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悪戯な夜

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

その夜の私たちは最高でした。それまで、マッチングアプリで無難な連絡しかしない彼となぜかぴったり波長が合い、あれよあれよという間に、LINEで話そうという流れになったのです。

その話は「どんなセクシーが好きか?」という実にくだらない内容でしたが、金曜日の夜にお酒の入った私には、ただの楽しい話題でした。お互いに、LINEでセクシーな衣装を見つけては、画像やURLを送り合い、この衣装は、赤がベストか黒がベストか、青はないというような事を本気で議論していたのです。彼はその中の二人が選ぶベスト衣装を買ってくれたので、私たちは会うことになりました。

実際に対面した彼は、真面目そうな背の高い男性でした。話をしていても、あの夜あんな話をしていた人とは思えません。私は、彼に「酔っていたの?」と聞きましたが、彼は不思議そうに「違うよ」と言いました。彼にとって、あの会話も日常だと言いましたが、それからも彼から、あの夜と同じ匂いを感じることはできませんでした。

彼はお休みと言うにもかかわらず、仕事の電話がひっきりなしにかかってきました。それも、あんなトークにならない要因の一つかなと思いましたが、それからも私たちは一つも噛み合わず、私は家に帰ることにしました。

彼は別れ際、あの夜に買った衣装をプレゼントしてくれました。私はそれを受取り、その後写真を彼に送りましたが、彼のLINEは既読になりませんでした。

彼と楽しい時間を過ごしたあの夜は幻になりました。このLINEに残されたこの会話は全ては何かの悪戯だったのかもしれません。trick or treat?もうすぐハロウィーンがやってきます。おやすみなさい。

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