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旅行の醍醐味

知らない土地へ旅行に行くと「あーここで普通に生活してる人もいるんだなあ」と思う。いや、当たり前じゃん!って感じだけど。

旅行をする時、とりあえず有名観光地に行くだろう。結局オススメされている場所に行けば間違いないんだから。特に初めて行く土地なら尚更そう。あとはその土地の名物グルメも欠かせない。もちろん私もそうだ。

しかし、それと同じくらい好きなことがある。それは、その土地で生活している人を見たり感じたりする瞬間だ。

例えば、

目的の観光地に行くまでの道の途中、『ネギが飛び出ているエコバッグを自転車のカゴに入れて帰路につくスーパー帰りのご婦人』とすれ違った時

とか

インスタ映えしそうな歴史的な街並みで、掲示板に貼ってある自治会イベントの手作りチラシやゴミ捨ての方法についてのお知らせを見た時

とか

居住人口より観光客が多そうな島で、地元の子供が通っているであろう分校を発見した時

とか、、そんな感じの瞬間だ。

要するに、私が非日常を感じている今この瞬間も誰かにとっては日常の一部なんだと思うとなんというかすごくときめく。観光地に暮らす人のホンモノの日常の瞬間を見るとなんとなくワクワクする。そういう瞬間を見ると、この観光地で暮らす人々はどんな生活をしているんだろう…みたいなことが気になって想像が捗る。“ザ・観光”みたいな空間に普通っぽい瞬間があると安心するのかもしれない。
余談だが、安心することと言えば、私は全然知らない街に電機メーカーの看板を掲げた個人経営の電気屋さんを見つけるとなんだか安心する。多分、前世が電気屋を営む主人だったんだと思う。

とにかく、旅行先で日常を感じる瞬間が好きなのだが、特に外国に行くとその想いは強くなるらしい。
先日初めてイタリアに行った。ローマの平日・・・・・・の朝にスーツを着たおじさんがバイクに乗って通勤する様子を見た時や、学校帰りっぽい現地の少年たちが広場で楽しそうにサッカーをしているのを見た時はすごくテンションが上がった。しかもサッカー少年のうちの一人はONEPIECEのゾロのTシャツを着ていたのだ。異国の少年の日常シーンに日本のアニメTシャツが存在していることになんだか感動した。原作者でもないのにね。
イタリアではいろんな場所に行ったがこの日常の一コマシリーズはかなり印象に残っている。

 そして、そんなことを考えているうちに私も“あっち側”になってるかもしれないと気づいた。私は今、いわゆる観光地に住んでいる。自転車でバイト先まで向かう道中、たくさんの観光客が歩いているのを目にする。そんな観光客を見ると「私にとっては日常のこの瞬間も、彼らにとっては非日常なんだなあ」と思い、なんだか不思議な気持ちになる。
で、もしかしたら『観光客を横目に自転車を漕いでる瞬間の私』も誰かの旅行の醍醐味になっているかもしれないなあと感じるのだ。

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