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飲食店未来学50:食材原価率35%以下でも売れる料理の食材選びのコツ

私が研究する限りでは、飲食店の月間の食材原価率(月商に対する仕入高)が35%を超えたお店は、原価率が1%上がるごとに、収支トントンラインから一段ずつ万年赤字経営方向へ移行すると考えています。もう恐らく食材原価率が37%を超えたお店はただお金が回るだけ。支払い後に余剰金は残りません。

その主な原因は、待遇改善や募集金額の高騰に起因する人件費の高騰です。さらにもうひとつの原因は、円安以降の水道光熱費の高止まりがあります。通勤時のガソリン代などの負担も大きいですね。

食材原価率が35%以下で売れる料理作りを見てみましょう。( )の原価率は一般飲食店の平均的なイメージ料理原価比率です。

鶏むね肉を使う(原価率27%~35%)

私の住む大分県では皮を剥いだ鶏のむね肉を細長くカットして小麦粉と卵液で包んで揚げたとり天(ポン酢と辛子で食べる)が有名です。鶏むね肉は揚げる、蒸す、焼く、炒めるなどができる万能食材です。しかももも肉のおよそ半額の価格です。やわらかくヘルシー。欧米などではそのヘルシーさでもも肉よりむね肉の方が高価です。

揚げる場合、焼く場合は通称ブライン液につけます。私はこれに、日本酒と薄口醤油を少し加えて味ののりにくい鶏肉に下味をつけます。(水分を加えるので浸漬時間2~3時間)

肉を柔らかくジューシーにする「魔法の水」、通称「ブライン液」の作り方をご紹介します。この方法は鶏肉、豚肉、牛肉など、どんなお肉でも活用できますよ。

材料(2人分、鶏むね肉2枚分)水: 200ml
砂糖: 10g(小さじ3)
塩: 10g(小さじ2弱)


作り方水に砂糖と塩を加えてよく混ぜます。
使用するお肉とブライン液をジップロックなどのフリーザーバッグに入れ、冷蔵庫で適当な時間漬け置きます。雑菌の増殖を防ぐために必ず冷蔵庫で漬け置きしてください。お肉がブライン液に丸々浸かるようにフリーザーバッグやポリ袋に入れ密封してください。
漬け置き時間は以下の通りです(時間に余裕がある場合は1晩置くと良いです):
鶏むね肉1枚〜2枚: 最低1時間〜おすすめ2時間以上
カットしたもの: 最低30分〜おすすめ1時間以上
更に時短したい場合: 削ぎ切り又は小さめにカットしフォークで数か所穴を開けて漬け込む。最低15分〜おすすめ30分以上

AI出力の記事より

むね肉を揚げる時は、揚げる時間の20分前くらいに冷蔵庫から取り出して室温状態に置き冷たさを和らげます。揚がった時に膨らみ、ふっくらやわらかくなります。やや低温の165度くらいで上げた後、170度~175度で30秒~1分程度揚げると、外はカリッと中はジューシーになります。揚げる途中で1回ほど油面より持ち上げて空気を吸わせるとさらに美味しくなります。(鶏の唐揚げも同じです)


豚バラ肉を使う(原価率32%~35%)

豚バラ肉も非常に使い勝手の良い食材です。国産の豚バラがコスト的に使いずらい場合は、北米産、北欧産、南米産などがあります。中国産のものもありませんが品質や安全面に不安がありおすすめしません。

野菜の肉巻き(串の肉巻きも)、サムギョプサル(韓国料理、厚切り豚バラ肉の焼肉)、豚バラのしゃぶしゃぶ鍋、豚キムチなどの炒め物など用途も広く、価格的にも使いやすい食材です。

おおまかには、中国産、南米産、北欧産、北米産、国産白豚、国産銘柄豚、国産黒豚になるほど価格が上がります。べつには、スペインのイベリコ豚や沖縄のアグー豚も有名ですね。


健康麺を自家製造する(原価率25%~30%)

