【2019年私的ベスト3小説】文学的ネトゲ中毒者の挫折と復活(藤田祥平「手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ」)
2019 年に読んだ本の中で 3 本の指に入るほど面白かった小説の紹介と、内容の勝手な解釈を綴りたい。
藤田祥平「手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ」は、ネットゲームで世界 4 位にまで上り詰めた伝説的ゲーマーによる半自伝的青春小説だ。
帯の煽り文句によれば、著者は母親が自殺した瞬間もネットゲームに興じていたという。言うまでもなく、常軌を逸したのめり込みぶりだ。この煽り文句だけを読めば、いわゆる「ネトゲ廃人」の転落と更生の記録のような内容ではないかと想像する方も多いだろ