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アイスコーヒーの苦みの奥に

神戸ジャズフェスを見学し、若い頃のジャズ喫茶の居心地の良さを思い出す。
暑くて喉も乾き、疲れたのでカフェで休む。
コーヒーの心地よい苦みが疲れを全身から溶かして行く。
暇つぶしに新聞を読んでいると、いつの間にか眠りの中に引き込まれた。
先ほどのジャズフェスの場面が脳裏に浮かんで来る。

トランペットの響きで懐かしい記憶が蘇る。
若い時に旅行先、冬の青森で聞いた日野皓正のコンサートを思い出す。
ジャズのビートと観客達の熱気で会場内は夏ムード。
あの感激が忘れられない。

神戸の異国風情の潮風がジャズに熱風を吹きかける。
演奏者達や観客も汗だくだ。

学生の演奏者達は真面目そうでお洒落だ。
一昔前のやんちゃで影を背負った風貌ではない。


女性演奏者達は自由にファッションと演奏を楽しんでいる。
ジャズはドラマ性からバラエティーに変化するのか?
             ここには厳寒の青森のドラマ性はもう無い。                        拍手と歓声と明るさが存在する。
ハスキーボイスの女性歌手が私に語るように歌う。
会社時代には女性には仕事でも多く振り回されて来た。
歌手は私に女性の愛情の複雑さと深さを語りかけている。



私も昔に還り、心に言い訳をする。
私の思いはアルトサックスにかき消されていく。


彼女の愛の歌は聴衆の心にも突き刺さっているようだ。
私はアイスコーヒーの心地よい苦みから抜け出せないでいる。


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