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父を見送った話

昨秋、92歳の父を見送った。
大きな病気もせずに寿命を全うした父はあっぱれな旅立ち方だった。

寂しさはあるけれど、あれやこれやと悔いなく見送れたことは本当に良かったと感じている。

何かあっても東京の実家へすぐに帰れないニセコで暮らしているため、突然にさようならの時が来ても悔いることがないよう、年老いた両親と接するように心がけていた。

娘が生まれて、子どもとはこんなにも親との触れ合いが必要なんだと気付いた。

私はいつまで親に抱っこしてもらってただろう?記憶にないなぁ…と思ったのをきっかけに、実家帰省のときに両親とハグをしようと決めた。

12年前。
初めてハグした時は恥ずかしくてドキドキだったけど、父も母も照れながらもやんわりと背中に手を回してくれた。

それ以来、帰省の最終日はハグをしてからさようならするようになった。

子育ては自分との葛藤だらけ。

それを親に投影して苦しみもがきながらも過去を精算し、両親とハグできるようにまでなった。

これが私の精神衛生上とても良かったのだ。

両親が生きているうちに心のわだかまりが解けて良かった。

そのための努力を惜しまないで良かった。

元気で長生きしてくれてありがとう。

親は偉大だ。


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