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夜を一緒に過ごす人

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

その夜、私はウキウキした気持ちで出かけました。マッチングアプリで出会ったシングルファーザーの彼のお宅へお泊まりに行くことになったのです。

子どもが生まれて、子どもと家族以外の方の家へお泊まりに行くのは初めてでした。夜お互いの家でご飯を終えて、お風呂にもいれ、子どもは寝かせて、少し夜更かし。そして、翌日の朝一緒にご飯を食べる予定でした。

雨が降っていましたが、こんな時間に出かけることはないので、子どもとふたりで興奮していました。子どもを彼の家で寝かしつけ、私たちは、寝室とは別の部屋でお酒を飲みながらTVを見て、彼とふたりの時間は始まりました。

私は家でお酒は飲まないので、そんな時間にお酒を飲むことも久々でした。いつもなら、子どもが寝た後はスマホの小さな画面かPCの画面だけを見て過ごすのに、誰かと話して、TVも見て、お酒を飲むのは貴重な時間でした。

私はそれほどお酒は飲めないのに、私の顔色が全く変わらないのを見て、彼はお酒を継ぎ続けました。「飲めない」というのも単なる冗談だと思ったようでした。彼は、自分のペースに乗せて、私を煽ってきます。気づいた時には、私は酔っていて、そのペースに負けまいとグラスを重ねていました。

彼がキスをしてきたのが分かりました。嫌でも嫌じゃないとも微妙な関係でした。酔っていて彼をうまく拒否できないまま、全ては進んで行きました。彼は動かない私の両手を掴み、私の口にタオルを詰めました。

そして、気がつくと朝がきていました。私の横で、私の子どもの寝顔が見えました。彼ら一家も起きてきました。彼の子どもは私の子どもより小さいこともあり、より元気いっぱいに見えました。

私は二日酔いの頭を持ち上げ、彼と子どもたちの様子を見ていました。彼ら一家は何か用ができたようで、約束していた朝ごはんを食べずに私たちはその家を去りました。

全て夢だったのかと思いましたが、家に帰ると下着がマダラな血に染まっていました。それと一緒に痛みを思い出しました。

彼はそれからも私達一家が彼らの家に泊まるよう、連絡をしてきました。私は、あの夜のことを覚えていないし、まだそれを繰り返す関係でもないから、昼間に公園で会うことを提案しましたが、却下されました。

彼とは結局それきりになりました。彼が欲しかったのは、夜を過ごす人だったのかなと今も思います。私は彼ら一家と家族になる夢を少し見ていました。それならそれも楽しそうだと思っていたのです。でも、彼にとって、家族とこれはきっと違うものだったのです。おやすみなさい。

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