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食べ塾79:もうデフレ価格では食材総値上時代は乗り切れない!今後の対策は?

■対策1:価格の値上げ

   メーカーの食材値上げと飲食店のメニュー価格の値上げは仕組みが大きく違います。難易度としては飲食店の方が高いと言える状況です。

メーカーの場合は食材でも調味料や小麦粉や揚げ油などの「素材食材」です。キューピーのマヨネーズやカゴメのケチャップは考えようによっては
唯一無二の存在の強みがあります。

一方飲食店は、ほぼ周辺1km商圏や3km商圏、郊外では10km商圏内での同業態の競合、異業種店との競合があります。
お店の売る側の一存だけの価格や商品要素だけでは、利用客の減少を招く
場合があります。(*顧客の人気の料理やサービスは無視できない)


(令和の値上げの新法則)
料理原価が30円上がったら売価を100円上げさせていただく

  実にシンプルでわかりやすいスケールと思います。

この値上法則以下の妥協値上げを実施された場合は、今夏の値上げ、今秋の
値上とつながると、年内の再値上げとなり結局はリスクが付きまといます。

多くの飲食店経営者の方は、
コロナ下で経営の自信喪失気味であり、値上の動きは消極的です”
すぐには潰れなくても、飲食店の収益悪化は増加傾向と思います。

勇気をもってできる範囲の「値上げ」を成功させましょう!
日本は過去25年間は値上げできなくてデフレ続きで値上げしてこれなかった
価格のひずみがあるのです。

しかし私も含めて暮らしやすい世の中にするためには、
手取り給与が今の1.5倍にする仕組みと週休3日制でフレキシブルな勤務
、副業可能な勤務ルールが必要と思います。
(*特に公務員の方たちの民間企業勤務をお勧めしたい)

■対策2:揚げ油コストの原価計算への算入

京丹後市様の作成された資料を拝借しました

  1年余り前は、揚げ油18L缶(16.2kg)1缶は、2500円程度で購入できていました。令和4年の1月には1缶4800円~5000円に倍額になりました。
4月時点で早くも5800円、秋には6500円を超えそうな気配です。

おおざっぱに100gのカツを上げた場合には10%~20%の量の油なので、1回1個で10g(3.6円)~20g(7.2円)かかりますが、
油が汚れすぎるともう使えませんので、この5倍位のコストで考えてください。そうすると、揚げ物の原価計算では、

100gの揚げ物の揚げ油原価=18円~36円≒20円~30円
かかると考えていただきたいのです。

*揚げ油の汚れ具合は、
 表面の泡が消えなくなった時であり、
 カレーのスプーン(デザートスプン)を油の表面の数センチ下に入れた時
 に表面が金色に輝く色合い以下に黒ずんだ時が目安にもなります。


■対策3:FLの片方の「人件費」の削減

  これは勤務する人を首にしましょうと言っているのではありません。
別の業務の職場を与えたり、第2店舗を開業したりして、「同一店舗内の
人数」を減らしましょうという呼びかけです。

FLコスト率(店舗の健全性)の自己診断指標であり、昔は70%以下
今は65%~60%が適正と言われています。
F(フードコスト)食材費
L(レイバーコスト)人件費
(F+L)÷平均月商×100%=FLコスト率

今回のように食材費が高騰すれば、担当するスタッフの方たちの人件費の
投下率を1~5%でも引き下げることが必要です。

*売上の回復が最も望ましいのですが、コロナ禍の終焉の先でも
 外食市場の変化が考えられており、「来店志向」がどのレベルまで回復
 するかは未知数と思います。

 家に居ながらにして荷物が受け取られるように、外食の何割かが
 デリバリーとテイクアウトに移行するとみています。
 より便利な方に動きます。
 ただし実演調理などのお店はその限りではありません。


■対策4:売れる新メニューを開発する

  人気のメニューも食材原価が上がれば多少なりとも、値上げ価格になります。しかし、値上がりメニューだけ目立って良いものでしょうか?

私は、値上げ価格がムチとしたら、一方で喜んでいただくための
「新メニュー」作りが必要と思います。

値上メニューを成功させる原動力は、
利用客目線の価格チェックと新メニューの導入
と思っています


■対策5:高額仕入れ食材はひとつに絞る

  良い食材は高額になります。看板となる高額食材商品を多く持つと
食材費がかさみますし、売れ行きに変動があると廃棄ロスや格下げ利用が
増えて原価率を上げてしまうことになります。

できる限り絞り込んでリスクの軽減を図るか、
デリバリー商品やテイクアウト商品開発での使用を促進するようにしましょう。

筆者は令和の時代の急速な変化を非常に怖いと思っています。
まだまだ飲食業経営者の方の多くや、キッチンの責任者の方の多くは、
昭和や平成の20代~40代に身に着けたノウハウの延長上の判断をされて
います。
できればその先の本も10cm位に、令和の時代の変化を読み取る
アンテナを取り付けていただきたいのです。

私も必死で学び、感じ取り、発信してゆきますが、
できることに限りがあります。ほんの小さな力でしかありません。

いま、できることを少しでも頑張りましょう!

(了)


飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします