いい病院・医者はどこに?(その8):訪問者の騒がしさにイラつき、保険適用金額にドキドキする
2023年の夏頃に、卵巣脳腫が再び大きくなっている事が発覚し、2024年の1月初旬に無事に手術を終えた。
手術後24時間、経過観察をした後、問題無しと判断されて、排泄装置を外し、一人で歩く事を許可されたが、いつも何気なくできていた日常動作ができず「ハテ・・・?」と一瞬戸惑う。
立ったり、歩いたりを少しづつ思い出しながら、再び人間に戻る練習をした、入院2日目であった。
さて、入院2日目の晩に、初日から一緒であった同室の家族が出て行った。退院なのか、部屋を変更したのかは分からないが、二人部屋は突如がらんと広い部屋に感じられた。
部屋の掃除等を担当するシスター(インドでは医者以外の女性スタッフをそう呼ぶ)達は、片方のベッドを片づけながら「Mam'm(インドでの女性に対する敬称)、良かったねえ~。今日は一人で伸び伸びできるわよ!」と声をかけて戻って行った。
基本インド人のスタッフは気のいい人が多いと思う。
同室の人と自分を隔てているのはうっすいクリーム色のカーテンのみだし、そのカーテンもスタッフが行き来する時に引っかかって開いてしまい、プライバシーも何もあったものではなかった。
は~やれやれ。
と、一人になったので、大胆にもポットキャストやYoutubeをイヤホン無しで聞いたりして、のんびりしていたのだが、夜になってあっという間に次の人が入院して来てしまった。
私の一人な自由時間は一瞬で終わりを告げた笑
ここは産科婦人科で、どうやら産気づいた妊婦さんとその夫がやってきたらしく、女性は陣痛に耐えているのか、「ううう~っ」とか「はあ~ふぅ~」とか言っており、男性が体をさすったりしている様子。
自分の出産は20年近くも前で、痛かった事は記憶にあるが、もう「喉元過ぎればなんとやら」で、思い出せない笑。隣のベッドで横になりながら、心の中で(がんばれええ~)と応援していた。
個人差はあろうが、陣痛を耐え抜いた女性は全て賞賛に値すると思うのだ。
隣で痛みに耐えている様子聞こえてしまい、また、日中に大して動いていないので眠たくならず、消灯時間以降も眠りは浅く、ウトウトしながら、朝を迎えてしまった。
その為、朝のお茶やスープが提供されている事にも気づかなかったらしい。
朝食が提供される頃にはやっと目が覚めて、朝食を食べて、一人でトイレに立って行き、少しづつ体を動かし、同時に体をよく休めるように努めた。
午前中の巡回で、回復も順調だったので、午後になったら退院の手続きをしてもよいと許可が出た。やはり腹腔鏡の手術だと回復が早いな、と前回の経験からも感じる。
そんな中、朝の10時頃に隣の妊婦さんはいよいよ出産となったのか、分娩室に移動していき、数時間後ぐらいに、無事に出産を終えたらしい親子が病室に戻って来た。
無事に出産を終えたのはめでたいのだが、イラついたのはここからだった。
恐らく「生まれたぞ~!!」と言う連絡が家族・親戚・友人に回りまくったらしく、母子が病室に戻った頃からひっきりなしに人が出入りして、嬉しそうに語り合う様になった。
いや・・・いいんですよ?もちろんめでたいですよね??
だが、うるさい。
同室の人間の立場からすれば、こっちだって病人で安静が必要なんだから静かにして欲しいし、出産を終えた彼女は、戦地から満身創痍で戻った様なものなんだから、静かにしてあげなよ。。。
それに新生児の近くに、入れ替わり立ち代わり、外からの人間がやって来るのは衛生上あまりよくない気がする。(考え方が日本人っぽい。)
そんな感じでイライラしている私のところに病院の清算部門から電話がきた。「請求書が準備できたから、取りに来て」との事だったので、ちょうどよく病院に到着した私の友人にピックアップしてから病室に来てもらった。
請求書の内容は正直細かい点までは分からなかったが、合計金額は事前に貰っていた見積りより少し低いくらいだった。(二人部屋を選んだので)
そこで「内容は確認したから、いくら払えばいいの?」と(私の病室が二階、請求部門は地下一階だったので)電話したところ、「じゃあ今から保険の承認を取る。」との答えだった。
なんだ・・・もう自己負担の金額まで決まったワケじゃないのか。
前回の手術の時は保険の承認に3時間以上もかかって、結局付き添いの人が帰宅しなければならなくなってしまったぐらいだったが、今回はどうだろうか?
