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2023年上半期 にじさんじ歌ってみた5選

 完全にミーハー心だが、「上半期良かったもの」の記事が書いてみたい。そういった不純な動機で2023年1~6月にYoutubeに投稿されたにじさんじ所属のVtuberの歌動画(カバー動画)のうち、かなり印象的でよく聴いたものをピックアップしていく。音楽知識がないため解説ではなく感想ですが、どうぞお付き合いください。

1.Around The World / covered by 月ノ美兎

 チャイナ服を新衣装としてお披露目する際に同じタイミングで公開された動画だ。他のライバーにも見られる新衣装と共に歌動画を公開する方法は、同じライバーの様々なコンセプトの歌を聴けるという面でとても嬉しいやり方だ。
 この動画はまずインパクトの強いサムネ画像に驚かされたが、MVも本家を意識したものであるということにかなり心をつかまれた。ざらっとした質感のアニメーションMVもレトロな雰囲気の良さがある。委員長のもつ柔らかく甘い声質と力強い歌い方によって、原曲を聴いていた世代には新しく、初めて聴く世代には親しみやすく響くことだろう。日差しが強すぎない日に散歩をしながら聴きたい。

2.バグ / covered by ラナキュロール

 ラナンキュラス(天ヶ瀬むゆ,海妹四葉,先斗寧)とロリコロール(天宮こころ,ルイス・キャミー,レイン・パターソン)の6人で出したカバー動画。人数は多いものの歌声のクールとキュートの属性バランスの良さからか纏まりを感じてとても気に入っている。強気で危険な空気は普段の彼女たちの可愛さとはかなりギャップがあるのも嬉しい。
 驚くべきはこのユニット内で新人であるラナンキュラスの3人の歌声が、中でも凛としてクールなのだ。デビュー時に発表した「DONBURA KONBURA SPEAKERS」で見せたはつらつとした姿、そして普段の配信で見せる天真爛漫さや後輩らしい可愛げとは違った一面をふんだんに見せてくれている。
 イメージカラーもぴったりの2組で見栄えもするので、またこの組み合わせで動きがあることを願う。

3.好き好き大好き / covered by 周央サンゴ

 カバー動画で初めて聴いた曲だったが、どうやら原曲は1985年に発売されたものらしい。数年前にTikTokで海外を中心にバズっていたとも聞くが、彼女の選曲やアンテナには毎回驚かされる。活動初期は歌に対して消極的ではあったものの、雑談配信で時折覗かせていた音楽好きが発揮されているのだろう。
 普段はユニークな配信で披露している幅広い声を使い、狂気的に歌い上げるそれは圧巻で説得力がある。ヤンデレというには随分と壮絶な執着に恐怖を覚えたリスナーもいるかもしれない。レトロゲーム風のMVと合わさって眼前に突き付けられる世界観の鮮烈さに感嘆を禁じ得なかった。自己プロデュースの上手さが光る一本だ。

4.踊り子 / covered by 朝日南アカネ,戌亥とこ,町田ちま

 Nornis(朝日南アカネ,戌亥とこ,町田ちま)というユニット自体には壮大で豊かな歌声で”聴かせる”曲が得意なイメージがあったのだが、この曲は耳に触れる音が柔く軽く丁度人肌のような温度感があり、MVにも等身大の彼女たちが描かれている。
 終わった恋の寂しさを穏やかに、そしてほんの少し名残惜しそうな言葉を交えて歌われるこの曲は、今思えばネットの海で道が交わったのちに彼女を見送る私たちに、袂を分かつ彼女らに、そしてひとり歩んでいく彼女に、それぞれ重ねられるようになっているのかもしれない。
 日常に寄り添って囁くような歌声が、ステージ上の彼女たちよりもう少し身近な存在として感じられる、白熱電球の橙色の灯りのような一曲だ。

5.貴方だけが、幸せでありますように。/ covered by 緑仙

 私が個人的に原曲が好きすぎるが故にカバー動画が出ることからそもそも衝撃的だった一本。ポエトリーリーディングを交えながら独特なリズムで言葉を紡ぐこの曲を緑仙がどのように表現するのか告知段階から楽しみにしていた。
 多彩な声を余すことなく使った絶望がまさにそこにある。淡々とした語り口から少し高めの幼さを感じる声に移り、希望と無垢の皮を被った言葉で追い詰めていく様が恐ろしい。その表現力はもはや熟練者のそれであり、歌えない楽曲はないのではないかと思うほどだ。
 明るく辛辣に、笑顔で絶望的に、そういう相反するものを含んだ上で更に聞き手に豊かに想像させる余地があり、視聴後に心地良いだけではない余韻がある。ポテンシャルもさることながら、それを活かす努力や向上心も持ち合わせたアーティスト緑仙を感じさせられた。

さいごに

 書いてみたものの、こんなに絞るのが大変なのかというくらい悩んだ結果、思ったよりも時間がかかってしまった。にじさんじに所属しているライバーも国内外含めて相当な数なので当然ではある上に、全てを聴ききれていないのもまた事実だ。まだ見ぬ素敵な歌声に出会うためにもアンテナを張っていきたい。
 また、おすすめのライバー・動画があれば随時教えていただきたいと思っています。何卒よろしくお願い申し上げます。

 そしてこの記事をのんびり書いているうちに既にまた素敵な歌動画があがっているのでそちらは2023下半期で括って年明けに紹介する可能性が大いにある。まだ7月中旬というのに良い動画が多すぎる。
 また本記事で挙げた動画はどれもカバー動画だったが、オリジナル曲も各ライバーの拘りを感じるものが多いため、こちらは投稿時期の縛りは設けず記事を書いてみたいとも思っている。その時はまた、お付き合いください。

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