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保育の生産性を考える「PDCAサイクルとは」

こんにちは。
保育園で園長をしているSanaminaです。

今回は保育の生産性について一緒に考えていきたいと思います。


生産性とは

モノやサービスをどれだけ少ない資源で効率的に生み出しているかを知るための指標です。

例えば一般的な企業であれば
企業が投入した時間や人材などの資源に対してどれだけの成果を生み出せたかということになります。
投入した資源というのは、人件費、設備、原材料なども含まれます。
投入される量に対して生産物が多ければ「生産性が高い」状態であると言い、逆に投入される量に対して生産物が少なければ「生産性が低い」状態であると言えます。

PDCAサイクルとは

生産性を向上させるには「PDCA」は欠かせません。
PDCAサイクルともいい、業務を円滑に進める方法です。
サイクルとあるように
Plan:計画
Do:実践
Check:確認
Action:改善

の4段階を繰り返して業務を改善し、仕事をスムーズに進めようとするものです。
業務改善が継続的に行うことが出来ます。

PDCAのデメリットとしては、時間がかかること。
目標や目的が定まっていてそれを達成するための手法のため、突発的な出来事に対しての対応には向いていない点です。

しかし、生産性を高めるということは突発的にできることではなく、継続的に続けることが重要です。
そのため生産性を高めるためには「PDCA」不可欠となるわけです。


では、保育の生産性とはどのようなことをいうのでしょうか。

保育の生産性とは


ここまで一般的な生産性についてお話してきました。

これらの話を元に保育の生産性を考えたときに、

まず、一般的な生産性で保育を捉えることは出来ないことがわかりますよね。

・保育業界では、子どもの人数に応じた職員の配置を通じて、一定の保育の質の確保を求められている
・公定価格が決められているため収入の変動がないということから労働生産性という形で測定しづらい

厚生労働省「各業種における生産性向上の具体的な取り組み」

上記のように厚生労働省も説明している通り
投入する人材や労働時間、設備などを減らすことは限りなく困難です。


・保育士の配置基準が改善され、さらに人材は必要となります。
・保育士不足に伴い、人材確保に苦戦している現状では労働時間は減らせません。
・狭い園というよりも広い園の方が良いでしょう。設備の拡充や改善はあっても減らすことはほとんどないでしょう。

経済産業省では
保育現場における「生産性向上」を「子どもが健やかに育つように質の高い保育を提供するための機能強化」とみなしています。

つまり、
保育現場の生産性を高めるためには
・保育の質
・保育環境
・職場環境
・経営の質

これらの向上が求められるのではないでしょうか。

・保育の質の向上

保育の質を高めるための取り組みとして

人材の確保
復帰制度を整える
研修制度の充実
労働時間の削減
給与待遇の改善
円滑な人間関係

などがあげられます。

保育の質の向上により、
子どもが健やかに育ち、高い能力のある人材が集まりやすくなり、保護者からの満足度も高くなります。

・保育環境の充実

保育環境とは

「人的環境・物的環境・自然、社会環境」など子どもを取り巻くすべての物事のことです。


人的環境
保育園に関わる職員の人柄や言動、関係性や雰囲気のことです。
子ども達が安心して過ごすためには人との関わりは欠かせません。

物的環境
園庭、園舎、遊具、設備、玩具など物理的、文化的な物のことです。
園生活を過ごす中で関わる物理的なモノ全てが当てはまり、生活する場所や使用するモノを指します。
例えば、園庭や園舎、保育室であれば活動が十分に出来るような広さが必要で、自発的に活用できるように整えることが重要になります。
また、掃除や消毒など清潔に保つこともポイントです。

自然、社会環境
自然環境とは、園周辺の自然や季節などのことをいいます。
農作物を栽培したり、育てている植物、飼っている虫や動物などと触れ合い、命の大切さ、優しさ、思いやりの心を育みます。

