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スタートアップにおける登り坂と下り坂とまさかを経て頭の中を探求するエンジニア。興味があ…

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スタートアップにおける登り坂と下り坂とまさかを経て頭の中を探求するエンジニア。興味がある領域は仮想通貨と哲学。

最近の記事

100分de名著 『砂の女』で触れられていなかった設定

砂の女は既に読んだことあったのでこの物語を100分に凝縮するスタッフの要約力に驚きました。 砂の村から脱出するハラハラドキドキのサスペンス要素しか記憶に残っていませんでしたが、流動性の象徴としての砂や、砂穴の外にいる自分たちは自由なのかというテーマを聞くと俄然面白くなり思わず再読しました。 番組で紹介されていなかったけどより想像が膨らむ設定を挙げてみます。完成度の高い物語です。 村人たちの恐れと葛藤仁木が最初に村人に遭遇した場面です。 村人は仁木が県庁から調査に来た人間で

    • 釣りが上達するってどういう感覚なのか

      去年の秋に釣りを始めたときは全くの素人だったけど、今では自分で道具と場所・時間を選んで釣果に繋げられるようになってきた。超初心者のレベルは脱したと思う。最初はなかなか釣れず幻の魚のように思えたナマズも今シーズンに入ってルアーで30匹近く釣ることができた。 始めた頃はなかなか釣れないので「釣りが上達する」という感覚も想像がつかず、闇雲に行動するしかなかった。そこで釣果が上がり始めてどういう感覚的な変化があったのか、超初心者だった頃の記憶があるうちに記録しておこうと思う。これから

      • 「資本論」の中の持続可能性

        1月の100分de名著はマルクスの「資本論」。「価値」と「使用価値」の違いや余剰価値の恩恵が労働者に回って来づらく立場が固定化されやすい構造についての話は巷でよく見かけるテーマだが、100分de名著ではそれだけに留まらず、マルクスの考えていた持続可能な社会に関わる考察が紹介されていて新鮮だったのでメモ。 晩年のマルクスはエコロジーに傾倒し、農芸化学から植物学、地質学、鉱物学など広い分野を射程にいれて研究していたそうだ。 否定の否定は、生産者の私的所有を再建することはせず、

        • 100分de名著 「野生の思考」で科学的思考をメタに振り返る

          「野生の思考」を最初に知ったのはたしか学生の頃(当時はタイトルを知っただけ)。科学的な思考を人間本来の思考の中の一つの特殊な思考に過ぎないとマウント(?)してるところや自分たちが当たり前に行っている思考をメタに捉えてるところに惹かれる。 「野生の思考」といえば「ブリコラージュ」という言葉が有名だ。この言葉を思い起こすのは秋葉原や深センの電気街に並んでるアイディア商品を見たときだ。海外渡航が憚られる今だったらAliExpressという中国の通販サイトで見ることができる。マニキ

        100分de名著 『砂の女』で触れられていなかった設定

        • 釣りが上達するってどういう感覚なのか

        • 「資本論」の中の持続可能性

        • 100分de名著 「野生の思考」で科学的思考をメタに振り返る

          釣竿は自由の世界へのパスポートだった

          ある日、急に思い立って釣りを始めた。 大物が掛かり、竿をしならせてるときはとても興奮する瞬間だ。一方で、後から振り返ったときしみじみと楽しかった瞬間として思い出すのは誰もいない暗い水辺で一人竿を振ってるような場面だ。何日も釣れない状況が続いても竿だけ振ってさえいれば満足だとは言わないが、釣れたら楽しいに対し釣れなかったら楽しくないという釣果にこだわるようなルールを自分に課すようなことはしないように決めている。 釣りは自由の世界だったではなぜ暗い水辺で竿を振っているときが一番

          釣竿は自由の世界へのパスポートだった

          「プロ倫」に出てくるカルヴァンの二重予定説が頭から離れない

          熱量高く何かに打ち込む人に出会うたびに「何がこの人を突き動かしているんだろう」と根源的な動機を考えるクセがある。ひたすら動画を上げ続けるYouTuber、大胆なリスクを取る起業家。同じ社会に生きてても、打ち込めるものは実に多様だ。そして何より貴重だ。では何かに打ち込む動機も多様だろうか?「考え」は人の数ほどあっても、動機のさらに根底にある精神性については一つ大きくまとめられるんじゃないの?という示唆が「カルヴァンの二重予定説」には含まれている。 カルヴァンの二重予定説って?

