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からす団扇

7月20日は武蔵国総社・大國魂神社のすもも祭りである。
毎年、その日にのみ頒布される「からす団扇」を求めて多くの参拝者が訪れ、境内にはすもも市が立つ。

今年は感染拡大を防ぐため市は立たず、からす団扇の頒布は今日18日から20日までの3日間となった。

何しろ、からす団扇の御利益は「疫病退散・五穀豊穣・悪疫防除・厄除」である。

からす団扇の由来は、大同2(807)年に編纂された『古語拾遺』の神話だという。

神代の昔、大地主神は田植えをなさる時に田人に牛肉を食べさせた。その時、その田に御歳神の御子がやって来て饗(牛肉)につばを吐いてお帰りになり、父にそのことを告げた。御歳神は怒り、その田に蝗(イナゴ)を放った。苗の葉はたちまち枯れ、篠竹のように損なわれた。
そこで大地主神は片巫・肱巫に理由を占わせたところ、「御歳神の祟りである。白猪・白馬・白鶏を献じれば怒りは解ける」とお告げがあったので、教えの通り謝り奉ると、御歳神が答えて「まことに我が意である。麻柄で桛(かせい)を作ってその葉で掃き、天押草で押し、烏扇で仰げ。もしこれで(蝗が)去らなければ、牛肉を(田の)溝口に置いて男茎の形を作って加え、薏子(つしだま)蜀椒(ナルハジカミ)呉桃(クルミ)の葉と塩を分けてその畔に置け」と言われた。
その教えに従うと、苗の葉はまた茂り、年穀は豊かに実った。これが今神祇官が白猪・白馬・白鶏を献じて御歳神を祭る由縁である。

すごく簡単にいうと、烏扇で仰ぐことで、田の苗を食い尽くすイナゴが去るという御歳神の教えがあった、ということだ。この烏扇がからす団扇、またからす扇子となっているのである。

というわけで、頒布初日の本日、車で大國魂神社へ行ってからす団扇をお受けしてきた。御朱印は、コロナ対応のため書き置きしかしていないし、競馬場帰りに寄って頂いたりしているので、今日は頂いていない。

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さて、神社や京王線の主要駅などには巨大なからす団扇も掲げられているのだが、悪疫退散となるだろうか。

今月は祇園祭でもあるし(祇園祭は7月の1ヶ月間行われる疫病・災厄除去を祈願する祭りだ)、祈りや願いが届けばいいと思うけれど。

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