見出し画像

驚きの結果に

以前、息子が親友にiPadをプレゼントをしたことを記載しました。

プレゼントを渡した時、H君の表情を見ているだけで、どれだけ喜んでくれたかが分かったし、また、その喜びを引き出したのが自分の息子だと思うとさらに嬉しく、「家に帰ったら(ビデオコールで)息子と一緒にipad開けて設定とかするんだ♪」と言っていたので、私もほっこりした気持ちで家に帰ったのです。

が。

「きっと、今頃、息子と一緒に話してるのかな~」とかわくわくしながらベッドに入っていると、息子から電話が。

なんと「お兄さん、お姉さんにipad取り上げられた」との事。

ええ~。。。なんで。あんなに喜んでくれたのに。

息子の親友H君は4人兄弟の末っ子だ。お姉さん、お兄さん、下のお姉さん、H君の順。インドだけに親だけでなく、上の兄弟からの影響力(支配力とも言う)は大きい。前にも私の調停の証人になることをお兄さんに阻止されている。(恨んでるよ、お兄さん)H君は高校では成績トップで、医学部を目指しているのだが、高校卒業直後に、コロナの為に試験が延期され、つらい時期を過ごしている。

息子によると、iPadはお姉さんに取られてしまったらしく、言い分としては「こんなものがあると勉強に集中できないから。」との事であった。H君はプレゼントをもらって私と別れた後、自分の部屋ではなく実家に帰ったようで、そこでiPadを見られて、問い詰められ、しまいには取り上げられてしまったようだ。

しかし、今時、オンラインの授業が一般的だし、動画を見て復習することもある。課題だってオンラインじゃないと提出できない場合もあるのに、H君はスマホしかない。以前記載した通りにつらいことが立て続けに起こったことも、息子がお金がかかってもiPadをプレゼントしたがった理由の一つだが、もう一つはパソコンかタブレットが勉強に必須のツールなのに親が提供していないこともあった。私はH君なら、iPadをいつ、どのように使えばいいかわかっていると思うので、勉強の妨げになるとは思わない。

息子は怒髪天をつく勢いで、怒っていた。iPadを取られたことよりも、H君の親兄弟がH君に寄り添っていない事が理由だ。

私は、失礼だけどH君のお兄さんは盗人だと思う。

H君は笑い話みたいにして言うが、お兄さんは、H君がブタの貯金箱(割らないと取り出せない)に大事にこつこつ貯めていたお小遣いにこっそり穴を開けて、針金を使ってお金を取り出したり(お札を取ってコインを入れておくという念の入れよう)、銀行口座に移してからは8,000ルピーをよくわからない理由で横取りしたり、「お父さんとお母さんがXXが欲しいって言っているんだ。。。お前もお父さんとお母さんを喜ばせたいだろう?」と言っていつもお金を巻き上げたり。。。。。

お兄さん、あなた、プロの泥棒ですよ?

お姉さんは、今H君が苦しむ原因を作った張本人だ。

H君は非常に成績の良い生徒で、高校卒業直前には英語以外はすべてA+という素晴らしい成績をたたき出していた。イギリスでもアメリカでもトップの大学に問題なく入学できるレベルであった。大学をどこにしようか悩むH君にお姉さんは「お金の心配はしなくていいからアメリカの大学への入学手続きをしなさい。」と言った。H君はそれはもう大喜びで色々大学を調査し、入学の手続きを進めた。しかし、1か月後ぐらいになってお姉さんは「ごめん、やっぱりそんなにお金ないわ」と言い出したのだ。

その頃にはインドの大学の願書は締め切られていた。H君は浪人する以外の選択肢が無くなってしまった。。。。

その後、コロナの為に受験したい試験が延期になり、また、高校のカリキュラムの違いにより試験を受けたものの結果は全くダメだったり、H君は長い間、暗いトンネルの中をもがいている。

「あの時大学に入れていれば」ときっと何度も何度も後悔したんじゃないだろうか。それでもH君は文句を言わず、明るくまっすぐ、気持ちの良い青年だ。

毒親(この場合は毒兄弟?)と言うのは以下に定義されているが、親兄弟が彼に寄り添っていない、彼の将来のむしろ障害になっている時点で、毒家族と言えるのではないだろうか。

インドは家族を大切にするカルチャーで、それはとても素敵な事であるが、運悪く家族が「毒」であった場合、それはとてもつらいものになるだろう。ましてやH君の様に未成年で、かつ自立できない状態であれば、自立するまでは耐えるしかないのだ。

息子にはH君の力になってやって欲しいが、当の本人だって収入が無い。(余談だが息子には早くアルバイトだけでも始める様に言っておいた。)お金は力だ。それでも息子はH君の力になりたいと真剣に願っているし、H君も同じだ。お互い家族には恵まれないけれどもまっすぐに育っていて、素晴らしい事だから、私はできる限り応援してやりたいと思う。

Chosen familyと言う言葉がある。

血のつながりはないけど自らの意志で家族として選んだ人の事を言うのだそうだ。H君は私と息子にとってのChosen familyなんだろうな~と思ったりする。つらい思いもしてきたが、そんなふうに思いあえる相手に巡り合った息子は幸運だったと思う。これからも二人の友情を見守っていきたい。

ちなみに、息子はH君のお姉さんにかなり強気に出たらしく、最終的にはiPadはH君の手元に戻ったらしく、私も一安心したのだった。よかった!!






サポートいただけた場合は、「子供が売られない世界をつくる」を掲げてインドでも活動をしている、かものはしプロジェクトに寄付します。