子どもにおくる般若心経
子ども向けに書かれたやさしい本です。
一文ずつ訳すのではなく
般若心経全体の意味や考え方を
伝えようとする本です。
大人にとっても
役に立つと思います。
導入部分
「摩訶般若波羅蜜多心経」(いわゆる般若心経=小本)には、元の「般若心経」(大本)があり、そちらは何冊にも及ぶ大著らしいのですが、その分、いろいろなことが書いてあるそうです。
霊鷲山(りょうじゅせん)という山で仏陀が弟子たちに話した、という部分は、おそらく大本に書いてあるのだと思われます。こうやって、舞台・場面を描くことで、話に入りやすくなっていますね。
弟子たちに囲まれて仏陀が話します。
「人が幸せに生きるにはどうしたらよいのか?」
「それにはまず悟ることが必要だ」
「それには究極の智恵が必要」
「究極の智恵」とはどんなものか?
そこに導いてくれる「聖なる呪文」とはどんなものか?
というところから、この本は始まります。
「空」=変化する、つまり無にかえる
あとは、おそらく最も重要な「空(くう)」の概念について、
噛み砕いて説明してくれます。
形あるものは無にかえるのだから、それにこだわるな。
こだわりを捨てる、それが「悟る」といういうことなのだそうです。
奇蹟と感謝
そして、無からまた形あるものが生まれてくる。
これからのこと、これまでのことを思い悩んでも仕方がない。
そのようなこだわりを捨て、あるがままを受け入れなさい
それが「悟る」といういうことなのだそうです。
だからといって、「あなた」という存在に価値がないということではない。
「あなた」が生まれるために父と母の2人の命が必要だった。
その父にも2人、母にも2人と考えると、
10代遡ると1,000人以上、20代遡ると100万人以上の命が繋がって生まれた
奇蹟のような存在なのだ。
そして、あなたは、一人で存在しているのではなく
あなた以外の全ての命によって支えられている。
そのことに感謝しなさい。
とまあ、概ねこんな内容になっています。
ところどころに出てくる挿絵は子どもが描いた力強いもので
文章の持つ強いメッセージを大いに盛り上げてくれます。
そもそも子どもに般若心経を説明する必要があるのか?
という疑問はありますが、
もし子どもに聞かれたら、力強い助けになってくれるでしょう。