伸びきったラーメン
夕方、夜ご飯にはまだ早い時間。
夜ご飯用に作る予定のラーメンを見つけて、目を輝かせた娘が、
「今日ラーメン?!」
と。
そうだよと伝えると早速袋を開けようとしたので、
「ママはまだお腹空いてないし、1人分作って食べたら?」
と提案した途端、いきなり不機嫌になった彼女。
もう食べない。
今日は夜ご飯いらない。
食べたくなくなった。
そして、私の目の前でキッチン小物を壊そうと力を入れてみたり。
スマホの画面を隠してきたり。
やめてほしいと言ってもしつこく続けて本当に面倒くさいから別の部屋に行って物理的な距離を置いた。
まぁ思春期爆発中の娘はこんなことは日常茶飯事で、結局お腹空いて夜ご飯になったら食べるだろうと。
小1時間してラーメンを2人分作り、寝室にいる娘に声をかけた。
まだ不機嫌のまま。
何度か声をかけたら渋々リビングに出てきて食卓に着席。
しかし手をつける気配なし。
私だけが黙々と食べ始め、娘はテレビで流れるバラエティ番組を凝視。
『ママのことは一瞬たりとも見ませんよ』
みたいな空気をひしひしと感じる。
少し動いたかな?と思ったら、冷たいミネラルウォーターの入ったコップに小袋の七味唐辛子を入れて遊ぶ。
「せっかく作ったから食べて欲しいなあ」
と声をかけてみたものの、返事は無い。
麺が伸びてスープが見えなくなっていく様子を見ながら私だけが黙々とラーメンを食べ続ける時間。
ふと、
昔つらかったことや、最近のいろんなストレス要因のことを思い出した。
目の前の手をつけられずに伸びていくラーメンを見ていたら涙が溢れてきた。
ラーメンを食べながら号泣する母親って、だいぶヤバいと思う。
そう考えた私はひとり寝室へ向かい、思う存分泣いた。わんわんと泣いた。
体感3分、思い切り泣いた後、何事もなかったかのようにまた食卓へ戻り、ラーメンの続きを食べた。
娘は変わらない姿勢でテレビ番組に視線を集中させていた。
もう、これは、意地でも食べないという意思表示だ。
自分のどんぶりが空になってすぐ、食卓に並べたおかずやお皿を全て下げた。
このまま置いていても状況は変わらないだろうと、諦めた。
自分で作ったラーメンを眺めながら食事をし、
その眺めているだけだったラーメンを捨てる。
虚しすぎた。
もう、日持ちのしない料理はやめようかな。
翌日に持ち越せない夜ご飯は、脳内献立から抹殺しよう。
そう心に決めた。
ところで、こんな子があと6年で成人になるなんて、本当に大丈夫なんですかね?
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