社会環境とは、地域の住民とのふれあいや、公共施設で社会をふれあうことです。
保育園の中だけでは出来ない経験のことを指します。


これらを総称して保育環境といい、保育環境の充実させることで子ども達はより様々な経験をして成長することが出来ます。


・職場環境の充実

職場環境を充実させるための取り組みとして、次のような例があげられます。

・パートやアルバイトなどの短時間雇用などを積極的に行い、人材の確保を図る
・変形労働時間制を導入し、勤務時間を調整する
・園長との1on1面談などを定期的に行い、個人的な悩みや課題を短期的に解決し、人間関係を円滑に進められるようにする
・ICTシステムを導入し、事務作業をパソコンやアプリを活用して業務負担を減らす

・経営の質の向上

理想だけを語っても保育の質は上がりませんし、保育環境、職場環境の充実はありません。
すべての質を上げるには、
処遇改善、職員配置の充実、保育環境の整備などが必要になりますが、
これらすべてに費用が発生します。

ということは経営マネジメントの質を高めなければいけません。

経営の質とは、マネジメントの質です。
経営の質を上げるにはマネジメント力が問われます。

園の限られた資源を分析し、それらを活用して自分たちが目指す理念・目標を実現していくことをマネジメントといいます。

人、モノ、お金、情報、ブランド力など限られた資源の中で、最大限の成果を上げるような工夫や考え方が必要ということです。

5年、10年ごとの中長期ビジョンを立て、実践するための工程をしっかりと作っていくことも重要です。



保育分野の資源と価値、成果指標とは

保育分野の生産性を考えると同時に、投入した資源から生み出される価値も一緒に考えなければいけません。


投入資源は人・施設設備・土地となり
付加価値として、子どもの育ち・保護者支援につながっていきます。


次に、生産性の成果指標をどこに置くのかを考えてみましょう。

保育の質を上げる⇨子ども(健やかな成長)
多様な保育サービスの提供⇨保護者(仕事と子育ての両立支援)
多様な保育サービスの提供⇨企業など(女性が働きやすくなり女性人材の確保)
支援の幅と質を上げる⇨地域社会(地域子育て支援)

このように保育事業が生み出すものは経済的な価値ではないのかもしれません。
しかし、これが保育事業が生み出す価値であり、未来を担う子ども達の成長を支えるために最も重要なのです。


では、人材・施設・時間としての生産性をどう考えますか?

・保育に関連する周辺業務の省力化、効率化、合理化を目指し、ICT化の推進。
・キャリアアップ研修など、保育者の資質向上による生産性の向上
・経営トップマネジメントにより経営の質の向上、労働環境の改善

などのような取り組みがあげられます。



保育のPCDAサイクルとは


冒頭で話したように
生産性を高めるには「PDCA」が不可欠とあります。
保育のPDCAサイクルとはどのようなものになるでしょうか。

当たり前ですが、保育現場では保育指針を踏まえた保育過程を編成し、それに基づく指導計画を作成しています。

Plan:計画「保育計画・指導案」
Do:実践「保育活動・行事」
Check:評価「保育記録・ミーティング」
Action:改善「見直し・改善策提案」

「保育計画を行い、実行して保育活動を振り返り、反省して改善し、次に繋げる」
これ、現場では毎日のようにやっていますよね??
実は、日常的に行なっているんです。

1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごと、4期ごと、1年ごと、就学まで。
しっかりと継続もしています。

保育の質と職員の協調性が高められるサイクルはもうすでにあったのです。


まとめ

ここまで保育の生産性について考えてきましたが、

生産性向上のカギは「人ひと」と「質しつ」です。

最も付加価値を生むのは「人」

保育現場での生産性向上の取り組み例としては
・1法人他施設展開
・人材確保
・育成
・ICTの活用
が上げられます。

保育の生産性を高めることにより
子どもの健やかな育ちが保証されます。

保育事業の生産性の向上により、持続可能な社会への実現につながると私は信じています。

いかがでしたか?
少し難しいお話になってしまいましたが、ここ最近私が興味を持ったテーマなのでみなさんと一緒に考えてみたいと思い、ブログに書きました。

では、また次のお話でお会いしましょう。

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