しかし、意外にもあっさりと保険の最終承認が終わったらしく、程なくして再度電話がかかって来たので、地下一階に支払いに行く事になった。(1時間はかかっていなかったと思う。)
ほぼ同時刻にSMSで保険の承認が下りた旨のメッセージが来ていた。そこに金額が記載してあり、詳細についてはリンク先を確認できる様になっていたが、詳しくはとにかく聞いてみた方が良い。
今回の手術については以下の様になっていた。(およその金額)
見積もり金額: 12万ルピー(手術+二泊三日の入院、一人部屋の場合)
保険の事前承認金額:8万4千ルピー
入院時のデポジット:1万ルピー(入院時に支払う一定金額)
問題は、事前承認金額でカバーされていない分が、最終的にどのくらい保険適用されるのか?である。
手術は予定通り終わっており、特別な処置はしていないし、術後の経過も良好なので、予算内で収まるはずだが・・・・。
果たして請求カウンターまで行ってみると、なんとデポジットで払った金額から約1500ルピーが返金された!!
つまり、実際にかかった金額の90%以上が保険でカバーされた事になる。
おおお~よかった!!神様ありがとう!!!
昨年から大きな人生イベント(息子の学費、引っ越し、そしてこの手術)がいくつかあったが、最後のイベント=手術がほとんど保険でカバーされ、これからの人生イベントの予算に回せる事になった。
なんとありがたい。。。
うきうきと返金を受け取り、帰宅の支度をする。
付き添ってくれた友人は車で来ており、「帰りなんか買っていくものある?」と聞いてくれたので、お願いしてマーケットに寄ってもらった。
退院時に処方されていた薬を購入し、一週間程髪を洗えず(入院前にシャワー行かないヤツが悪い笑)頭が痒くて仕方がなかったので、わがままを言ってサロンでシャンプーさせてもらった。
インドはデリバリー文化が発達しているが、絶対に必要であろう食材もいくつか買い込み、帰宅。
にゃんこ達と感動の再会と思いきや、「え、えっと・・・なんですか?ダレあなた??」みたいな塩対応されてしょんぼりする私。
そんな私に、友人は「退院祝いよ~」とお土産でもらったと言う羊羹をくれた。不思議と食欲は無かったが、あんこの甘さは食欲をそそった。退院後も服用しないといけない薬は多数あり、そのために少しは食べないといけない時に活躍してくれた。
友人は荷物を置いて、いくつか確認を終えると颯爽と帰って行った。
かっこいいなあ・・・。
退院したのは日曜日で、回復は順調であったが、明日はもう休もうと決めていた。マーケットに寄って、薬を買っただけでももう疲れてしまっている。
それに、退院時に「2週間は自宅で安静が必須」と言う一筆をお医者さんからもぎ取って来たので、さすがにこれに反論する人はいないだろう。
早めに少しお腹に入れて、薬を飲んで、ベッドに潜り込むと、いつもの様に三毛猫が「ベッドに入れてヨ!」とやって来た。
ああ~家に戻って来たんだ。嬉しいな。
手術も無事に終わったし、支払いもほとんど保険が適用されたし、友人が付き添ってくれたから心細くなかった。
物理的に一緒にはいられないけど、カナダにいる息子も、日本の友人達もメッセージで応援してくれたり、おしゃべりにつきあってくれて、元気をもらえた。
私ってツイてるなあ。
そう思いながら、三毛猫のゴロゴロを聞きながら一緒に眠りについた。
(注:白猫はベッドに誘っても来てくれません、笑)
(過去のnote)
「あれ?」と思ったきっかけ。
一つ目の病院。ほったらかしにされてムカつく。
二つ目の病院。友人から紹介してもらったお医者さん。
手術は確定。セカンドオピニオンを取る。
ついに入院時の付添人が決定!!みんなありがとう。
入院直前。病院で事前検査をするのかと思ったら、自分で終わらせておく必要があったと発覚。てんやわんや。
二人部屋を選択したけど、部屋には見知らぬ男が。。。
手術が終わって、それから24時間の経過観察。当たり前の事が出来なくなってしまった?
サポートいただけた場合は、「子供が売られない世界をつくる」を掲げてインドでも活動をしている、かものはしプロジェクトに寄付します。