一時帰国:北海道上陸
2回ほど一時帰国からちょっと話が逸れてしまったが、再び夏の思い出に戻ろうと思う。
8月の始めに4年ぶりに日本に帰国した。
成田の妹の家を経由して、青森の実家に戻った。wifiが無く、ネット環境が整わない状況に早くも音をあげた私は、せっかくの実家を1週間で切り上げて、友人の住む北海道に北上することにした。
その計画を立てている間に、東京から元夫と娘がこちらまで来たため、どうせならと娘を連れて行くことにした。前回、およその準備が整ったので、今日が北海道へ向けて出発する日である。
青森 - 札幌のフライトの出発時刻は12時過ぎであった。
青森の空の玄関、青森空港までは、私たちのいる弘前駅前からはバスで約1時間程度で行ける。そもそも発着便の数が少ないため、時刻表もフライトに合わせて作成されており、私たちは念のため朝10時過ぎのバスで空港に向かう事にした。
その週の東北はずっと雨で、洪水注意報や避難勧告も出されていたくらいなのだが、フライトの日はからりと晴れていた。
弘前駅で空港行きのバスに乗り込む。昔、学校の遠足で使われていた様な大きなバスで、下にトランクがあり、みんな荷物を預けて順番に乗り込む。
リンゴ畑、田んぼの間をバスはすうーっと進んでいく。
今は8月なので、リンゴの実はこれから大きく赤くなっていき、稲穂もこれから重たく、黄金色に色づいていく。田んぼが広がる向こう側に、左右対称の岩木山が見える場所があるのだが、その岩木山がとても好きだ。
(残念ながら写真は撮れず。。。)
11時過ぎぐらいに空港に到着した。
まずはチェックイン機で発券とチェックインを済ます。その間に、元夫と娘は荷物の整理をしている様だった。
何度も書いたが、元夫は高血圧の食事療法の為、外で食べられるものが無く、医者から指示されている物を食べている。
チアシードやナッツや、アップルサイダービネガーに高級ごま油などを袋ごとビンごと持ち歩いているのだ。その上、大きな血圧計(丸くて腕を通せる大きさのもの)も持ち歩いているので、荷物の量がムダに多い。
ここは日本だ。もっと小型の血圧計はなかったのかい・・・?
娘と元夫のトランクの中で色々とスペースを作り何とか押し込もうとしていた。飛行機に持ち込める液体には制限があるが、制限が無くたってこんなのを機内に持ち込みたくない。
一度閉めたトランクが開かなくなるハプニングはあったが、無事に荷物を収めて、カウンターで預ける。
「壊れやすいものは入っていませんか?」と聞かれ、これらのビンが頭に浮かんだが、振り払って「はい。大丈夫です」と答える。
荷物でバタバタしていたら、もう11時半になってしまい、ゆっくりする間も無く、2階にあがってセキュリティの列に並ぶ。空港のラウンジでゆったりするのが私の夢なのに、いつになったらそれは叶うのか(笑)
セキュリティの列に並びながら、モニターの発着便情報を見ていると、青森- 神戸のフライトがあるのに気づいた。大阪行きならともかく、神戸行きとは珍しい。
順番が回ってきたので、大きなかごに、バッグを一つづつ、小物などもすべて入れて、ゲートをくぐる。
セキュリティを出ると、そこはもう出発ゲートの前だった。
昔はゲートが2つだけだった様な気がしていたが、今は4つある。インテリアもヒノキを使っているのだろうか、明るめの木目が目に優しく落ち着く。
私たちのゲートは一番奥の1番ゲートなので、全員のセキュリティが終わった事を確認して、ゲートに向かう。
小さな空港の良い点で、一番奥まで歩いてもせいぜい5分ぐらいだったろうか(笑)インドを出国する時も、奥から2番目だったが、何百メートルも(多分それくらいあった)全力で歩いてやっと集合時間の10分前に到着した記憶がまだ新しい。
搭乗案内が始まったので、私たちも飛行機に向かう。
青森- 札幌便は小さめの飛行機だ。2列X2列で前から後ろまで20席(確か)。私たちは17番、18番だったので、ちょうど翼の後ろになった。
4年前にもこの飛行機(同じ機種)に乗ったが、その時は、翼に車輪がしまわれる様子を見て、娘が驚いていたのが今でも鮮明に記憶に残っている。びっくりしたんだろうなあ、と思う。
飛行機が移動を開始するとすぐに滑走路に着く。さすが地方の空港。
離陸すると、大きく旋回して高度を上げていくが、その時にいつも窓から見える景色が素晴らしい。
2列なので、通路側の私からも外の様子がよく見えた。
飛行機が水平になると、青森がどんどん後ろの方になっていくのが分かり、やがて、津軽海峡が見えてくる。天気も良く、青々とした山脈の様子や、海の上にぽっかりと雲が浮いている様子が見れて嬉しくて興奮してくる。
50分のフライトなので、離陸の後、水平になって飲み物を慌てていただいたら、もう着陸が始まる。あっという間だ。出されたお茶を飲んでいると、緑と明るい黄色のパッチワークの様な風景が見えてきた。
北海道だ。
こうやって空の上から見ると、青森と北海道の生態系って違うんだろうなあ、とぼんやり思う。
フライトの間、私も娘もついつい窓からいくつも写真を撮ってしまった。飛行機からの風景って、どうしてこんなに魅力的なのだろうか。そして、自分が見た通りの写真が撮れないのだけども(笑)
そう思っているうちにぐんぐん高度を下げて、どど~ん、と飛行機は新千歳空港に到着した。
新千歳空港は大きな空港なので、着陸しても、飛行機が完全に停止するまでかなりの距離を移動する。その間もわくわくと窓の外を眺めていた。
まずは空港の中を散策しよう。きっと娘も楽しめるに違いない。
そう思いながら、荷物をピックアップして、到着ゲートを出ると、
「夫様」
と書かれた紙を掲げた男性がぽつりと一人たたずんでいた。
え、もうお迎え来ちゃったの???
空港の中を見たかったが、ここにポツンと待っててくれた運転手の気持ちを思うと、わがままを言う気にはなれなかった。
仕方ない。市内を散策して楽しもう。
そう思って、案内してくれた車に乗り込んだのだった。
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