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カモネギ

前回は、苦難の末?やっと引っ越し先に到着したところまで書いた。

手伝いに来てくれた友人を見送った後、まだもう一つやらなければならないことがあった。

それは、駐車場の確保だ。

このくらいの規模のソサエティだと、最低でも車1台分のスペースはデフォルトでついてくる。この時、自分の駐車場が分からなかったので、私の車はソサエティの敷地の外に駐車してあった。周りには幹線道路と原っぱしかないので、停めておくこと自体は問題ないだろうが、盗まれたり、強盗にあっても困る。以前、一回レッカーされかけたので、トラウマになっている。

以前住んでいたエリアは、ベンツ、BMW、ボルボ、などの高級車しかない様なハイソなエリアだったが、ゲートの外に置いていたら、引っ越しの次の日ぐらいに後ろのガラスを割られてしまった。金目のものが無かったのか、それ以外の被害はゼロだったが(笑)

ここでもはやり油断はできない。

仲介業者に電話で聞くと、地下一階にメンテナンスがあり、そこで、駐車場の場所を決めてもらうのだそうだ。どこか分からなかった私は自分のタワーのセキュリティのおじさんに聞いた。(この手のソサエティは、各タワーの入り口にセキュリティが配置されていて、入出館を管理している。)おじさんは親切に、もうこの時間には担当の人がいないから、今日はビジター用の駐車場を使い、明日、メンテナンスに行くように教えてくれた。

その間に、「出身はどこ?」「さっきの人は旦那さん?」とか雑談もしたり。私としては親切にしてもらい、嬉しくなったのだったが。


部屋に戻り、ベッドが無いので、毛布を2重に敷いて、根っころがる。体は疲れているのに、どうにも神経が高ぶって眠れない。その上、ベッドじゃないから、背中も痛い。

さて、引っ越しの道中は、にゃんこたちが大騒ぎして大変だったことも書いたが、にゃんこたちだって新しい環境に慣れる時間が必要だ。それは私も理解できているのだが、困ったのは「みんなどこに行ったか分からない」ことだった。

引っ越したばかりの部屋で、大きな家具もないのに、みんな怯えて隠れてしまうので、どこを見ても見つからない。と言う現象が、到着直後から、最初の夜中の間ずっと繰り返された。にゃんこたちが逃げたらいけないので、絶対に窓は開けたりしないので、必ず部屋の中にいるはずなのに、見つからない(笑)

うとうとし始めると、誰かの気配が亡くなって、「はっ!!」と目が覚めて、探し回り、見つけては、また目が覚めて探す、という事を繰り返した。次の朝になるまで、何度も何度もにゃんこたちがいる場所を確認してからじゃないと眠れず、次の朝はひどい寝不足であった。


さて次の日、仕事を始めつつ、合間に部屋の片づけをしているとチャイムがなった。出てみると昨日親切にしてもらったセキュリティのおじさんだった。何の用事かと思っていると「駐車場の場所を教えてもらった?」と言うので、「仕事があるから後で行く」と答えると、ヒンディー語で色々話始めた。詳しくは分からないけど、悲しそうな顔をして「500ルピーちょうだい」「大変で。。。」「薬が。。。」と言うのは分かった。

必要経費なのか、この人に無心されているのかが分からなかったので、「今から会議に入るから午後に」と言ってドアを閉めた。こういう時、ドアの前に網戸式の鉄製のドアがあるのは本当にありがたい。(家の中に押し入ることはできないから)

その後、同じソサエティに住んでいる友人に聞くと「そんな支払いはないから、絶対に誰にも何も払っちゃダメ」とくぎを刺される。「まさか払ったんじゃないよね?」と言うので、「いや、払っていない」と言うと、友人は安心したようだ。

夕方になって友人は家に来てくれた。

「セキュリティの所に行こう。」と言うので、一緒について行った。「この人に500ルピー払ってって言っただろ?何のため?」と友人がセキュリティのおじさんに聞くと、「いやいや。借りようと思っただけ。」とごまかし、「名前教えて。」と友人に聞かれても絶対に名前を言おうとしない。(言えば、上に報告されるからだ。)しばらく押し問答をしたのち、友人は引き下がったが、私としてはこれで十分だった。

私に変な事すれば、文句を言いに来る人が居る、と言うことが示せれば十分だ。この手のやつらは小悪党なので、誰かがいる、と分かればあまり変な事はしてこない。わざわざ来てくれた友人には本当に感謝する。普段はぽ~っとしていそうなタイプなのに、必要な時はちゃんと主張してくれるので頼りにしている。

このセキュリティにとっては私はまさに「カモネギ」だったんだろうと思う。

どう見ても外国人だし、セキュリティのおじさんよりは稼ぎがありそうで、ヒンディー語が分からないから同情に訴えればいけそうだし、その上、引っ越しの時にいた男の人はこいつ(私)の夫ではなくここにはいない。

チャンス!

・・・と思ったんでしょうね。(笑)

読みは悪くなかったと思いますがね。確かに私も騙されやすいタイプだという自覚はあるし、「払わないといけない」と言われると払う気になってしまう。よくインドで生き残ってるなって思ったりします。

特に今回の引っ越しを通じて思ったのは「女が一人でいる(と思われると)なめられやすい」という事を体験を通して感じました。それはインドだからか、他の国でもそうなのか、それとも私に固有の事なのか、よくわかりません。でも、それに負けることなく、生きていきたいと思うし、女だからって甘く見ているやつは尻を蹴っ飛ばしてやりたくなったりもして(笑)

きっと、我々女性が、嫌な事や受け入れられない事をはっきり示して、それこそ、女性を甘く見ているやつらを蹴散らしていけば、世界はもっとよくなるのかもしれませんね。

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