見出し画像

災害が発生したときの「共助」の重要性


今回は災害時の医療継続に欠かせない地域コミュニティ「共助」について考察します。

東日本大震災において、行政の機能が麻痺することがわかり、
全ての被災者に対して行政からの「公助」の提供が難しい状況が生じました。

そのため「公助」が提供できない場合や、提供まで時間を要する場合に備えが欠かせません。

平時から医療機関が所在している地域コミュニティでの情報共有や連携を強化していくことはその延長線上にある災害時においても非常に効果的です。連携体制を構築すれば、公助が届くまでの一次対応を可能となります。

医療機関は災害の際には被災者を受け入れる立場なので、平時より医療需要が急増します。
地域の医療機関が一枚岩になることができれば、リソースが限られる災害時においても、適切な判断が可能になり、一人でも多くの地域住民を救うことができるのではないでしょうか。

■「公助」とは何か


公助とは被災時に国や市役所、保健所、自衛隊などによる公的な支援のことです。
厚生労働省が派遣して災害時医療の中心となる日本DMATや都道府県が派遣する都道府県DMATもこれに含まれ災害発生から48時間以内を目安として活動するとされています。

しかし公助には限界があります。被災地に現地に届くには時間が掛かかるため、一時対応は地域コミュニティレベルで主体的におこなう必要があります。

各自の医療機関が自助努力をすることだけが主体的という考え方は適切ではありません。
「共助」を意識しながら、地域で情報を共有し連携できれば防災に強い地域を作ることが可能です。

災害時の被害を少しでも抑えるためにも地域コミュニティが普段から連携し、災害に備えておく必要があります。

■地域コミュニティにおける「共助」とは

6,400名以上の死者行方不明者を出した阪神淡路大震災では地震によって倒壊した建物から救出され生き延びることのできた人の約8割が、家族や近所の住民等による「共助」によって助け出されており、「公助」である消防や警察および自衛隊によって救出された者は約2割であるという調査結果があります。

災害時における医療機関の運営においても同じことが言えます。

災害時においは地域に指定毎に指定されている「災害拠点病院」が地域の医療機関を支援します。災害拠点病院は建物が耐震耐火構造であること、機器財等の備蓄があること等の条件を満たしており、文字通り災害医療の拠点となる病院です。

しかし大規模災害が発生すると災害拠点病院であっても、被害を受ける可能性があり、地域コミュニティの連携がさらに重要になります。

エリアの外から公助が届くまで、地域コミュニティで連携しながら、医療提供を継続し、持ちこたえなければいけません。

地域の医療リソースを適切に分配するためにも災害拠点病院とそれ以外の地域の病院が連携し合い、助け合うことで多くの被災者に医療を提供することができます。

将来的はこの地域内での「共助」を更に強化するために、必要な情報共有をデジタルプラットフォーム化できれば、医療従事者の負担も少なくすることができるのではないでしょうか。

このように地域コミュニティの共助は、災害が発生した際に公助が届くまでの間だけでなく、平時から中核をなすものであり、その強化が地域コミュニティの活性化や防災力強化につながります。
 
--------
hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
-------
ご意見ご感想ございましたら、是非お気軽にご連絡下さい。
ご返信させて頂きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?