【短編小説】梅雨の晴れ間
目を背けたくなる日差しがこれでもかと降り注ぎ、夏を知らせている。
初々しい緑が満ち溢れ、黄色い花がちらほら顔を出す。穏やかな川はキラキラと輝き、つい未来を期待してしまう。
透明のプラスチック製カップに入ったアイスコーヒーは、風景から少し浮いている。穴のように薄黒く、今何かあったらここに飛び込みたい。
時折、氷がカラコロと鳴る。アイスコーヒーは風鈴になりたかったのかもしれない。
空は清々しい水色だが、雲はまだ春の顔をしている。そうか、夏はまだ少し先なのか。
川に白い鳥が降り立った。少し歩いて立ち止まり、川底をじっと見つめている。私には目も暮れない。
なんだか悔しくなって、芝生に座り、その白い鳥をじっと見つめる。
日陰がなく、額や背中に汗が流れているのが分かる。カップはアイスコーヒーから芝生柄へと変わった。
やがて白い鳥は無音でゆったりと飛び去り、川は平然としている。
夏よ、早く来い。
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