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飲食店未来学49:ジビエの猪肉の研究を始めました~やり甲斐のある商品開発

2023年夏に伺った、猪の加工処理と料理を提供するお店に関わるスポット仕事をきっかけに、猪をはじめとするジビエの研究を始めました。

主に猪と鹿を中心に日本の野生の鳥獣(ジビエ)の90%以上は放置や埋められて生かされていません。私たちのような職に関わる人間は、やはりどこかで考えて、前向きに取り組まなければならない問題と思います。

これも典型的なフードロスであり、また貴重な命を無駄にする行いと思います。そういう訳で、少しでも売れるようにと、いろいろとこの猪肉を使った料理開発を行い始めました。

ほとんど利用されていない猪鹿肉

猪肉も鹿肉も上手にと殺して処理すれば、臭みもなくおいしい肉です。低コレステロールのヘルシー肉なのです。しかし、獲れる時期が限られており、猟師の高齢化による減少で流通量が安定していない、豚鶏肉より高価ということで、流通が順風満帆とはなっていないのです。

農水省資料より(以下同じ)

処理加工施設は長野県以南の多く関東圏以北に少ない

処理施設は完全に2分されています。野生の生き物ですから日本中に均等に繁殖していると考えられますが、山の多い北日本エリアと、山に奥行きがなく人間との接点が多く、里の農作物を荒らすという食害が発生する長野県以南では、この処理加工施設が多くあります。

兵庫県、岡山県、大分県、宮崎県には25か所以上の処理施設があります。その多くは「国産ジビエ認証」を受けた施設ではありません。

今後、順次増えてくると思います。(国が補助金を出し促進しています)


令和4年度でも、わずか1,300t余りが食用で利用されています。本当にわずかしか利用されていません。

商品開発は今から増える

現状では、ウインナーやハンバーグ、角煮やカレー、ジャーキーなどが売られています。多くの商品開発は今から始まると思います。食べてみると、黒豚よりもうまみが強いと感じます。ビタミンB12などは多く含まれています。通販で売られている生肉の食べ方は、ぼたん鍋、しゃぶしゃぶ、焼肉などです。その他内臓肉を中心にペットフードとしても開発されているようです。


認証施設づくりに補助金が出ています

国産ジビエ認証制度 | 日本ジビエ振興協会 (gibier.or.jp)

農水省の補助事業対象「ジビエ処理施設パッケージ」提供開始 DMMアグリ|ニュース|流通|JAcom 農業協同組合新聞

鹿と猪は牛肉と同じように部位の分別がある

現場の人に聞いた限りでは、猪の場合、個体が40㎏~50㎏以上ないとヒレはとれないようです。ロースとバラは高級品。モモやスネは中級品以下の価格だそうです。そしてメスの猪は高級品の高級品なのです。牛と一緒だなと思ったのは、特に未経産(子供を産んでいない)メス猪は絶品ということでした。やわらかく美味しい肉質。

20数年前に、初めて猪肉うどんを800円で食べたことがあります。その時は美味しさよりも珍しさで食べました。寒い冬は鍋焼き猪肉うどんでも美味しく食べられそうです。


猪肉麺のイメージ(WEB画像より拝借)*拝借先を忘れました。
濃い脂身は豚の背脂に負けない濃さがあります。

どこかでジビエ料理を紹介された時は、一度でいいですので、臭い、美味しくないという、間違った先入観なしに一度食べてみてください。少なくとも豚肉よりは体に優しい食材です。

(了)

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