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小説『グッバイパンプキン』

小説「グッバイパンプキン」
三月のパンタシア「ビタースイート」原案小説

「ハロウィンさ、ふたりでランタン作ろうよ」

 立ち飲みのバーから出て、駅に向かう途中。
 酔った君はへらへら笑いながらそう言い、雑貨屋の店先に並べられているハロウィン用の大きなかぼちゃをひとつ買った。
 ランタン作りって小学生の工作じゃん、と思ったけれど、その無邪気な提案は密かに私の胸を高鳴らせた。

 ハロウィンも一緒に過ごせるんだね。

 口をついて出かけた言葉を慌ててのみ下すし、いいねと短く言った。

 君は、そういう言い方嫌いそうだから。

 そう思った瞬間、「この人に嫌われたくない」と願っている自分がまだいることに気づき、私は心から自分が嫌になった。
 私は君の恋人ではない。
 もう、会うのは最後にしよう。これまでそう何度も決意した。今日だってその気持ちで、駅の改札で別れるその時に、ちゃんと告げるはずだったのに。
 なのに結局、まるで恋人のように指を絡めてくる君のこの手を、私はいまだ離せずにいる。

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