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飲食店の困った!を解決相談所大分10:「居酒屋業」を徹底分解し改革提案!

■現在の飲食店の問題点は?

店舗

・店舗の老朽化(補修費がかかる)
・店舗のバリアフリー化ができていない(ワゴンが使えない・つまづく)
・厨房機器、空調機器の老朽化(10年以上使用している機材が多い)
・店内レイアウトが非効率(動きにくく人手がかかる)
・食器が古い
・看板が古い
・ユニフォームが古い など

メニュー

・食材値上げの価格転嫁ができていない(または再値上げが必要)
・メニュー構成が古い
・新メニューがなく飽きられている
・メニューブックがボロボロ、油でべたべたしている
・料理写真は相当むかしのままものを使っている
・料理やドリンクの原価計算をしていない
・メニュー価格設定は未だに「勘ピューター」でしている

食 材

・食材の高騰で頭が痛い
・食材の廃棄ロスを減らしたい
・食材数が多すぎる(減らしたい)
・食材原価率を下げたい(食材仕入れ額÷売上高×100%)*棚卸別途

売 上

・売上が上がらない
・売上の変動が大きく不安定
・利益が少ない(増やしたい)
・FLコスト率を下げたい
・宴会需要が低迷のまま
・客単価が上がらない
・1回転した後の2回転目の来店客が来ない

従業員

・人件費の支払いが大変
・人件費を引き下げたい(効率化をしたい)
・人手不足
・従業員が定着しない

資 金

・運転資金が枯渇
・消費税が払えない
・社会保険料が払えない
・銀行返済金を払うと経営者の取り分がない
・機材を買うお金がない
・リースも限界まで使ってもう使えない

ざっと気づくだけでもこれくらいの課題がある飲食店の現状です。
中でも、
今までの居酒屋業が一番顕著に経営しずらい業種になってきています。

■居酒屋業の改革ポイントと突破口

飲食業態の中でツートップとも言うべき焼肉と総合居酒屋がありますが、
焼肉店はコロナ過でも80%近くの業績で推移し、一時は通常月の20%~40%まで落ち込んだ居酒屋業態とは明暗を分けています。

その居酒屋業態について、変えないところと、生き残るために変えなければ
いけないところについて解説します。

●ポイント1:食べ放題

  今までのような緩やかな値上がりの時代でしたら何とかやれました。
今は、「1回のメニュー変更期間に2回の値上げ」なので、
事前にメニュー変更時に計画した利益確保が追いつかなくなっています。

 値上げのたびに、食材をワンランク下に変更したり、分量を減らしたり
工夫しても、値上に追いつくことはできずに限界を迎えると、打つ手が
なくなります。

 <改革>
 ★食べ放題をやめる 料理主体の居酒屋に変える(単品、セット)
  食材原価率を3~5%改善できます。

 ★採算の合う価格で食べ放題を続ける ただし品質は落とさない
  集客要素として必要なお店。価格のヒントは焼肉きんぐのコース価格
  

●ポイント2:飲み放題

 ここ10年くらいの間に飲み放題エネルギーは半減以下になったと感じています。食事のお供としてのアルコールは今後増えていっても、
「酔っぱらうほどのお酒を飲む」ニーズはなくなり、「程よく軽く酔う」
くらいの飲み方がちょうどよい感じになってきたと思います。

<改革>
 ★飲み放題をやめる 客層がワンランク上がります
  飲み放題原価率50%~60%をやめられます。
 ★採算の合う価格で飲み放題を続ける 
  ただし品質は落とさない、できるだけ品質を上げて価格も上げる
  飲みたいお酒の魅力は価格をしのぐ。杯数より価値観重視。
  

●ポイント3:宴会需要

  多くの居酒屋さんは、年間売上高の20%~お店により70%もある飲み放題付き宴会コースの受注が難しくなってきています。

コロナ禍の3年間で変わった変化は、
・団体飲食もあり➡1組単位の飲食でいい(1人客、2人客、3人客)
・お仕着せのコース料理より、食べたい料理を食べたいだけに絞る
・飲んで食べる➡食べるが中心で飲むのは少しでいい

