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親の善意が子供の成長を阻む時

私の両親は「超」が付くほどの心配性だ。

noteでも何度かエピソードを書いてきたと思うが、年を取るごとに酷くなっている様に思える。

年だから仕方がないことも承知しているのだが、こちらに影響があって困ることもあるので、両親(特に父親)とはうまく距離を保つ必要があるな、と感じているし、

自分も40代に突入しているので、意識的に新しいものに触れたり、若い世代と交流しないといけないな、と思うのだった。



さて、こちらも何度かnoteに登場している私の妹は、離婚が決定してこの夏に今住んでいる家を出る事になっている。

小さな子供も二人いるので、学校のことも含め、色々考え中だが、今つきあっている人の家で一緒に住むことを考えているらしい。

新しい人と子供たちは面識もあり、これから家族としてやっていきたい事については、子供たちからの許可(子供の意志も大事なので)も得ているらしいのだが、好き嫌いと一緒に暮らす事は全く別の話だ。

なので、夏に家を出るまでの間、妹の家で一緒に暮らしてみて、生活スタイルや意識のすり合わせをしてみようという事になった。

私はむしろ名案だと思ったのだが、両親は(と言うか父親は、らしいのだが)、難色を示した。



両親からは「起こりえる最悪の事態」を並べ立てた長々としたメッセージが届くようになり、さらに電話もかかってきたらしいのだが、

父親は最初から不機嫌で、母親が何やらはっきりしない心配事を並べ立て、具体的に何が嫌で、どうして欲しいと思っているのかははっきり理解できないまま、父親がもう嫌になって電話は終わってしまったのだと言う。

やれやれ・・・、種類は違うが、なんだか元夫に似てきたな笑

それとも、私が父親に似ていたから元夫を選んだのだろうか。



妹から得た断片的な情報をつなぎ合わせると、恐らく、

お試しで同居してみる
   ↓
体の関係が発生する
   ↓
望まぬ妊娠があるかもしれない?
   ↓
その後捨てられたら、自分たちがサポートしないといけない?
   ↓
そんなことさせられない!

なのかな、と推察された。

古い。古いな考え方が。



まず、一緒に住んだら妊娠するかもしれない、って。。。。

なんだろうな。すごい違和感があって、上手く言葉にならないのだけど、別に一緒に住んでいないカップルでも、なんなら、付き合ってすらなくても妊娠する事あるって分かってるのだろうか。

そして、妊娠したら捨てられるかもしれない(ここは私の想像だけど)、って、最初から捨てられる前提でいるのはなんでだ笑。

そして、そうなったら自分たちが助けるしかない、って不幸になる事を既にして決めてかかっている事に違和感を覚えるし、

妹が一人ではやっていけない事を心配して、善意である様にも聞こえるが、若干見くびってはいないだろうか。もうちょっと妹の底力を信じてやればいいじゃないか。

まあ、妹が大富豪ではないのは確かなんだけど笑

極めつけは、そう思っていながら、はっきりとは言わずに不機嫌さだけを前面に出して、「察して欲しい」「辞めて欲しい」と思い通りにしようとしている事。

お父さん・・・、はっきり言ってくれないのに、自分の思い通りになると思うのは間違いだよ。



「あなたのことを心配しているの」と言いながら、
「失敗する前提」で、
しかも、「だって、あなた一人では解決できないよね」って言われている様な気がする。

父親はそれに気づかず、100%善意のつもりで言っているからタチが悪い。

「聞きたくない。でもありがとう。」と言ってもいいと思うが、恐らく父親はそれも機嫌を損ねるだろう。

大人しく聞いたら聞いたで、こちらの気分がどん底まで沈んでいく。

近しい人間の善意(の押し付け)だからこそ、扱いに困ってしまう。

親子関係とは難しいものだ。



同じ親から生まれた姉妹なので、私に同じ様な事が無いのかと言えば、もちろんそんな事はなく、両親の心配は常に最悪の事態を想定している。

ただ、私の場合、インドの詳しい状況を両親が把握していないからか、
それともフルタイムで仕事をしているからか、
子供たちがかなり大きくなっているからなのか、
妹ほど色々言われていない様な気がする。

それとも面の皮が厚くなっただけか笑

最近のいい例としては、2月に一時帰国していた時のスキーの件だが、まあその程度だった。それでも結構な(悪い)効き目はあったのだけども。

親に言われると、なぜかまざまざとその最悪な事態が想像できてしまって困るのだ。

逆に成功した事態がありありと想像できる様に教育して欲しかったと心から思うのだが。

妹は3人兄弟の末っ子なので、両親からするとどことなく頼りない気がするのか、両親が色々と口を出したくなってしまうのかもしれない。



電話が終わった後、妹も意気消沈しており、「これからがんばろう」「前に進むんだ」と言う前向きな気持ちがすっかり削がれてしまっていた。

やれやれ、良かれと思ってやっている事が、全くの逆効果だ。

両親は、私の大学卒業+1年間の留学、その後の結婚&離婚のバタバタもずっと支えてくれたので、本当に感謝している。

特に子供時代に衣食住の心配のない生活をさせてくれたことは、親となってみた今、こんなにも難しいのかと実感したたから、親の偉大さに改めて驚いたりもしている。

だが、子供の可能性を信じる、失敗させてやる、事については、恐らく両親は失敗しているんだろうな、と思うのだ。

今回のことも、妹が失敗しない様に未然に防ごうとしている。

何かにつまづいたからって、人生が終わりではない。
大事なのは、たとえ失敗しても立ち上がって、再び歩き出す事だ。

両親はお金でサポートできるならそれもよいし、お金に余裕が無いなら、それをはっきり伝えてくれればいいだけだ。

両親が全面的に「応援しているよ」と示すだけで妹にとっては十分だったと思うのだが、「こうやってあげたかったけど、できない」と思う両親の気持ちが、かえって妹の可能性を潰してしまっていると思う。



子供を生んだ今はよく分かるのだが、子供が危なっかしくて、痛い思いをさせたくなくて、ついつい口も手も出してしまいたくなるのは、子供を育てている人なら誰でも感じた事があると思う。

きっと私も今まで子供の力を信じずに口や手を出して、子供の可能性をつぶしてしまった事があるはずだ。記憶にないのは気づいていないだけ。

それは同時に子供の中に眠る力や可能性を信じていない事でもある。子供はそんなに弱くないし、立ち上がって、再び歩き出す力がある。

だから、今はできるだけ、子供がやりたい事があるなら(犯罪や危険すぎる事で無い限り)、

「いいね!やってみればいいよ」と背中を押す様にしているし、
お金が出せる時は出すし、
できない場合は正直に「ごめん、今はそんなに無いんだ。」と伝える様に心がけている。

両親の事は反面教師として、これから自分が子供たちの為にできる事は何か?のヒントにしたいと思っている。

しかし、近い将来、介護が必要になったら両親のところに戻るつもりなので、「こりゃきっと大変だわ~」と内心ビビってもいるのだった笑

それでも、こうやって心配事をぶつけてくるうちは、まだ元気な証拠なので、こちらが上手に聞き流していればよいのだ。(面倒くさいけど、笑)

あと何年元気でいてくれるかな。



一時帰国中にスキーに行こうとした時の父親の反応。

両親に近況報告した時の返答にもやもやしたことも。。




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