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#74 精霊の宿る樹への扉の鍵

落ち込んだ気分で自分の部屋に帰ってから
2ヶ月ほどが経った。

Oliviaからはフクロウが届いたりなどの
音沙汰も何もなかった。
きっと、気軽に連絡を取ることも
禁止されたのだろうと思っていた。


この2ヶ月、あまり積極的に
あちらの世界へ行きたい気持ちにならず
自分の生活に忙しく過ごすようにしていた。

しかし、あちらの世界には
ずっと気になっている場所があった。

それは「妖精の森」

2度目にあちらの世界へ行った際、
Eveに聞いた、妖精がたくさんいるという場所だ。

これまで妖精の片鱗や
石の中に棲む妖精は見てきたが
実際に目の前に現れたことはなかった。

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この日、そろそろOliviaの外出禁止の罰も
解かれたのでは、と思い、
妖精の森へ行くために
あちらの世界へ行くことにした。


いつものように扉を呼び出し
あちらの世界の街を歩いた。

広場へ出て、Oliviaのカフェを覗くと
遅めのランチを楽しむ客で賑わい、
OliviaもGregoryも忙しそうだった。

そんな時に私が現れると
また迷惑になりかねないと感じて
私は1人で街の扉へ向かった。


以前、私の鍵は
妖精の森へ行く能力を既に持っているのでは
とOliviaに言われていた。

ただ、妖精の森への扉の鍵
どんなものか気になり
私は鍵屋へ寄ることにした。

「こんにちは~」

「いらっしゃい。
おや、深海へ行った人だね?
お久しぶりです。
今日はどこの鍵をお求めですか?」

「えっと、妖精の森に行きたいんですが。」

「妖精の森のどこです?
あそこはとても広くて
いくつかのエリアに分けて扉が設置されています。」

「え、そうなんですか!
妖精がたくさんいるようなエリアはどこですか?」

「そうだなぁ…
いくつかのエリアにいますが…
あなたの思い描いているのはきっと…
精霊の宿る樹が良いかな、うん。」

精霊の宿る樹
良さそう!そこの鍵はどれですか?」

「でしたら、ソコ。
蝶の羽根が突き出た大きな花みたいな鍵ですよ。」

彼はカウンターの中から左上を差した。
その先には言われた通り、
大きな花に蝶が留まっているような鍵があった。

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手に取ろうとすると
花の中心にある石の中で
光が左右にササッと動いた。

「これですか?あれ!?
これって、何か光が動くんですか?」

「そうですよ。
ひとつひとつ、精霊が宿っていますからね。
その鍵が通じている扉は
ある樹の幹に設置されているんです。
その樹には精霊がたくさん集まり、
いつも柔らかく光を放っています。」

「精霊が…?
精霊って見えるんですか?」

「今あなたが見えている通り
を捉えられるばかりですよ。
もともと精霊には姿かたちはありません。
見える人にだけ精霊の放つ光が見えます。」

そうなんですね、と言いながら
すぐ隣の色違いの鍵たちが目に入った。

「これって、色の違いは
行先とかに関係ありますか?
1…2…3…4…5つ色違いがあるようですが。」

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鍵の能力は全く同じです。
あなたのピンとくる色をお選びください。
それがあなたの精霊の色ですよ。」

「私の精霊?」

「えぇ、あなたの精霊。
好きな色とか似合う色とかいうことじゃなくて
自然に惹かれる色、直感でピンとくる色です。」

私は、5つの鍵を改めて見た。
そのうち3つの鍵の蝶の羽根がせわしなく動き
どの精霊の光も石の中を動いていた。


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1つだけ
明らかに強く光を放っている精霊がいた。
私はそのグリーンの鍵を手に取った。



これが精霊の宿る樹への扉の鍵
選んだ時のおはなし。
続きはまた次回に。


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