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凪良ゆう氏「流浪の月」~読書感想文~

知り合いがFBで投稿しているのを見て、この本を手に取ってみた。
この作家の本は初めて読むが、ストーリーに引き込まれていくように、一気に読み終えた。
聖域となる心の動きが丁寧に繊細に書かれており、読みやすい本だった。

今のこの世界情勢の中で読んでみるのはいいかもしれない。言葉を感じ、考え、選択、手放す、この作業に向かう勇気を持てたり、紡がれる言葉が見えない手となり誰かの背中を押してくれることになるかもしれない。

今ここに至るまで選択をし手放してきた今の私にとって、自分と重ね合わせた言葉をランダムに列記してみよう。

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主人公の母親は、「我慢は嫌いなの。人とのお付き合いより、人生には楽しいことが沢山ある。暮らしを愛することに忙しく、つまんないことに割く時間はない。」

そんなことを堂々と言い切る姿はとても好ましい。私も同じだが、まだまだそこまでは到達できていない。

私は自分に問いかけた。
・私にとって楽しいことはなにか?
・誰との暮らしを愛するのか?
この問いは容易に答えることができた。

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この世をやんわり統治しているルール。意味もわからず、ルールに従い始めている。

この世は意味がわからないルールが多すぎる。
なるほど。と納得ができる煌めく理由がないのがこの世界の現実だが、自分で創り上げる世界には煌めく理由が存在している。

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事実なんてない。出来事にはそれぞれの解釈があるだけだ。
事実と真実はちがう。

人それぞれの解釈の中で生きていく我々人間にとって、今は生きやすい世の中とは言えない。生きづらい世の中だと全くもって思う。
だからこそ、物事の本質や真実を追い求める生き方にこだわっていきたい。

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心や言葉を尽くしても、分かり合えないことはたくさんある。手放すことで楽になれることは、もっとたくさんある。私は1人になったけれど、それがなにほどのことだ。誰かと一緒にいても、私はずっと1人だったじゃないか。

私は、このことに気づくまでえらく長い時間を要した。

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中途半端な理解と優しさで私をがんじがらめにする。あなたたちから自由になりたい。負の感情だけをぶつけてくれるなら楽。その中に、時折、優しい気持ちが混じる。

これは共感と理解の違いかもしれない。理解は難しい、が、共感は相手の言葉を聴くだけで特に何も言葉を発せずとも1人ですることができる分、分かりやすいのかもしれない。
以前優しさの原点はどこだろう?と考えたが、それに通じるものがあった。

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まとめ
安全地帯。自分の居場所。家に帰りついた子供。半分現実、半分夢の中は最高に気持ちいい。

これらは本の中に散らばっていた言葉だ。
エゴや執着を捨て、
「誰かを好きになるとはどういうことなのか?」
これを問いかけられた本だった。

この問いかけを実践してみることはかなり難しいことだ。
人間である以上、エゴや執着は持っているからだ。
それを認識したうえで、
「わたしが私でいるために」、
たった一語に集約して、この言葉を投げかけたい。


「わたし、ずっとここにいていい?」
読み終えたとき、月の言葉が聞こえた気がした。







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