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それは、宝石のようにキラキラと。


先日、友達から、突然
タルトが食べたい、お誘いを受けた。

自分一人だと、街中に積極的に
出かけて行かない。
タルトを食べに行く思考もなかっただろう。

いい刺激だなと思い
是非、と、馳せ参じた。

お店の最寄りの駅で待ち合わせをする。

駅の周りもお店までの道のりも
小洒落た服屋や雑貨屋が立ち並び
スタイリッシュにきめた人々が
街の雰囲気に酔いながら歩いている。

(こういう洒落た場所がどうも苦手である。
片田舎の港の街出身の私の目には
どこかツンとして相容れないように見えた。)

どこか居心地の悪さを覚えながらも
どこもかしこも
その街の名に恥じぬように
粧し込んでいるように見える景色に
感動と少しの高揚感を覚えていた。

タルトのお店に着く。

その名は、キルフェボン。

よく耳にする、有名なお店である。

だがしかし、洒落っ気に縁のなかった私は
最近までこの"キルフェボン"のことを
サテンとかシルク、みたいな
なんか生地の名前なんだろうな。
と大いなる勘違いをしていた。

そんな私が、その日初めて
そのキルフェボンにタルトを食べに行く。
イートインは初めてだった。

数種類タルトが目の前に並んだ
ショーウィンドウを見た瞬間
心がゴム毬のように踊り跳ねた。

もう、キラッキラなのである…っ!!!

彩り豊かなフルーツたちが
艶々にコーティングされ
溢れんばかりに敷き詰められていた。

それはまるで宝石のように
キラキラと輝いていた。

見ているだけで心がいっぱいになった。

ショーウィンドウの中には
"私が一番美しくて美味しいよ!"
と言わんばかりに
たくさんのタルトたちがキラキラ輝いている…

あぁ、フルーツがたくさん乗っている
このタルトも美しい…

季節限定の桃のタルトも
なんと愛らしいことか……

なんて美しいイチゴの並び方…
まるで扇を広げたように均整のとれた形で
並べられているではないか…

悩みに悩んだ………

そして、私は……
ついに1つに決めきれずに
2つのタルトを選んだ。
(太ることなんて考えられなかった)

紹介しよう。
レモンのティラミスと
赤いフルーツのタルトだ。

美しくもあり、もちろん大変美味だった。

レモンのタルトは
爽やかなレモンの甘さと酸味が
ティラミスのクリームにマッチしていて
上品な甘さの一品に仕上がっており

赤いフルーツのタルトは
ベリーの酸味とチーズケーキのような生地との
バランスが素晴らしく
一際目立つイチゴの甘さが最高であった。

そう、大満足である。

ペロリと食べてしまった。

美しすぎて家に持ち帰って
飾りたいくらいのタルトたちを
自らの手に持ったフォークで
じくり、と切って口に運ぶ……
このなんともいえぬ背徳感と優美さが
癖になりそうです…………

是非、また行こうと思う。

今度はどんなタルトを食べようかなと
考えるだけでちょっと幸せである。

(実は、驚くなかれ。
私は、タルトを食べてから
少しお散歩してラーメンを食べに行ったのだ。
自分の胃袋の底の知れなさに
この後恐怖することになる。)


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