【短編小説】ロボット。
ロボットの僕は、燃料が切れると動けなくなる。
他のロボットたちもそうだ。
働きすぎると、機器が熱を帯びて、パンクする。
状況によっては働きながら充電することだってあるけど、そうすると、そのロボットの寿命は短くなる。
部品を直しても、充電しても、動けなくなる。
ふふっ、まるで人間のようだろう?
眠眠打破を飲みながら、24時間365日働き続けることには限界がある。
つまり、何事にも、誰にでも、休みは必要ってことさ。
でも、人間の君たちには、ロボットの僕にはないものがある。
それは、娯楽だ。
家族、友人、ご飯、お酒、趣味、睡眠、旅行…
…皮肉ながら、仕事が含まれる奴もいるかもしれないな。
僕にはこれくらいしか思いつかないけど、他にも沢山の娯楽があると聞いている。
勘違いするな。
動けることに感謝しろとか、疲れてるだろうから休めとか、そういう話をしているわけではないぞ。
これは、僕の中での事実を伝えているだけに過ぎない。
僕には僕の事実があって、君たちには君たちの事実がある。
己に感謝したければ感謝すれば良い。
己が休みたいなら休めば良い。
かれこれ僕も、ロボットとして長くて生きてきたつもりだ。君たちと共存してきたつもりだ。
少しは君たちのことを理解できたのではないかと思う。
だから、これを見ている君に伝えよう。
他人に言われた事実じゃない。
君の中での事実を信じたまえ。
君の人生は、君が決めるんだ、とは言わない。
迷惑をかけろ。頼れ。悩め。苦しめ。悲しめ。喜べ。楽しめ。自由になれ。そして死ね。
ロボッ、トの僕には、できないそん、な人生を、勝手、なが、ら君に、託さ、せてく、れ。
そ、ろ、そ、ろ、充電が、切れ、そ、、、だ。
ああ…
にん、げん、に、うまれ、たかっ…
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