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無添加ひもの 奥和さんにお邪魔しました!

伊豆出身だからか、昔からひものは大好物。
私自身、頻繁に食べる食品なので、安全面が特に気になるけれども
都内に住んでいると安心でおいしいと思えるひものになかなか出会えず。
そんな中、生活クラブさん(生協)で頼んだひものが感動的においしくて!
調べてみると、作っているのはなんと地元伊豆の会社!
明治初期創業 静岡県沼津市のひもの屋さんにお邪魔しました。

「料理は誰か(家族や自分)の為を想って作るもの。
 美味しいものがいいに決まっている。」

「おいしいを追求し続けるのが使命だし、楽しい」と笑う5代目 奥村社長

無添加ひものの苦悩

味にこだわる無添加ひものを作り続けてきた奥和さん。
しかしお父さん(4代目)の時代には一時、無添加の道から逸れたこともあったという。


仕上がったひものをまとめて、梱包作業


当時はスーパーの台頭と共に、売り手の要望に合わせた商品づくりへの転換期。
スーパーではひものは鮮魚コーナーに並ぶことになる。
酸化が大敵のひものは、冷凍流通が基本。
しかし鮮魚コーナーに並べる為には、冷蔵で販売する必要がある。
(ここが本当に謎なのだが、冷蔵にする理由は「鮮度よく感じる」という理由らしい。)
冷蔵では無添加のままだと色みが一気に落ちて売れにくくなる為、酸化防止剤や着色等が必要になってくる。
イメージや色味で食品を選び、本質を見ようとしない、我々消費者の意識も変えていかなければいけない。


売値もしかり。
スーパーから言われた「消費者の購買心理を突いた売り値」に合わせなければ、買ってもらえない。
必然的に原料をランクダウンさせ、味を補う為の添加物が必要になることもある。

ひものを干すのに最適な11月の気候に合わせた
乾燥器で干していく。

4代目の代は、そんな業界の現状に疑問を抱えながらも、企業として生き残る為に添加物を使っていたそう。
そんな時に4代目が行っていた環境への取り組みをきっかけに、生活クラブさんとの出会いがあり、取引がスタート。
無添加のひものに舵を切り直すことに。
消費者としては嬉しいことだが、無添加に舵を切ることは、当時の築地市場との付き合いを絶つことと同義で、大きな葛藤が。
今でもそれが足枷と感じることも多いそう。

消費者の顔が見えるということ。

生活クラブさんに卸すようになり、その信頼関係の上にやり取りをする中で「この人達の為に」という想いが強くなっていった。
「もっとおいしいものを作りたいと心から思う。」
シンプルな社長の言葉が胸に刺さったのは、この業界で「おいしさ」に注力することの難しさが垣間見れたから。

おいしい鯵のひものは形が「丸い」そう。

よく、消費者側からの言葉として「生産者の顔が見えて安心」という表現があるが、逆もしかり。
消費者の顔が見えることで、日々コストや綺麗事では済まない問題に立ち向かわなければならない生産者も「よりよいものを作る」という原点にいつも立ち返ることができる。
産地偽装などの危うい状態は、消費者の顔が生産者から見えなくなってしまった結果にも思える。

食べる側と作り手がお互いに支えあって食卓が成り立っていることを忘れてはいけないと改めて感じた。

ママたちへ。

ひものは焼くだけで食べられる、調理の手間が非常にかからない食品。
一昔のように保存の為の塩分がたくさん使われていた時代は終わり、
現在使う塩は魚の旨味を引き出す最小限のみ。
匂いや煙を敬遠する人もいるかもしれないが、
魚が焼ける音、煙、そんなものも一緒に五感で楽しんでほしい。
骨を嫌がる子供も多いと聞くが、本当においしいもののためだと
子供は自ら骨を取って食べる工夫をする。
是非とも、本来のおいしいひものを食べさせてあげてほしい。

そんな奥和さんのアンテナショップであり、お食事処が沼津に。

ひもののおいしさは然ることながら、こだわりの建築屋さんに作ってもらったという木造の空間が本当に心地いい。

深呼吸したくなるような空間で、真心こめたひもののおいしさを感じてほしい。



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