仕事中の電気工事士

㉕現場の言葉、其の二。(含む道具係)

現場の言葉、其の一からの続きです。
カナダは移民の国だということを忘れてもらっては困る。カナダに永住するためには英語もしくは、フランス語の能力が高いと永住権を取りやすくなるとされる。実際は言語能力についても自己申請なので、面接があったらその時にばれて困ると心配だった。


「カナダへ行ってネイティブの人から直接英語を学べる!」

とか

「職場で毎日生の英語漬けの生活で上達するぞ~!」


とか

「日本人の少ない学校へ行ってバイリンガルだ!」

とか

そうは言っても私が最初にホームステイした家庭は中東系の家族で、英語はネイティブでも生活習慣がだいぶ違っていた。初めて得た仕事は皿洗いで一番近くにいた相棒もカナダに着たばかりだったが、彼はフランス語が母語で英語は全く出来なかった。そして学校は先生だけがネイティブで、日本人とは均等に付き合い、困ったときに得る情報は全て日本語だった。

以上私の経験談の一部でしたが何を言いたいのかというと、なかなか思い描いた希望の状態は得にくい場合も当然ありうるということです。英語を強化したいのなら大学に行くつもりにならなければ伸び悩むと言えましょうか?大学へ行くつもりで無かった私の場合、前出の「店番」で飛躍的に伸びたました。


カナダで英語を伸ばしたいために仕事探しをしているのでしたら、

電話営業が良いと思います!


仕事を理解するために説明すべきマニュアルを熟読し、お客様に理解される英語を話すことで対価を得られます。要はお客さん相手は英語の学習に最適なのですね。

顔の見えない相手と電話だけで話すのは勇気が要ります。場合によっては『あんたの英語が分からないよ!』と言われて一方的に電話を切られる場合もあるでしょうし、『英語がうまいね~でも微妙にアクセントがあるな~何処の国から来たんですか?』と言われてうれしいこともあります。これも経験談です。


話したいことはここからです。電気工事士になってかなり後のことです。カナダ中西部の産油地で働いていたときに職場移動になり、現場は現場でも200人以上いる電気工事現場内の道具係りになりました。『Tool Cribと言います』この職種は人気が無いというよりは嫌われている仕事です。理由は荒れくれ野郎を相手に、そいつが必要としている物を探して揃えて手渡すからです。

従ってTool Cribはもの凄く忙しい職場で、尚且つ文句も言われる非常にストレスの高い職種です。一口に20組と言っても、実際には一人で全部は持ちきれないので数人のチーム毎が列を成し、朝一番から長い行列を裁く遣り甲斐のある仕事です。


無論一日の終わりには貸し出した道具が全て返ってきます。


Tool Cribは通常、道具と部品、それに前出のPPE(personal protective equipment:個人用防護具)のセクションに分かれています。ここでは大小さまざまな作業着(つなぎ)、ハードハット(ヘルメット)、イヤーマフまたは耳栓、ヘッドランプ、セイフティーグラス(防護めがね)、手袋(カット防止、防寒、振動軽減など)、Balaclava バラクラバ(銀行強盗が使う目と口の開いた防寒具)その他多数。

これらを短時間で揃えて行列を裁くため、超多忙故に一日があっという間に過ぎてゆく。それに加えて知識と人脈も増える良い職場でもあります。


公の場で私のデビューは次号へ続く、、、

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