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【花・植物空間】ここにいると

『郵便局はどこですか?』
『〇〇ビルはどこですか?』
『〇〇店はどこですか?』

ここにいると、道をよく聞かれる。

『今日はいい天気だねぇ。』
『今からあそこへ行くのよ。』

ここにいると、おばあちゃんが話しかけてくれる。

『おはようございます~』
『こんにちは~』

ここにいると、老若男女問わず沢山の人が声をかけてくれる。

つい先日、店の前で【けん玉大会】が始まった。
近所にある小学校1年生の3人組が、下校途中に店の前で足を止めた。彼らは1年生、まだまだ可愛らしさを身に纏っている。

3人組の男の子の手には、けん玉があった。
玉の色が、青・黄色・緑。信号の色みたいな玉が私の目の前の空間で舞い踊っていた。テンポよくリズミカルに玉が舞い、子供たちの身体がリズムを刻む。その光景に目を奪われた私は、3人組の輪の中に吸い寄せられていった。

3人の男の子たちは静かに闘志を燃やしながら、目の前でけん玉の技を披露してくれる。
『すごい!すごい!凄いやん~』私の感興の声に響き合うように、男の子たちは手にあるけん玉を動かす。
人が行き交う道端が、3人のパフォーマーと1人の観客で埋まる即興の小さな舞台に変身した。

子供たちは、褒めてもらえるのが嬉しかったのか、3人それぞれが真剣に技を披露してくれた。その姿がなんとも愛おしかった。

十数分そこで立ち止まり、けん玉をプレイしてくれた後、兄弟姉妹の話をしてくれた。3人には全員、お兄ちゃんかお姉ちゃんがいるようで、それぞれのお家では下の子だった。3人とも得意げに家族の話をしてくれ、まるで小さいおばちゃんみたいだ。

道端での井戸端会議。会議進行者は、小学生の男の子3人と、大の大人女子1人。発言者は男の子3人、記録者はわたし。会議終了後、『バイバイ~!』と手を振り帰路へついた。

私の大人の世界にも、大人になった男の子と女の子がたくさんいる。
彼らの中には、この頃の小さいおばちゃんが必ずいるはずだ。
負けたくない!と静かに闘争を燃やし頑張るところだったり、自分の話を沢山してくれるところだったり、目をキラキラ輝かせ身体をぶんぶん振り回し遊ぶところだったり。

ここにいると、ある時はお巡りさんに、ある時はおばあちゃんのお友達に、ある時は女の子に、わたしは色んな姿に変身することができる。人と人とのあっちとそっちを繋げてくれるのは、言うまでもなく『花と植物』だろう。


花と植物に取り囲まれる空間は、あの日やこの日、これからの日、時間を超え解放された自分自身に会えることが分かった。そして、これこそが、「自分がちゃんと世界に存在している」そんな、【感じ】なのだ。

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