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夜の悲しみ

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

マッチングアプリでは、設定次第で色んな人に会えます。アプリをはじめたばかりの頃は設定がよく分からずデフォルトのまま20代から40代くらいの方をマッチ対象にしていました。

そんなはじめたばかりの頃12歳年下の男性とマッチしました。メッセージのやりとりを何回かして、珍しい可愛いペットを飼っているというので、見せてもらいたくなり、その男性の自宅で飲む約束をしました。

さっぱりとしたやりとりをする男性で、男女関係なく人に好かれそうな男性でした。

その男性の家は、20代前半の男性の一人暮らしには珍しくオートロック付きの小綺麗なマンションでした。家の中も整えられていてお洒落なインテリアです。部屋は狭く、ユニットバスでした。

彼の2匹のペットと遊んだり、映画を見たりしながら飲んで、私たちはキスをしました。付き合いたての恋人のように、キャッキャしながらソファで戯れあって、ハグをして…。時間がきて、彼は駅まで送ってくれるといって私たちはマンションを出ました。

その駅までの道すがら、色んな話をする中で、彼は言いました。

「あのマンションは、結婚する予定だった彼女と借りていたんだけど、彼女がなくなって、時間が経って、最近やっと気持ちの整理ができてきたんだ。」

そこで私は気づきました。あの部屋の違和感を。あの部屋の悲しみを。

彼はこれから家に帰って、捨てられていないスパイス棚を見ながら、彼女を思い出すのかもしれません。彼女と一緒に選んだあの可愛いペット達の世話もすることでしょう。彼女と座ったソファ、一緒に買ったベッド。

彼は、夜電話をかけて来るようになりました。

「何してるの?」から始まり、30分ほど話す習慣がつきました。

彼の悲しみは、夜、襲って来るのでしょうか?それは聞けませんでした。彼の名前を呼びながら、彼の悲しみが少しでも薄くなればいいと必死に祈っていました。



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