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入管法改正案と、気候難民、気候正義

4/13 19:00~ 入管法改悪反対 スタンディングに
スピーカーとして参加しました。
スピーチ内容をこちらに記載します。



国会で審議入りしてしまった”
“ブラックボックス化、私たちの声が届かない”
“誰のための法案か、被害を受ける側にたった法案ではない”
“あんなに声を届けたのに、なぜ”

Twitterのタイムラインに流れるこうした言葉の数々を見て、
私は気候危機に関する「GX法案」のことかと思いました。
しかし、そうではありませんでした。

この法案は誰のためにあるのか


その問題は今まさに気候運動も直面しています。

3月から国会で審議されているGX法案は
原発の安全規制を緩める方向で、
環境省ではなく経産省が実権を握ってしまってブラックボックス化すると言われ、
誰のために原子力発電の運転期間を延長するのか、産業界のためにあるのではないか、
気候危機の被害を受ける将来世代の意見が反映されていない、
そうした声があがっています。

#入管法改悪反対  これに関する国会前アクションに、New ENErationが連帯するのは、
2年前のエネルギー基本計画に対して27万の署名が集まったあの声がどこにいったのか
とまさに同じような状態が気候運動においても起こっているからです。


「誰のための法案なのか」被害を受ける人のために、
社会的に弱い立場におかれてしまっている人のために、
法案をつくっていこう、
不正義のない社会のために、「改悪」と言われる法案がなくなっていくために。

今日は、いままで入管政策が、難しくて、どのように関わればいいか分からないけれど、
環境問題や気候運動に関心のある人が、
政策や法案といったシステムによって起こる不正義にともに声をあげられるように、スピーチをしたいと思います。

人として扱っている法案か


名古屋入管での死亡事件後、当時の上川陽子法務大臣は
「収容施設として人を扱っているという意識がおろそかになっていた
と謝罪しました。

しかし、たった5分間のビデオが公開されるだけでも大きな抵抗があったように思います。
そのビデオや、今回の法案を見ても、「人としての尊厳」の問題は改善されていないように感じました。

気候危機解決のために、活動する根底には
「気候正義(Climate Justice)」という考え方があります。
日本は世界で5番目のCO₂排出国ですが、いままで歴史的にみてあまりCO₂を排出してこなかった国が、より気候危機の影響を受けるという不正義が起こっています。
そして、それにより海面上昇や洪水被害、農作物の不作、干ばつなどによって住居を(一時的、あるいは恒久的に)追われるなどする
「気候難民」「気候移民」が存在します。

国内避難監視センター(IDMC)によると
「気候難民」の規模は、武力紛争が原因で生じる難民の3倍に上り、2050年までに2億人を超すとの試算もあります。


私たち先進国に住む人々が経済成長のために、つまり資本主義のために、他の国々に押し付けてきた負荷は計り知れません。
日本の経済成長を支えてきた背景に、確実に外国人労働者の支えがあります。
ですが、法案では、日本の難民認定率の低さには焦点が当たっていません

日本の難民認定率は先進国で最も低い。2022年の難民認定数は過去最多の202人となる一方で、難民不認定とされた人の数は1万人を超える(出典:「令和4年における難民認定者数等について」出入国在留管理庁)。

収容期間に上限がないことや、仮放免の許可が極めて少ないこと、仮放免者が就労できないことなども課題だ。

引用:入管法改正案反対を訴え、学生や支援団体などが座り込みデモ(オルタナ)

入管が問題視するのは約三千人の送還を拒む人たちだが、その大半は日本で生まれ育ったり、祖国で迫害を受けかねない人たちだ。

 送還拒否人数が膨らんだ最大の原因は日本の難民認定率の低さにある。欧米各国の数十%に比べ、日本は1%に満たない。独立した難民認定機関もない。まずはこの「鎖国」状態の解消が先決だ。

<社説>入管法改正案 人権軽視こそ改めねば(東京新聞)

日本の国会の中で「気候難民」「気候移民」への関心はあるか


日本では、気候危機は「将来世代」「若者」の問題と報じられがちですが、
気候危機による被害は、いま生きている世代に降りかかっています。

多くの先進国に比べ、日本の国会・政治では、「気候難民」「気候移民」問題への関心が高まっていません。

パリ協定が採択された2015年、当時のユンケル欧州連合委員長は演説で
「気候変動が人々の大規模な移動を引き起こす新たな要因となっている。
もし、われわれがこの問題に早急に対処しなかったら
気候難民の問題がわれわれにとっての新たな問題となるだろう」

と語り、欧州ではもちろん民族主義や愛国主義によって困難はあるものの、議論が進んでいます。

アメリカのバイデン大統領が就任した直後には
気候変動の影響で住居を追われた「気候難民」をどのように認定し、
彼らにどのような保護や支援を米国政府が与えられるか
を議論すると語ってます。


世界経済フォーラムは22年1月の報告書で、気候難民を保護する国際的な枠組みが必要と強調しました。
国連も18年、気候難民へのビザ(査証)発給など、国境を越えた移住支援に各国が取り組むと明記した文書を採択しています。

気候危機が加速すればするほど、移民・難民の議論のさらなる進展が必要です。
日本は、難民申請を制限するなどした内容で「国際的な人権基準を満たしていない」と批判を受けているフェーズでいいのでしょうか。

アジアでリーダーシップをとるはずの日本ですが
レジリエンスが低いアジアの国々の、気候危機による「気候難民」「気候移民」をどう捉えているのでしょうか

例えば、南スーダン北部では、2021年の発生した洪水被害で、約40万人が難民化したといわれています。
バングラデシュでは、海面上昇と洪水によって、2050年までに最大2000万人もの人口が国内外へ移住する可能性があるとされています。

こうした数字はあくまでほんの一部であり、そして慎重な科学の声です。
気候危機は従来の科学の予想・想定より早く深刻化しています。
今の入管政策のままでは、希望は見えず、分断や不正義が広がるばかりのはずです。

だから、私は、今日ここにいます。
入管政策が、正しく改正されなければ、
気候危機の加速にともない、事態はより複雑になります
議論の遅れは、より一層国際的に避難されるはずです。

気候運動のアクティビストがプラカードなどで発するメッセージの中で有名なもので「There is No Planet B」という言葉があります。
「地球Bは存在しない」という意味です。
たったひとつしかない地球に、私たちは生きています。

BOND(バンド、外国人労働者・難民と供に歩む会)の真栄田早希さんが
「入管法案の廃案を求める学生団体会見及び署名提出」(23年3月30日)
の際に、こう発言されていました。

「私たち市民は人を殺す法案には断固として反対します」

2年前はこの法案が見送られました。
気候運動も、草の根運動によって
建築物省エネ法改正(これは真の「改正」で、逆に国会に提出されない事案でした)を成立させることもできました。

私たちの声は国会に届きます。

不正義に反対しましょう。




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