比較的安い原価率の粉もの料理ですが、健康志向を取り込むことで、売価も高く設定できるため利益率が良くなります。小麦粉から米粉に置きかえたグルテンフリーの流れは、今後ももっと強くなると思います。また一方で蕎麦を使った料理開発も進むと思います。

麺はひも状、丸い団子状、白い碁石状、幅広なひもの形状、楕円形など様ざまな形が手作り感があります。

蕎麦でつくった皮のそば餃子、蕎麦の実の入ったカレー、蕎麦粉のだんご汁蕎麦パン、蕎麦の炊き込みごはん、蕎麦粉のぜんざいなどがあるとおもしろいなと思います。

生活習慣病、アレルギー体質、健康美容に配慮した料理作りは、今後ともニーズの高まりを感じます。人生100年でなくてもいつも健康でありたいですね。


野菜の天ぷらを売る(原価率25%~33%)

もともと大半の揚物料理には好き嫌いはありません。また蒸し物や茹でものと同じく、調理作業の目を少しそらすことのできる調理方法でもあります。

揚物料理は「安い食材を揚げることで付加価値が増える料理」であり、揚げること自体が原価の安い食材を高く売れるマジック調理方法です。

ひげニンニク150円の食材が、衣をつけて揚げると売価480円に化けます。野菜でなくても、鶏むね肉の天ぷらは、むね肉150gで原価75円に、衣や調味料代を加えても原価合計150円以下です。このとり天の売価は安くても580円以上で売れます。

飲食店では季節感を表すメニューが比較的少ないため、レギュラー食材と季節食材を組合わせてメニュー化すると、季節感も加わり好評です。居酒屋業態の場合は、月商の20%~25%を揚物が占めています。(メニューアイテム数10以上の場合)

*近ごろは揚げ油も高くなりましたので、揚物料理の1品あたり30円~40円のコストを揚げ油コストとして原価に加える方が合理的と思います。

ミンチ食材に変えて活用する

固くて使いづらい赤身肉。旨味はあるが使いにくい豚や猪の脂身や皮などの食材。傷んでいる箇所がある、鮮度が落ちてしまった野菜類は、フードロスの解消や低い仕入価格が安いため、安全で清潔な状態であることを確認して、どちらもミンチ食材に変えると新たな料理食材として活かすことができます。

●フードプロセッサーでみじん切りにする
●すりつぶす 骨もすりつぶして使う
●3mmミンチにする(1度挽き)
●5mmミンチにする(場合により1度挽き、または2度挽きにする)
●(場合により)5mm角~8mm角の手切りカット肉も混ぜる(大きさで粗挽き感の強弱を演出できます)

できる限り料理に活かして楽しみましょう。


ホルモンやクズ肉を活かす

最近は牛の肺や脾臓豚の肺、羊の脳なども料理に使われるようになりました。生き物から得られる恩恵は限りがあります。まだまだ捨てられているホルモン類や端肉を活かしましょう。

生きた動物を食材にしますから、これからは全量を無駄なく使う考えが必要です。牛一頭を2年半肥育する穀物で多くの人の飢餓を防ぐことができます。牛豚鶏のすべての肉を活かしきるためにはもっと工夫が必要と思います。


廃棄ロス食材を活用する

大分県には味一ネギというブランドの小葱があります。以前聞いたところによると、傷んだところや見栄えの悪いところを除いて「出荷用に整える」と、収穫したねぎの50%が廃棄することになるそうです。ここにも大きな無駄が隠れています。

少し前からこれを使ってペーストにして、ネギ味噌やネギ油をつくるようになりました。もっと健康に役立つ商品開発が進むことを願っています。これと同じようなことが度の野菜にも起こっていると思います。ロスが減る分だけ農家の収入が増えることになります。

まとめ

1,生産量が多い一般食材を使う
2,調理の幅が広い食材を使う
2,癖のある食材は、ミンチにする、野菜と混ぜる、濃い味の調味料で臭みを消すなどの方法で売れるように変えられます

食材原価率35%以下で利益率の良いよく売れる料理を開発しましょう


(了)


飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします