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夜の口笛と私

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

夜の口笛と聞いてなにをおもい浮かべますか?「蛇がでる」と言い聞かせられていた方も多いのではないでしょうか?私の祖母もよく言っていました。しかし、あやふやな話だから、なんとなく聞いているだけだったなと記憶しています。

でも、私の父は違いました。

私が4歳くらいの頃、母は同窓会などの用事があると、赤ん坊の妹を連れて、母の実家に帰っていることがありました。父ひとりで幼子2人の世話は大変だろうと、私は父と留守番でした。そんな時、父は私を連れて、カウンターしかないような居酒屋に連れていくことが多かったです。父は酒豪だったので、お酒にのまれる事はありませんでしたが、少し楽しそうに私に焼き鳥などを注文してくれました。

その帰り道は、普段私が外に出ることがない時間。そうは言っても20−21時でしたが、いつもより澄んだ空気の中、父と手を繋いで歩く非日常感が、嬉しくて仕方ありませんでした。

ある夜、口笛を吹きながら歩いていると父に止められました。

「夜に口笛を吹くのは、娼婦だからやめなさい」

その時は、なにを言っているのか分かりませんでしたが、何かいけないことをしたのだと思い、忘れないように胸の中で何度も諳んじていました。

その日から私の中の夜の口笛は「娼婦」のものになりました。

それが父の好きなアメリカ映画の中での出来事だと気づくのは、もう少し大人になってから。

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