          「プロ倫」に出てくるカルヴァンの二重予定説が頭から離れない

          凄い能力を持つ人を見たら特殊な動機があると思え

          誰も真似できないような凄いことをする人に出会うと、最初は「特別な能力を持った人」に見える。しかし一緒にいる時間が長くなるにつれ、その人の置かれた状況やその人の価値観が特殊なのだということが分かってくる。特殊な状況や価値観が特殊な動機付けに繋がり、結果的に大多数の人が真似できない「凄い能力」を身につけるに至るのである。 もしも憧れる人がいて、その「能力」を手に入れたいと思ったら、その能力を得るに至らしめた動機に注目することが重要だ。

          凄い能力を持つ人を見たら特殊な動機があると思え

          英語が身につくとはどういう感覚なのか~「英語の月」を育てる~

          英語を勉強しはじめて、はや何年か分かりませんが英語が身につくということは「英語の月」を育てていくことだったんだなと感じています。どういうことか、ビジュアル的に(といっても文章で)説明してみようと思います。英語学習の方法論でよく言われる「英単語を別の英語で言い換える訓練をしろ」とか「英英辞典を使え」というようなことは、こういう感覚を掴むためだったんだなと今では腹落ちしています。 もっと前からこの感覚を目標にできてれば、もっと効果的に勉強できたと思うので英語学習に励んでいる方の

          英語が身につくとはどういう感覚なのか~「英語の月」を育てる~

          「目的思考の壁」とチームづくりについて

          今回は社会人の必須スキルである「目的思考」に潜む限界とそれを乗り越えるためのチームについて考えてみた。 目的思考とは目的思考(goal-oriented)というのは、何事においても先に目的をはっきりさせて物事に取り組むという考え方だ。ミーティングの前にアジェンダを設定するとか、プロジェクトを始める前に定量的な目標を設定するとか、社会人になりたてのとき教えられる仕事の進め方も目的思考の初歩的な訓練と言える。行動に目的を設定するのは至極当然のように思えるかもしれないけど、実際に

          「目的思考の壁」とチームづくりについて

          インナーマッスルを鍛えるのはメチャクチャキツい・・・けど学ぶとは何かを学んだ

          みなさんはピラティスをご存じだろうか。ジョゼフ・ピラティスさんが考案したトレーニングのメソッド集だ。100年近い歴史がある。自分は特に自重筋トレとストレッチを通じて体幹やインナーマッスルを鍛えるエクササイズをやってきた。「ヨガみたいなアレ」とよく言われるが詳細な説明はここでは割愛。 約1年前、腰痛対策にと始めた。これまでまともに運動らしいことをしてこなかったので、これが初めての運動の習慣になった。 インナーマッスルを鍛えるのはとにかくキツいインナーマッスルを鍛えるためには

          インナーマッスルを鍛えるのはメチャクチャキツい・・・けど学ぶとは何かを学んだ

          サルトルの「嘔吐」を読んだら懐かしい感覚を思い出した

          実存主義という言葉が気になってサルトルにたどり着き、処女作である「嘔吐」を読んだ。 この本の主人公のロカンタンはフランスのブーヴィル(架空の街)に暮らす30歳の青年。仕事はしていないが、金利収入がある高等遊民なので日がな一日歴史の研究をしている。 かつては世界中を旅して刺激的な「冒険」を繰り返していた。「冒険」というのは殴り合いの喧嘩や旅先での情事など「自分の人生が稀に見る貴重な質を帯びる瞬間」のことで、以前は冒険に執着していたが今では冷めてしまっている(生きる糧をそういう

          サルトルの「嘔吐」を読んだら懐かしい感覚を思い出した