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従業員の昇給月によって会社にキャッシュが残る理由[2022.6月号]

こんにちは。
企業においては決算や会計年度の切り替わりと時同じくして、大切な従業員様の生活をより豊かにする為の昇給、昇進などの人事評価、給与評価の見直しを迎えられている企業様も多いのではないでしょうか?

今回は、昇給時期によって、会社にキャッシュが多く残る理由をお話ししていきます。

昇給時期と社会保険料の関係

社会保険料というのは標準報酬月額や標準賞与額によって変動します。

Q.標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
会社(事業所)に勤める人で、一定の条件を満たした場合は、厚生年金保険の被保険者となります。

 会社に勤める人が会社から支給される基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えた1ケ月の総支給額(臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等を除いたもの)を「報酬月額」といいます。

 報酬月額を保険料額表の1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分け、その等級に該当する金額のことを「標準報酬月額」といいます。

 被保険者の「標準報酬月額」は、事業主から提出された届書に基づき日本年金機構(年金事務所)が決定します。
https://www.nenkin.go.jp/faq/nteikibin/teikibinkisainaiyo/nofujokyo/20140602-02.html

いずれも共通する部分として、在籍されていらっしゃる従業員さんの毎年の定時決定の場合は、年1回、7月1日になる前の3か月(4月、5月、6月)に支払った報酬月額が事業主から提出され、このときに、その報酬総額をその期間の月数で除して得た額で標準報酬月額を決め直します。

つまり、4~6月に支払った報酬月額が昇給や残業等によって上方向に引き上げられている場合、比例して社会保険料も引き上がる事になります。

社会保険料の原則は企業との労使折半

2022年5月現在、社会保険料率は約25%~30%です。
それらを企業側が12.5%~15%、労働者側が12.5%~15%ずつ負担する事で健康保険や将来の年金等のサービスを国から受けれるものです。

つまり単純計算で、給与100万円あたりに対して
企業側が12.5万円~15万円、労働者側が12.5万円~15万円の負担をする事で概ねの社会保険料を算出することが出来ます。

昇給時期から4~6月を外す事で社会保険料の上昇を1年繰り延べる

定期昇給等の時期を社会保険料の標準報酬月額の原則である4月、5月、6月)に支払った報酬月額と重ならせない事で、社会保険料を最大1年間先送りする事が出来ます。
つまり、4月で昇給すると増えた後の給与の額で、1年間社会保険料が計算されますが、7月以降に昇給すると社会保険料は昇給前の給与の額で1年間計算されることになります。

もし仮に、従業員さん一人一人の昇給額というのは年額にすれば大きい金額ではないとしても
例えば月給1万円アップの方が10名いらしたとすれば、会社としては給与支払いベースで年間120万円のコストアップ。
企業と労働者の双方にとっては、社会保険料の負担増となるはずの年間15万円~18万円を繰り延べる材料が出来上がります。

社会保険料の上昇を1年先送りする上での注意点

昇給前の標準報酬月額と昇給後の標準報酬月額によって2等級以上の差が出ないようにする。

(3)随時改定
昇給や降給により、支払われる報酬月額が大幅に変動した場合に、事業主からの届出に基づいて標準報酬月額を改定します。
 これを随時改定といい、その年の8月まで使用します。 ただし、その年の7月以降に改定された場合は、翌年の8月まで使用します。
 随時改定は、固定的賃金(残業代などの非固定的賃金ではありません。)に変動があり、継続した3か月間に支払われた報酬総額を3(か月)で除した額の標準報酬月額を従前と比べてみて、2等級以上の差が生じたときに改定します。これは定時決定まで標準報酬月額を決め直さないと、実態と大きくかけ離れることになるために設けられているものです。
https://www.nenkin.go.jp/faq/nteikibin/teikibinkisainaiyo/nofujokyo/20140602-02.html

つまり、2等級以上増加しないように注意する必要があり、仮に2等級以上増加する場合は、社会保険料の等級も随時改定の対象となります。
また、社会保険料の納付金額が減る事で、会社にとっては経費削減となり、従業員さんにとっては手取り額が増えるといったメリットがある反面、将来受け取る年金受給額が減る等のデメリットも発生する可能性があります。

今後、日本の社会保険料がどうなるか。

日本の出生率の低下、国民の人口推移の予想や年金受給年齢の繰り下げ等を考えると、この記事では多くを言及はしませんが、個人的には社会保険料負担や社会保険制度の維持についての将来性はそう明るくはないように感じます。

この中で、その捻出を小さなコストとして捉えるのか、なるべく手元のキャッシュを減らさないものとして捉えるのかで、将来手元に残る金額が変わってくる話かもしれませんね。

本業で生命保険の話や、個人的に様々なお金の話をしますが、誰もが今すぐ効果の出る劇的な「売上アップ」「コスト削減」「節税」「利息」が欲しいものです。
「ゆっくり金持ちになりたい人なんていない」と、とある有名な投資の神様は言います。

私自身の保険屋としての活動にも通じる部分ですが、事業の中でも長期戦略と短期戦略を分けて考えていく事が大切と感じる事の多い今日この頃です。
私が生命保険を通じて、お手伝い出来る事も、一企業の社長の勇退や世代交代までを含めた長期的目線。
その中で、どうやって今あるお金に色を付けてヘッジしていくのか。薄く長くの積み重ねが効いてくるのは時間が経ってからです。

ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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