<改革>
 ★宴会コースをやめる
どこまでも宴会需要にしがみついたら先細りする。料理部門の強化をする。

 ★15人以下の小宴会だけをとる
妥協点としては、宴会月に関わらず受注がとりやすい15人以下が手ごろ。

 ★宴会コースを続ける
客層を絞ってコース内容や価格設定をその客層に合わせる。
価格が低ければローコスト食材で組む。高ければ質の良い食材で組む。
ただし、FLコストはかかる仕組みです。


●ポイント4:FLコスト率

  居酒屋業であっても、これからはせめてFLコスト率を50%~55%
するフードコスト率とレイバー(人件費)コスト率に近づける料理改革や、メニュー改革(価格設定・原価率設定)を行っていただきたいのです。

そして、
お客様に「売上の1%」を毎月還元するおもてなしをしていただきたい
のです。

<改革>
・フードコスト率30%にすれば レイバーコスト率20%~25%

●ポイント5:営業スキルの維持継続

  飲食の世界でも「ベテランスタッフの減少」と「定着率の減少による
スキルダウン(熟練度の低下)」は進んでいます。
また、思うように欠員を埋められない人手不足も続いています。

<改革>
今後は、モバイルオーダーシステムなどのAI機器の導入が早くなると
予測しています。人件費予算も機器の導入で30%くらいは減らせます。
人件費の40%減-愛機器のリース料10%=30%減が目安


●ポイント6:居酒屋業の将来性

  これは大切な課題です。
× 総合居酒屋は今後は成り立たないと考えています。
  ・食材が多いのでフードコストがかかる
  ・人手を多く必要とするためレイバーコスト(人件費)が高い
  ・従ってFLコスト率が高く利益率が薄い業種になる
  ・食材の高騰や〇〇法大を続けることで重病化する業態になる

<改革>
年内に出版するKindle本に詳しく述べていますが、
食材を絞り込んで「専門化した食材の居酒屋」単一居酒屋に変える
 FLコスト率の同時改革ができます。

調理手段を1つか2つに絞る
 FLコスト率の同時改革ができます。

・食べ放題をやめる、飲み放題は必要最小限にとどめる
 売上を上げることより、利益を増やす考えに切り替える時代です。
 

●ポイント7:価格設定

  専門度がどれくらいあるかによって、価格設定も変わり、平均客単価も
変ることになります。

 ★専門度は薄いが価格が手頃が魅力  
  節約時代のベースになる新たな居酒屋業態スタイル。
  しかし、食材値上げによる価格の変更は行う必要あり。

 ★少し専門度があるがまだ利用しやすい価格
  食材や調理内容により構成できる。安い業態よりは2~3%は食材原価
  率が低く設定できる。

 ★専門性が高く限られた人しか利用しないが少しの人数でも売上が立つ
  
食材の特異性が必要。中~高度なホールのおもてなしがあると満足度が
  高い。


●ポイント8:食材原価率

  最後は、食材原価率です。
居酒屋さんであっても、これからは食材原価率を、
32%±2%を守る経営」が必要になります。

この数値は、あくまで全メニューの価格設定時のニュアンス的な目安です。
実際は、
それぞれの商品のオーダー率でメニュー変更3か月後くらいがほぼ正確な
食材原価率として出てきます。

その数値を、30%~34%の範囲に収まるようにコントロールします。

<改革>
  ★仕入先を変える、相見積もりをとる
  ★食材の削減をする(盛り付けの変更、付け合わせの変更)
  ★価格を変更する
  ★在庫管理表を作成して仕入コントロールをする

お店それぞれ個性がありますから、共通して言えることはこのようなことです。


ご質問があれば、どなたでもどうぞ

utsumiya.masahiro@gmail.com

お問合せ下さい。 オードリー7 宇津宮 正博

(了)




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