走ります。
無事にクライムダウンをして今回の冒険は幕を閉じました。
これを機に
「登れるものなら登ってみよ」
と岩の声が聞こえる気がします。
他の山でも岩壁や岩を見ると、どのルートを行けば登れるかなんてことを
考えるようになりました。
最後に、クライミングは技術や経験、ギアの知識、取り扱いをしっかりと学ばなければ死に直結するアウトドアです。
経験を重ね技術を十分に理解し、自身に合ったグレードで楽しむのが鉄則です。
みなさんもクライミングをする際は事故に注意しつつ、楽しんでください!!
それではまた、次の冒険でお会いしましょう!
FJALLRAVEN by 3NITY 新宿小田急ハルク 小林
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